04/12/16 ベストセラー・「内側から見た富士通『成果主義』の崩
壊」
書籍取次大手の東販よ
り、04年のベストセラーが
発表されました。http://www.tohan.jp/tohan-news/04-12-08.html
本を買うために潤沢な資金の無い私は、評価の固まっていないベストセラーを購入して読むことは余りありませんし、「ベストセラー」と言うものにも余り興
味が無いのですが、少しのぞいてみました。
7部門に分類されて、それぞれの部門のベスト10で全70冊が紹介されているのですが、私が今年買った本が1冊だけありました。
その1冊が今回紹介する城繁幸著「内側から見た富士通 『成果主義』の崩壊」です。
この本は、富士通が日本の企業の先陣を切って93年に導入した「成果主義」により、経営者の思惑とは逆にドンドン業績が悪化していく様子を、富士通の労
務部にいた筆者がレポートしています。
「よく働く人には、より多くの報酬を与え
ましょう」と言う経営者側からの成果主義導入の提案は、一見しごく当たり前のように耳障り良く聞こえます。
この成果主義の問題点は大きく3点あると思います。
一つ目は、日本の多くの企業風土でもあった「年功序列」に相対する手法ととして、賃金総支払額を押さえ込むことを目的としていることです。賃
金が上がるのは、ごく一部の人だけ、他の人は現状維持か減給となります。
会社は、労働裁量制、年俸制などと手を変え品を変えて、賃金を抑え込む手法を導入してきます。
二つ目は、”公平な”評価等と言うものは存在しない。にも拘わらず、その評価結果で労働者の
賃金を決めるという問題です。
私も社員を評価する立場におりましたが、できる上司の評価は厳しくなる傾向にあること。また、情実をはさまないと指導されても人の子ですから、どうして
も自分の気に入っている部下には甘くなることは否めません。
結局は、ゴマすり社員が出世したり高給を取ったりするのです。
また、会社の仕事は「物を作る仕事」「物を売る仕事」「メンテナンスをする仕事」と多種多様で、これらをひとつの物差しで計り(評価し)賃金を決定する
ことに無理があります。
三つめの問題は、労働者の眼前に人参をぶら下げるような方法で、無用の競争をあおることにより会社全体の士気が下がっていることです。
日経BP社のアンケート調査によると、成果主義導入済みの企業の社員は、
職場の士気が「向上」したと回答した方が21.8%
「低下」したと答えた 方は36.7%
と3割以上の人が、士気が低下していると回答しています。
3ヶ月、6ヶ月と言う短期の成果を追い求め、中長期的な展望にたった仕事をしなくなることも大きな問題でしょう。
成果主義は日本の多くの企業風土でもあった「年功序列」に相対する手法としてもてはやされ、70%以上の企業で導入されています。相変わらず「成果主
義」で頑張ろう的に煽るような風潮も一部には残っていますが、批判的な論調が増えてきています。
この
本は、光文社の「光文社ペーパーバックス」と言うシリーズに入っているのですが、このシリーズは新しい試みとして下記のような記述方法を取っています。
”社内には、不満complaintと嫉妬jealousyが渦巻き、・・”
と色付けした部分のように日本語に英語が振り仮名のように付けられています。
私は英語が殆ど理解できませんので、資料を読んでいて一番困るのは外国の言葉をカタカナ表記している「カタカナ語」です。例えば、”コア・コンピタン
ス”と書かれていて、その意味がわからない場合、英語のスペルも思い浮かばず、英和辞典の”co...”を虱潰しに探すしか方法がありません。それを”core competence”と表記してくれていれば辞書ですぐに探せます。
で、この本の表記方法はこれは良いと思ったのですが、不満と言う言葉をわざわざ”complaint”と表
記してもらう必要が私にはなく、読後は煩わしい思いだけが残りました。
光文社ではこの表記方法を、ひらがな、カタカナ、漢字混じりの3重表記に英語を追加した「4重表記」と称しています。
◆大阪
の経済は急降下◆
確かに、関西とりわけ大阪の経済は厳しい状況ですが、日本漢字能力検定協会http://www.kanken.or.jp/index.htmlが
漢字変換ミスコンテストの第3回月間賞受賞作です。http://www.kanken.or.jp/henkan/happyou_03.html
正しくは「大阪の経済波及効果」でした。
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