私は、月に1本以上の映画を見て、月に3冊以上の本を読んで、週に一度はサ
イクリングをするという生活がしたいとおもっております。
世の中には、自分のしたいことを阻害する要因が多すぎて、中々思うとおりには行きません。
現在も読み続けている作家の一人に佐野洋さんがあります。
佐野洋さんのミステリーを紹介するには「おしゃれ」という言葉がぴったりです。
推理小説ですから殺人事件は度々発生するのですが、血がダラダラと流れるような
どぎつい描写もなく、「○○殺人事件」などというタイトルもありません。
男女の関係もおしゃれでよいですね。森本レオさんと、松尾嘉代さんが演じていたテレビドラマ「密会の宿」の情事目的の旅館の女将と居候の中年男の関係な
ど本当におしゃれな関係でした。
今回は「事件の年輪」を紹介します。
この連作の主人公たちは、私より10〜20歳年上の世代の老人で、彼らが巻き込まれる事件で構成されています。
老い、衰え、孤独死、老いらくの恋、青春時代の追憶、甘い恋、、、、
年齢の所為でしょうか、いつもの佐野作品以上に引き込まれて読んでしまいました。
10話のうち、気になった数話を紹介します。
◇楽しい時間
痴漢の濡れ衣を着せられて役員を退任していた男が殺されてしまいます。
痴漢事件に立ち会った「私」のところに遺族から、お別れの会に出てほしいと連絡が入ります。
故人はまさかの時には、この人たちに知らせてほしいと家族にリストを託していたそうです。
最近多くなってきた濡れ衣痴漢事件、やっていないことの証明は難しいですね。
濡れ衣事件を、警察の成果主義(有罪率の向上など)と絡めての発想も面白いと思いました。
他に老いらくの恋などの伏線もあります。
ミステリーのストーリーよりも、主人公の死生観などに興味を惹かれました。
私は、先日娘婿のA君に会った折りに、こんなことを頼んでおきました。
・延命治療は望まないこと
・臓器移植のドナー登録をしていること
・無宗教、無信心であり葬儀は不要なこと
・すべてが終われば、残したリストの方々に挨拶状(メール)を出してほしいこと
・これらは、近い内に書面にして託すこと
◇孤独な香水
元校長の隣人が、自宅のガレージを町内のゴミ置き場に貸し出し、毎朝6時から9時ころまでカラスや猫の害を見張るヴォランティアをすると申し出てきま
す。
元校長氏が毎朝のヴォランティアを始めてから数ヵ月後、ガレージのゴミ置き場に元校長氏の姿が見えなくなってしまいます。
アルツハイマー、痴呆になることの恐れ、死に対する美学、、、
身につまされる一編でした。
◇威張る相手
西河岸(にしひがし?)と言う名前が解決する殺人事件です。
理髪店で西彼岸と言う名前を聞いた元警察官の主人公は、どこかで聞いた名前だと記憶の糸を手繰っていきます。
この殺人事件の被害者は、赤信号で横断歩道を渡る青年に注意したり、電車内でバックパックを背負ったままの高校生を叱ったりと私と同じように小言幸兵衛
のような人物で、それを逆恨みされて殺されたのでしょうか?
若い人だけでなく、社会のマナーが身に
ついていない人に一言いってしまう性格の私も逆恨みを買わないようにしないと駄目ですね。
■日本航空の事故
6月15日午前、新千歳発羽田行の日本航空機が羽田空港に着陸時に前輪のタイヤが二本とも外れると言う大事故が起こりました。
数名の乗客が軽症とか、大きな犠牲が出なかったことが何よりでした。
日本航空で事故が頻発していることを3
月28日の
本欄で取り上げましたが、その後も事故は頻発していました。
また、6月5日には全日空機が管制官の指示より1600mもずれた高度を飛んでいたこと、またその時にTCAS(空中衝突防止装置)と言われる安全装置
も作動していなかったそうです。
もうすぐ日本航空機の御巣鷹山事故から20回の記念日を迎えます。
事故を繰り返すまいと誓った「絶対安全の誓い」とは何だったのでしょうか?その場逃れの言葉だったのでしょうか?
今回の事故の責任は日本航空にあるのは当然ですが、監督官庁の国土交通省の責任も大と思います。
建設省と運輸省を”合体”して、行政改革などと言っていることにも、多発する交通機関の事故の遠因があるような気がしております。
|