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05/03/28 日本航空で何が起こっている?

 大事には至っていませんが、事故が多発している日本航空に今日、国土交通省の査察が入ったとの報道が ありました。

 「日航、国交省航空局長が査察 人的ミスの続発で」(朝日新聞 2005年03月28日11時04分
 日本航空では、国交省から業務改善命令を受けた後も、人的ミスが続いており国交省の岩崎貞二航空局長が査察に入った。ミスが多発する会社に航空局長が直 接査察に入るのは異例のことのようです。

◆多発する事故(05年1月以降)
◇1月22日新千歳空港
 新千歳発羽田行き日本航空ジャパン1036便が、管制官の離陸許可のないまま離陸滑走を開始したため、管制官に停止を命じられ、緊急停止した。

◇2月22日浜松上空
 羽田発高知行き日本航空ジャパン1487便が、静岡県浜松市上空を飛行中に計器が油圧システムの異常を示したため引き返し羽田空港 に着陸した。

◇3月3日羽田空港
 女満別発羽田行き日本航空ジャパン1184便が、羽田空港に着陸後、駐機場に向かう際に管制官に指定された経路を通り過ぎたため、管制官に停止を指示さ れた後、次の指示で元の経路に戻り駐機場に到着した。

◇3月12日仁川国際空港
 ソウル発成田行きの日本航空954便が離陸のため滑走路手前で待機中、管制から「待機せよ」と指示を受 けたが、パイロットは明確に聞き取れず「滑走路へ進入して待機せよ」との指示と認識。復唱したが訂正がなかったため滑走路に進入したという。

◇3月22日福島空港
 大阪発福島行き日本航空2261便が着陸した際、機体の尾部が滑走路に接触、滑走路中心線灯1個を破損した。同機は駐機場まで自走、乗客乗員にけがは なかった。

◇3月22日徳島空港
 徳島発羽田行き日本航空ジャパン(JAL)1438便の左側主翼に高所作 業車が接触し、先端の整流板を破損した。乗客はまだ乗っておらず、作業車の整備士にもけがはなかった。

◇他にも、
 ・整備ミスから貨物機など5機が強度不足の部品を付けたまま飛行、内1機は8年間も飛び続けていた。
 ・客室乗務員が非常用脱出装置を自動にセットする操作を怠ったまま飛行していた。

 私みたいな素人には、この事故件数はかなり多いのではないかと思われます。

◆合理化
 02年の日本エアシステムとの統合以来、「安全第一」から「利益第一」に大きくハンドルを切って、人員削減を初めとした合理化が続いています。

◇02年4月:日本航空(旧JAL、現JALインターナショナル)と日本エアシステム(旧JAS、現JALジャパン)が経営統合し、日本航空(現 JALS)を持株会社とした。

◇04年4月:日本アジア航空を子会社化

◇06年中に持ち株会社(JALS)とJALインターナショナル、JALジャパンの合併発表

◇05年3月:計画に1500人上積みし、07年度末まで6000人削減と発表

◇JALS、JALインターナショナル及びJALジャパンの合併について日本航空機長組合は臨時組合大会の決議「経営責任 の明確化と分裂・差別の郎身政策の変更なくして競争力の向上など不可能 合併の推進で問題解決はできない」で、持株会社方式にしてからわずか1年 で、その総括もないままに経営形態の変化を持ち込む経営の姿勢は、安全運航に逆行し労働者のの生活と権利や労働条件の切り下げにつながり、また利用者国民 の利益に反すると述べています。

◆組合潰し
◇日本航空ジャパン乗員組合、日本航空ジャパンキャビンクルーユニオン、日本航空ジャパン労働組合の3組合は分裂組合が作られた2月1日声明を出し「・・ 分裂労務政策は航空に何をもたらすでしょうか。このことは、連続事故にも結びついた旧日本航空の苦い歴史を見れば明らかです」と指摘しています。

◇3組合の声明「JALの分裂労務政策がJALジャパンに波及、新労組を設立

残日録02/05/03で山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」を取り上げました。
 「沈まぬ太陽」は、日本航空の労働組合の委員長だった小倉寛太郎さんが、会社の意に沿わぬと海外支店をたらいまわしにされたことをモデルにした小説で す。

 小説では、委員長の海外転勤、組合つぶし、不当労働行為、事故の続発そして乗員・乗客520人が死亡する航空史上最悪の日本航空123便墜落事故(御巣 鷹山事故)へとつながって行きます。
 日本航空の腐敗と123便墜落事故がこの小説の大きなテーマとなっています。

 今年の8月12日は、123便墜落事故から20周年となります。
 20年前に、亡くなられた方、遺族、そして国民に誓った「安全第一」はどこに行ってしまったのでしょうか?

 私には現在の日本航空の状況は20数年前の状況とそっくりに見えます。人命に関わるような事故がいつ起きても不思議ではありません。
 私は日本航空を利用したくありません。自分の身は自分で守るしかないようです。
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