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02/11/02 父 系の脚

 会社における私の立場は日に日に厳しく なって来ています。
 営業経験の無い社員を抱えて営業成績も上がりません。
 また、一面では幹部の意向を受けて、彼らの気に入らない社員の退職を勧奨しており「首切り浅右衛門」状態です。既に7月末1名、8月末1名、9月末1名 と 3 人の社員に退職をしてもらいました。

 私は、公私ともに孤立しており、他の人と感情を一体的に感じることは余りありません。
 周りの人達が、どのような感情を持って行動しているのか、或いは感情が行動として現れるのかについては、なんとなく理解はできるのですが、共有したり同 化 したりすることはありません。
 あまり興味が無いと言った方が正しいのでしょうか?

 そうは言いつつも、私の周りの人達に対し「悲劇の人」を演じたりしながら、相手に感情を共有して欲しいと思っているのでは無いかとは思っております。

 昨夜は、東京でも「木枯らし一号」が吹いたとニュースが報じていました。
短い通勤距離ながらも汗を流しながら通勤していたのが、昨日のようなのに、何時の間にかコートがいるようになってしまいました。
今年の季節の移ろいは、特に速く感じています。
 齢でしょうか?

 私は、高尚にこんな人間になりたいと思って生きてきたことはありません。
 心してきたことは、その時々に一番自分らしい選択をしてきたことでしょうか。その結果がこのようでは、人に話せることではありませんが。

 また、学歴もバックグラウンドもなく、決して世渡りもうまくない私が禄を食んで生きて行くためには、自分の弱さを隠し自分の思いを噛み殺しながら生きて き たのです。

 私の好きな作家の一人に松本清張さんがいます。
 彼の作品に「父系の指」(短編集・或る「小倉日記」伝に所載)と言うのがあります。
 父の指と似た自分の指を思い、底辺で暮らしてきた父の生き方と自分の生き方を重ねて見る自伝的な作品でした。

 私も最近、細い自分の脚を眺めていると、未だ元気だった頃の父を思いだし、自分の生き方も父の生き方をなぞっているだけなのかと思うことがあります。
 「父系の脚」でしょうか。

 会社のことは、もう私などの力ではどうしようもないように見えてしまいます。
 自分の為にやらなければならないことをして逞しくなって、この会社での有終を飾りたいと思っております。

 誰かが必要とするところに居られれば幸せですが、誰も必要と思わないところに長居はできません。
 この社会の中で、自分を必要とするところを早く見つけたいと思っております。
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