05/02/17
西村
滋「お菓子放浪記」
こんな歌をご存じでしょうか?
♪お菓子の好きな 巴里(パリ)娘
二人そろえば いそいそと
角の菓子屋へ 「ボンジュール」
選(よ)る間(ま)も遅し エクレール
・・・
西条八十さん作詞の「お菓子と娘」という歌です。(歌詞全文は「なつかしい童謡・唱歌・わらべ歌・民謡・歌謡」サイト にてご確認ください)
おぼろげに覚えていた事柄(ニシムラシゲル、テレビドラマ、お菓子の好きなパリ娘等)を頼りにインターネットで書名を検索し、「日本の古本屋」で購入し読んでみました。
作者・西村滋さんも戦争孤児で自伝に近い内容だそうです。76年の読書感想文課題図書(中学生)に選ばれている児童書です。中学生向きの本ということで
なくストーリーの展開にわくわくし、登場人物に感情移入しながら一気に読むことが出来ました。
孤児・シゲルが、第二次大戦末期から敗戦直後の動乱期を逞しく生きていく物語です。
シゲルは孤児院からの脱走を繰り返す内に、店先からパンを盗んだところを刑事の遠山さんに捕まってしまいます。
孤児院が引取りを拒否したために感化院に収容されることとなります。感化院に送られる途中に遠山さんは腹をすかしたシゲルに菓子パンを買ってくれます。
シゲルは遠山さんの優しさとこのパンの味を忘れることができません。
感化院ではホワイトサタンと言う軍国主義的な教官と、富永先生や個性豊かな同じ環境の少年との生活をはじめます。
富永先生が子供たちに歌ってくれるのが、この「お菓子と娘」という唄です。シゲルは富永先生とこの歌とお菓子が大好きな子供です。
身寄りのないばあさんが、シゲルを養子にしてくれることで感化院を抜け出すことが出来たのですが、このばあさんは強欲者で子供をこき使って稼いでいるの
です。結局ばあさんとはうまくいかず元の孤児になってしまいます。
やがて敗戦、、、、
出張などで、ホテルに泊まる時に、近所のコンビニなどで袋詰めのお菓子などを少し多めに買って部屋に入ります。食べる物が傍にないと不安になるのです。
戦後の食べ物が少ない時代に育った団塊の世代の性(さが)でしょうか?
続編として、シゲルの青春時代を描いた「続お菓子放浪記」と未来の作家を夢見るシゲルを描いた「完結お菓子放浪記」があります。
是非、お読みください。
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