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05/05/18 ”うつ”のこと等

 今回は、私自身も罹病しているのではないかと思っている「うつ病」について少し書いてみます。

 18日の朝日新聞に「うつ病の診断『表現弱める』医師9割 復職に配慮」と言う記事がありました。

 関西労災病院心療内科の医師らが04年2月に全国の心療内科、精神科の開業医など3000人を対象に実施した調査の結果が紹介されたいます。

 本当は「うつ病」なのに、職場への復帰を考慮して診断書には「抑うつ状態」「心身疲弊」などと軽い症状に書き換えている医師が92%もいるとのことで す。
 また、96%の医師が日常生活に支障がない「寛解状態」で復職は可能と考えているが、74%の医師は会社側から「完全治癒」を求められていると言う。

 都内の精神科医は、昨年秋にIT関連企業の事務職の女性に「うつ病で2週間の休養が必要」と診断書を書いた。女性は会社に診断書を提出して休暇を申請し たところ解雇されたそうです。

 また、メーカーの30代の営業社員は、医師から寛解状態との診断を得て復職の希望を申し出たが、会社から服薬中だとの理由で復職を拒否されたそうです。

 日本労働弁護団では「復職を望んでも会社側が拒み、休職状態を長引かせて解雇に追い込むケースがここ2、3年目立っている」という。

 厚労省の02年の調査では、仕事で強いストレスを感じている労働者は全体の6割を超えた。うつ病患者を含む精神障害者の労災申請数は03年度は438 件、認定数は108件といずれも過去最高を更新している。(下記参照)

 このような現実が「心の病」の実態が正しく把握できず、本人の治療や企業・周囲の理解を妨げる危険もあると指摘しています。

 厚生労働省の「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成15年度)について」(04/05/25)というレポー トがあります。「精神障害等」はうつ病を含みます。
区分 1999 年
平 成11年度
2000 年
平 成12年度
2001 年
平 成13年度
2002 年
平 成14年度
2003 年
平 成15年度
精神障害等 請 求件数 155 212 265 341 438
認 定件数 14 36 70 100 108
うち自殺
(未遂を含む)
請 求件数 93 10 92 112 121
認 定件数 11 19 31 43 40
 注.1 認定件数は当該 年度に請求されたものに限るものではない。
    2 平成11年9月に精神障害等の判断指針が策定されている。

 


 労災の認定数(率)の少なさ(低さ)には驚きます。
 しかし、労災認定の請求件数は99年からの5年間で3倍近くに増えています。

 インターネットの検索サイトで「うつ病」と「解雇」「退職」を検索して みました。
 それぞれ、以下のようなヒット数です。

う つ病&解雇 う つ病&退職
Google 10,400 33,500
goo 3,070 8,260
MSN 3,586 9,760
Yahoo 9,042 24,527
 サイトの中を見てみると、うつ病に罹っ たために解雇されるのではないか、退職を強要されるのではないかと心配する本人や家族のことが多く書かれていま す。
 ほかには、罹病したために解雇された人の裁判闘争の書き込みなどが目立ちます。 

  また、朝日新聞の記事ですが「 心の病抱える社員 半数の企業で『増加』」(05/04/15)を紹介します。

 財団法人「労務行政研究 所」が実施した「社員のメンタルヘルス(心の健康)対策」の結果についての記事です。

 この3年間でうつ 病や心身症など心の病を抱える社員が「増加している」と答えた企業が52%(従業員1000人以上の企業では約7割)、1カ月以上の休職者がいる企業も 50.9%あるそうです。
 病んでいる世代は、働き盛りの30歳代が4割にも上っているそうです。

 一方、相談体 制を整えた企業は約4割、休職後の職場復帰の手順を定めた企業は4分の1しかないそうです。

 罹病する人、休職する人が増えているにもかかわらず、企業内では体制が整っておらずに、本人も現場の医師も復職の為に「うつ病」とは診断書を書きにくい 事情はこの辺にあるのですね。

 私の経験では、企業内にメンタルヘルスの相談窓口が開設されて、個人の秘密は守るといわれても中々相談できない状況でした。少なくとも私の働いていた企 業では、職域病院や診療所が企業の人事担当者等と通じていて、診療履歴などが人事考課や配置転換の材料にされていた経験があります。

 心を病んでいる部下のことを相談に言った職場の診療所では「あの人は過去に○○で、◇◇ですよ・・」と個人の病歴などを聞かされたことがあります。  

 今回は、働く人と心の病気について書いてみました。
 働くことの質も量も大きく変化して、働く人が「心の病気」に罹りやすい環境になっています。でも「心の病気」に対する、企業や社会の理解はあまり進んで おらず、本人や家族への負担ばかりが大きくなっています。

 京都・愛宕山の麓にお住まいのMさんの「越畑便り」と言うサイトの中にご自身の経験を書かれた「うつの部屋」があります。是非、ご訪問下さい。
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