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04/10/08 無くならない個人情報の漏洩
  先日、ドコモの顧客 情報が流出すると言う事件が朝日新聞(asahi.com)に報道されていました。朝日新聞の記事はこちら
 ドコモ九州の支店に人材派遣会社から派遣されていた女性が、倉庫にある顧客情報を写し出 し、インターネットを通じて詐欺目的の相 手に売ったと言う事件です。

 個人情報保護法が05年4月か ら施工されることとなっています。情報処理の業界等ではシステムセキュリティの強化、プライバシーマークの取得等とこれをビジネスチャンスと受け止めてい る人たちがいます。また、法律施行で個人情報の漏洩がなくなるような風潮があります。

 この法律は「表現・報道の自由」を脅かす危険があると危惧されています。

さて、この法律が施行さ れれば個人情報の漏洩はなくなる(少な くなる)のでしょうか?
前(02/10/10)にも書きましたが、企 業が顧客情報の流出より利益第一主義である限り、盗人の種は尽 きないのではないかと思います。

 朝日新聞のWebサイ ト(asahi.com)の「個人情報 流出問題」と言うカテゴリー内の事件(04/10/07現在)を拾ってみると以下のとおりです。

報 道日 流 出元 流 出件数 状況等
9月1日 社 会保険庁 9,000 再 委託先が研修データとして利用
9月6日 ユー シーカード 571 委 託会社の元社員がネットで販売
9月8日 三 井生命保険 303 委 託社員の車内から盗難
9月10日 アッ カネットワークス 339,177 流 出経路不明
9月11日 草 加市/八潮市 457 委 託先の元社員が書類を持ち帰り家庭ゴミとして処分
9月21日 ド コモ 56,396 再 委託先がパソコンの盗難にあう
9月28日 旧 富士銀行 4,300 委 託先社員が自宅パソコンにデータを所有。パソコンが盗難
9月29日 三 井住友海上火災保険 673 代理店のパソコンが盗難
10月5日 ド コモ九州 178 派 遣社員が顧客情報をメモし販売
10月5日 ケー ブルネット下関 43 社 員が車の屋根に置き忘れ

 流出元の企業はどれもこれも立派な企業です。そして一部の例 外を除き、情報流出事件の当事者は委託先、再委託先、派遣会社の人たちです。
 社員には、コストを掛けて法律遵守や企業倫理の教育をしているが、こんな社員を誰でもができるように見える仕事をさせてはコストが掛かりすぎる。何時で も首が切れたり、コストが叩ける外注や派遣社員を使った方が自分たちの儲けが大きい。
 と考えて、アンチョコに外注や派遣社員を使った「つけ」を払わされているのです。

 事件が発覚すると、経営幹部はテレビカメラの前では神妙に頭を下げていますが、彼らの関心事は情報の流出による顧客の被害よりも、自分たちの利益がどれ だけ影響されるかがだけなのです。

 最近のこの種の事件の特徴は、ヤフーBBの恐喝事件を思い起こすまでもなく、流出した個人情報が積極的に次の事件を起こしていることと、インターネット の 匿名性を悪用して販売目的で個人情報を盗む輩がいることでしょうか。

 盗む気になれば、企業のコンピュータシステムの情報はいくらでも盗むことができます。
 盗むためのコストと、見返りのバランスの問題はありますが。

 個人情報の漏洩なのでしょうか? 流出なのでしょうか? 窃盗なのでしょうか?
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