05/09/23 いよいよ、映画「蝉しぐれ」公開
藤沢周平さんの「蝉
しぐれ」が映画
化され、いよいよ10月1日に公開されます。(公式サイトはこちら)
映画「蝉しぐれ」については、黒土さんが藤沢周平さんについて書かれた本(NHK・私のこだわり人物伝)を通して少し紹介しております。(残
日録05/05/13)
藤沢周平さんの作品が相次いで映像化されています。中にはあれ?と思うものもありますが。(残
日録05/09/07)
藤沢周平ファンに限らず小説好きには、読書を通じてイメージした自分の世界に固執して映像化を望まない気持ちと、自分の感動を映像を通して共有したい気
持ちがあるのではないでしょうか。
「蝉しぐれ」は藤沢作品の中でも好きな作品の一つで、何度も読み返した作品です。また、一昨年にはNHKの金曜時代劇シリーズで映像化もされました。
NHK版では内野聖陽さんが好演されました。
映画「蝉しぐれ」もやっと来週公開かと思っていた時、見知らぬ方からメールをいただきました。
このように、Webサイトを公開しておりましても、個人の愚痴や小言のようなサイトには訪れる方も少ないでしょうし、小うるさい親爺にわざわざメールを
書いてくださる奇特な方もおられません。
メールを下さったのは、映画の自主上映の運動に携わっておられるMさんと言う方です。
映画「蝉しぐれ」の公式サイトにある掲示板に「映画化を期待しております」と昨年書き込んだのですが、その時のメールアドレスを辿ってメールをい
ただいたそうです。
Mさんは、黒土さんとも面識があり映画ファン、蝉しぐれファン、黒土ファンであられるようです。
いただいたメールには、是非映画を見て欲しいこと、鑑賞後の感想を掲示板にも書き込んで欲しいとのことでした。
映画「蝉しぐれ」の紹介はMさんの方がはるかにお詳しそう(既に試写も見ておられます)ですので了解を得て、いただいたメールの一部を転載させていただ
きます。(小見出しは引用者)
◆日本の風景
黒土監督の蝉しぐれも、四季折々の美しい風景が多く見られます。
監督は、江戸の風景を日本中探したといいます。
あるとき、一輪の野の花を見て
「この花も江戸には咲いていたはずだ・・・。映画を観た人はそれだけで
江戸だと分かってくれる」と思ったそうです。
監督が拘ったのは「農」だと仰っていました。
「農」・・・つまり庶民の目線を大切にしたかったと言う事なのでしょう。
子役・おふくは凄かった・・・と言っていいでしょう。
現代を生きる女の子に、こんな役を演じることが出来るなんてと
そう思いました。
文四郎も、下級武士の息子としての誇りや気高さ、そして若く無骨な姿を
よく演じたと感心しました。
演技は、TV・映画・舞台とでは全く違うものです。
この子役があって、成長した文四郎とおふくがひかり、透明感を引き出していたと感じました。
あまり書いてしまうと、楽しみが無くなってしまいますね^^;
でも、ワンシーン・ワンシーンがとっても丁寧な映像になっています。
日本の佇まいの美しさが随所に出てきます。
◆藤沢さんのこだわり
藤沢周平さんが、「蝉しぐれ」を映画化したくなかったのは
映画の為に書いたものではないこと。
「蝉しぐれ」の空気感・透明感を映像化するのは無理だと感じたからだそうです。
◆黒土さんのこだわり
そうなんです・・・藤沢さんは、なかなか許してはくれませんでした。
黒土監督は、先に脚本を書く決心をしたそうです。
脚本を書き上げ、萬玉さんに頼み藤沢さんに渡してもらったそうです。
藤沢さんは脚本を読み、それで映画化を許したそうです。
(中略)
作品が完成したときには、藤沢さんも、萬玉さんも既に無くなられていました。
どんなにか無念だったでしょう。
ほんのりと、映画を見たい気持ちが強まってくる行間からも熱が伝わるメールです。
こんなに映画に、作品に、監督に「恋」されていることが羨ましいことです。
◆是非ご覧ください
「蝉しぐれ」は、様々な形でファンが待ち焦がれています。
藤沢周平文学を愛する人
TV「蝉しぐれ」で魅了された人
配役に期待する人
黒土監督を愛する人
映画「蝉しぐれ」を観た受け止め方、感じ方も様々な形になることでしょう。
どうか、蝉しぐれが美しく鳴き続けますようにと
誰よりも願ってしまう私です。
Mさんからの数通のメールの中には、紹介した数倍の映画への期待の思いと言葉で溢れていました。
映画の紹介よりも、Mさんの熱き思いを紹介する書き込みになってしましました。
是非映画をご覧になって、その感想を公式サイトの掲示板(トップページからは
辿りつき難い)に書き込んでいただければと思います。
|