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05/03/03 マスコミ報道について

 マスコミの報道姿勢などを少し斜めに見 ながら取り上げることは、このサイトの一つのテーマとなりつつあります。今回は、私が何故マスコミの報道を懐疑的に見るかを書いてみます。

 私は高校生の時に、教師から「すべての物事をまず疑って見よ」と教えられました。若い時には良く理解できずにおりましたが、社会に出て色々な経験をして きますと「高名な人が言われていることだから正しい」とか「大新聞に載っていることだから正しい」とかでないことが、自分の経験則で分かってきました。極 端に言えば、マスコミの報道や政治家の言葉は、一番疑ってかからなければならない物だと思っております。

 日本軍性奴隷制(いわゆる従軍慰安婦の問題)を女性の立場で裁こうとする女性国際戦犯法廷(2000年)を取材した番組の内容が、政権党の幹部からの圧力に屈して改ざん・放送された と朝日新聞が 報道(05/01/12)し ました。
 圧力をかけたと名指しされた自民党の安倍晋三衆議院議員は、NHKに「公平で客観的な放送をするよう」に求めただけで圧力をかけていないと言っていま す。
 中川昭一衆議院議員はNHKとの「面会は放送後の2月2日だった」と述べています。

 安倍氏のホームページ「朝日新聞H17/1/12記事で『誤って』伝えられている事項
 自民党のホームページ「NHK番組に関する朝日新聞の報道問題について

 また、NHKは「関根放送総局長の見解(05/01/13)」で、圧力は受けていない、編集はしたが改ざんはしていないといっ ています。

 NHKは安倍、中川氏以外の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」のメンバーにも番組内容を事前に説明していたそうです。
 番組内容を政治家に事前説明することは、「事業計画、予算をより多くの国会議員に理解してもらわないといかん。そのためには番組も含めて事前に説明す る。当然の行為」と放送総局長は記者会見で語ったとのことです。(毎日新聞 2005年1月25日 東京朝刊
 これは実質的な「検閲」ではないでしょうか?

 この番組の放送直後に、女性国際戦犯法廷の主催者であり被取材者であったVAWW-NET ジャパンは取材時に説明された番組内容と放送内容が違うとNHKに申し入れ、最終的には裁判所に訴えています。
 裁判の経緯や、安倍、中川氏の発言に対するVAWW-NETの反論はこちらに。

 NHKが公共放送で、放送内容は「公正・中立」だといっても、予算や人事を政府に管理されている限り、その「公正・中立」は政府や政権党にとって都合の 良いものに限られるのは当然のことだと思います。

 NHK以外の放送局は、安倍氏や中川氏のインタビューや、自局の番組に出席させてその発言を垂れ流していました。対する朝日新聞側やVAWW-NET側 の主張はどれくらい放送されたのでしょうか?

 民間放送も、放送免許は国が与えるものであり、政府や政権党の顔色を伺っているでしょうし、その上スポンサーの顔色も見なければなりません。だから報道 番組を、物事の本質に迫らなくても良い、バカ・バラエティ番組化しているのでしょう。

 時々紹介しているソフトウエア販売会社・アシスト社のビル・トッテンさんが、発信されている「Our World」というサイトに「米追随がもたらす偏向報道」という記事がありました。

 この中でビル・トッテンさんは「日本の支配者たちが米国に追随することで利益を得ているという構図が変わらない限り、NHKや主流メディアがさまざまな 見方、偏らない意見を人々に提供することはないということを知っておくべきである」と明快に言われています。

 世の中の物事をしっかりと見分ける目を養っていきたいと思います。一人ひとりのそんな積み重ねがきっと大きな力になるとおもいます。

◇閑話1
 フジサンケイグループのニッポン放送株の売買について騒がれております。
 概ね、守旧派と呼ばれるような人達は、政権党の機関紙と呼ばれている産経新聞を発行しているフジサンケイグループを擁護し、ライブドアのM&Aの手法が 違法だとか、日本にはなじまない等と言っております。
 ライブドアが朝日新聞を買収しようとしていたら、彼らは誰に与していたのでしょうね。

◇閑話2
 NHKが一連の社員の犯罪(各社の報道は”不祥事”となっていますが)の再発防止策の一つとして「NHKの倫理・行動憲章」なるものを制定した (04/09/30)そうです。(以下に全文)
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 「NHK倫理・行動憲章」
 〜視聴者・国民の負託に応える公共放送であるために〜
 NHKは公共放送として,福祉・文化の向上と健全な民主主義の発展に役立つとともに,国民の生命・財産を守ることに資する,豊かで良い放送を行っていか なければなりません。
 私たちは,こうした公共放送の使命と社会的責任,その影響力をあらためて深く自覚するとともに,視聴者一人ひとりからいただく受信料の重みを深く認識 し,公共放送で働く者として高い倫理観を持って行動してまいります。
 NHKに働くすべての役職員が,みずからを厳しく律し行動していくことを,視聴者・国民のみなさまに誓約し,ここに「NHK倫理・行動憲章」を制定しま す。
 ○公共の福祉と民主主義の発展のために視聴者・国民に奉仕します。
 ○放送倫理を守り豊かで質の高い放送を行います。
 ○法令や社会のルール,職場の規律を遵守します。
 ○受信料の重みを深く認識して業務運営にあたります。
 ○地球環境に配慮した事業運営を行います。
 ○職場におけるお互いの人権を尊重します。
 ○職場の安全管理を徹底します。
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 こんなことを今さら宣言しなければならないとは悲しいことですね。
 声高に宣言されるこの種の文章やスローガンは交通標語と同じで、出来ていないこと、こうあるべきだということを列挙するものです。
 NHKでは、遵法精神に欠けた人や、他人の財布も自分の財布と思っている人が大勢いるようですね。また、職場は人権が無視され、危険極まりないのでしょ うね。

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