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05/01/13 「元」という肩書き

◆「元」という肩書き
 何故か、マスコミ報道の肩書きに拘ってしまいます。

 朝日新聞からの引用ですが、「元署長に無罪判決・・・」と泥酔状態で警察に保護された男性が警察署の車庫に放置されて死亡した事件で、当時の署長が罪に 問われた事件を報じています。

 ”京都府警九条署で97年1月、泥酔状態で保護された男性(当時50)が署の車庫に放置され死亡した事件で、「パトカー内で保護した」とする書類をつく らせたとして虚偽有印公文書作成、同行使の罪に問われた当時の署長高崎正代司被告(61)に対する判決公判が12日、京都地裁であった”http://www.asahi.com/national/update/0112/007.html

 同じ日に「元中日新聞次長、起訴事実ほぼ認める・・・」と新聞社の次長であった男性が、愛人(例によって愛人とは書いていませんが)を殺害した事件を報 道しています。

 ”殺人と死体遺棄の罪に問われた元中日新聞次長○○被告(62)=同市守山区大森1丁目=の初公判が12日、名古屋地裁であった”(引用者注 ○○は実 名表記)http://www.asahi.com/national/update/0112/013.html

 警察署長の「元」と新聞社次長の「元」は明らかに違うのではないでしょうか。
 署長は、この事件に「署長」という職務権限に関連して罪に問われています。この署長の肩書きは「署長(当時)」とすべきではないでしょうか?(本文内で は「当時の署長・・」と記述)

 一方、新聞社の元次長は、事件当時新聞社を退職して関連会社の嘱託社員(嘱託社員かどうかもあまり重要ではありませんが)であり、新聞社の次長の職務権 限を使って起こした事件ではありません。
 この元次長の場合の肩書きは「会社員」でよいのではないでしょうか?

◆匿名報道
 事件報道で、政治家・上級公務員・警察幹部・大企業経営者・労働組合幹部など社会的に大きな影響力のある「公人」は実名報道とするが、一般市民は原則匿 名で報道するべきとの主張があります。
 この考え方に、実名報道をしないと警察の密室性が助長されると反対の立場の考え方もあります。

 被疑者として、逮捕・起訴されたとしても裁判で有罪が確定するまでは、無罪が推定されると言う現代の法の精神からすれば、匿名報道であるべきです。

 警察の密室性の助長は、警察発表を鵜呑みにしてそのまま垂れ流しているような取材から、独自の事件取材をすることにより防げるものと思います。

 松本サリン事件で、マスコミ各社は警察発表で被疑者とされた河野義行さんを実名報道するだけでは足らず、真犯人であるかのように執拗にバッシングしてい きました。同じように報道被害は後を絶ちません。

 上記の「元」新聞社次長の男性に対する報道は、
  ”殺人と死体遺棄の罪に問われた被告(62)の初公判が12日、名古屋地裁であった”
 でよいのではないでしょうか?

 逆に、政治家・上級公務員・警察幹部・大企業経営者・労働組合幹部等が犯した犯罪、特に職務権限を利用して犯した事件については、匿名や「元」付きでな く正確に報道してほしいと思います。

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