05/11/01 成果主義・拝金思想を疑え
今日から11月、関西地方でも紅葉便りが聞こえてきそうな、過ごしやすい季節になってきました。私の
気分もいくらかは回復しつつあるようです。
秋晴れに誘われて、ゆっくりとサイクリングを楽しみたいと思っております。
先の総選挙の結果を受けて識者のコメントが新聞紙上で紹介されていまし
た。その中で経済アナリストの森永卓郎さんは、今後は大増税(消
費税増額、所得税の 控除圧縮)、インフレ、憲法改正が進められると指摘されていました。「残日録」
(05/09/14)
その森永さんが日経BP社のWebサイトに「「小泉
改革をどう生きるか 〜成果主義・拝金思想を疑え!〜」というタイトルでコラムを連載されています。
今回はその一部を紹介します。
◆ユーフォリア(euphoria:根拠のない過度の幸福感。多幸症。大辞林より)
森永さんは、総選挙での小泉自民党の圧勝の理由は、ユーフォリア(陶酔的熱狂)であるといわれています。
私ははじめて聞くことばでしたが、ユーフォリアを利用している典型的なものがカルト教団でだそうです。
ユーフォリアが起きるためにはいくつかの条件が整う必要があるそうです。
◇まずカリスマが出現しなければならない。
元々カリスマ的素養のあった小泉さんがカリスマになったのは、「郵政改革をやる。オレは殺されたっていい」と言ったこの一言だったと指摘しています。
◇カリスマは反発者を懲罰にかける。
郵政法案反対者は公認せず対立候補を立て、政治生命を絶つに等しいことをしてきた。
◇カリスマは情報を遮断する。
選挙中、小泉さんは「郵政民営化」しか口にしなかった。
◇厳しい修行を与える
小泉さんがよく使う言葉に「痛みに耐えろ」がある。
大多数の庶民は痛みに耐え続け、ごく一部の富裕層が恩恵を被っている。
確かに今回の第三次小泉内閣の組閣人事でも、郵政法案に反対した派閥からの登用しない懲罰的な人事が目立ちました。
◆増税
衆議院の2/3の議席を持つ自公連合が意図すれば一般の法案は何でも通ることになります。
仮に参議院で否決されても、法案は成立します。
借金大国の政府は、増税で収支のバランスをとろうとするに違いありません。
◇国の借金
05年6月末時点での国の借金は795兆円あるそうです。
795兆円がイメージできませんので、世帯数、人口で除してみました。
▽世帯数:47,062,743世帯
▽人口:126,925,843人(「平成12年国勢調査 確定人口及び世帯数(全国)」による)
▽一人当たり借金: 6,263,500円
▽1世帯当り: 16,897,343円
単純な算数での計算ですので、このような数字に意味があるとは思いませんが、ボリュウムを見ていただくには良いかと思います。
こんな多額の借金を次の、次の次の、そのまた次の世代まで残さねばなりません。
面白いサイトがあります。「日本の借金時計」では、刻々と変化する国の借金総額と、世帯あたりの借金の額が表示されます。
また、このサイトに「国及び地方の長期債務残高」(平成17年3月)がありましたので、グラフにしてみました。
◇何故借金は減らないのか?
小泉首相は公共事業を減らし公務員の数を減らしてきましたが、借金は減るどころか増えるばかりです。
森永さんは、そこには大きなトリックが隠されているという。小泉首相は公共事業費などを減らしてきたが、政府消費を増大させてきたと指摘していま
す。
政府消費とは「公務員が消費する経費と、公務員の人件費を足した金額」のこと、「いわば、政府による支出のうち、『残る』ものが公共投資で、『消える』
ものが政府消費」だそうです。
例えば、国立大学や、国立病院などの多くの機関を独立行政法人としてきて、公務員の数は減っているが、その運営経費は相変わらず国が支出しており、経費
と人件費を足した政府消費で見ると、何も変わって いない。単なる費目のつけかえをしているだけです。
また、独立行政法人の職員の給与は国家公務員よりも7%も高いそうです。
◇小泉内閣の増税実績
▽03年5月の発泡酒増税
▽03年7月のたばこ増税
▽04年1月の配偶者特別控除廃止
▽05年1月の老年者控除廃止、公的年 金等控除縮小、
また、今後の増税プランも華やかです。
▽来年から2007年にかけての定率減税全廃……
▽給与所得控除の圧縮
▽配偶者控除の廃止など
▽消費税税率アップ
が予想されてます。
もう既に、消費税の税率アップについても具体的な発言が続いています。
07年の税制抜本改革では、消費税の税率アップを具体的に国会に出すと財務大臣が話しています。
「税率を記さない法案はない=消費税引き上げ問題で財務相」(朝日新聞 2005年11月01日)
◇増税の裏で、
▽10月27日には、中学校教職員給与に対する国庫負担(総額8500億円)の廃止が決まった。
▽金持ちは私立に行けばいいが、貧乏人はまともな義務教育も受けらず益々貧乏になっていくそんな社会が、彼らの言う「改革」の結果です。
つづきは機会を改めて書いてみたいと思います。
|