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05/12/06 映画 「ALWAYS三丁目の夕日

 先週末の寒い雨の日に、久しぶりに映画館に足を運びました。

 週に1度は自転車に跨る。
 月に3冊は本を読む。
 月に1本は映画を見る。

 そんな生活をしたいと思っておりますが、月に1本の映画を見ることは中々難しいことです。
 10月1日に「蝉しぐれ」(残日 録 05/10/01)を見て以来の映画でした。

 今回は「ALWAYS三丁目の夕日」を 見てきました。
 年甲斐もなく、素直に涙の落ちるのをとめられませんでした。

 1958(昭和33)年春から暮れにかけて、東京下町で起こる出来事が綴られています。

◇芥川賞受賞を夢見ながら、文学賞に応募/落選を繰り返す青年・茶川竜之介(ちゃがわ・りゅうのすけ)は、食うために駄菓子屋の店番と、少年雑誌に冒険小 説を書いてわずかな原稿料を得て暮らしています。
◇元踊り子のヒロミが町内に居酒屋を開業します。竜之介を初めとする近所の男どもは、ヒロミの美貌に引かれて毎晩やってきます。
◇そんな時、母親から見捨てられた少年・古行淳之介(ふるゆき・じゅんのすけ)が、母親の元同僚のヒロミに預けられます。
◇困ったヒロミは。色仕掛けで淳之介を竜之介に押し付けてしまいます。淳之介と竜之介の珍妙な生活が始まります。
◇自動車修理屋・鈴木オートに青森から集団就職で大自動車会社と勘違いして、少女(六子:ろくちゃん)がやってきます。

 そして、
◇淳之介に実の父親が現れて、裕福な家庭に引き取られ・・・
◇ヒロミは親の借金のかたに、また・・・
◇ろくちゃんは故郷を出るときつれなかった母の態度を誤解していたのですが・・・

 昔のホームドラマを見ているような温かさを感じがしました。
 全ての登場人物が生き生きと生活をしています。

 淳之介少年と私は同じ世代を生きてきました。
 懐かしい風景、音、匂い、そして人と人との関わり、思いやり、そんなものが溢れている時代だったのですね。
 懐古趣味としてではなく、あのような時代を生きてきたことを幸せに思いました。

 VFX(Visual Effects)というのだそうですが、コンピュータグラフィックスで昭和33年の東京の街が描かれています。
 12月の完成に向けて工事中の東京タワー、路面を走る都電、SL、上野駅、街を走る自動車、、、
 コンピュータグラフィックス多用でで見苦しいかと思っておりましたが違和感もなく、昭和の街の風景として残しておいて欲しいような映像でした。

 ヒロミ役の小雪さん、演技はともかくとして寂しげで、憂いを忍ばせる影ある女の役は存在感がありました。
 たばこやの看板おばちゃん・もたいまさこさん、鈴木オートのおかみさん・薬師丸ひろ子さん、町医者・三浦友和さん、、、皆さん好演でした。

 竜之介・吉岡秀隆さんは、宇野重吉さんのような渋い役者になっていくのでしょうか?

 淳之介と鈴木オートの一人息子・一平は淳之介の母がいると聞いた街まで出かけ、母に会えずにとぼとぼと帰ってきた。家出か人攫いかと心配していた大人た ちはほっとするのです が竜之介は
 「おまえ、どこへいってんだ」
 「心配したんだぞ。他人なのに」
 「おれとお前はアカの他人なのに」
 「心配したじゃないか」
 「ばかやろう」と一気に言って淳之介を抱きしめます。
 このシーンは「いいな、人間っていいなあ」しみじみと思いました。

 また、ろくちゃんの帰省を見送りにきた鈴木家の一平が、夕日を見ながら「明日もあさっても、50年後だって夕日はずっときれいだよ」というと、母 親・薬師丸ひろ子さんが「そうね。そうだといいわね」というラストシーン(台詞はうろ覚え)が記憶に残りました。
 私たちは50年前のものを殆ど失くしてしまいました。
 便利さや物の豊かさと引き換えに、街の風景も、音も、人情も、、随分多くのものを失くしてしまいました。

 冒頭のシーンで、一平たちがゴム動力の模型飛行機を飛ばすシーンがありましたが、一平のゴムの巻き方は「ヘタ」です。
 機体を上に向けてプロペラ近くの胴を左手でしっかりと持ち、右手の人差し指に力を入れてプロペラを回してゴムをしっかり硬くなるまで巻かねばなりませ ん。
 そうして、水平に離陸させるのです。

 原作は西岸良平(さいがん・りょうへい)さんの「三丁目の夕日」という コミックだそうです。
 私はコミックの類を全く読みませんので映画化されて初めて知りました。
 西岸さんは1947年東京生まれとのこと、彼の原体験もいくらか混ざっているのでしょうか?

 前々回(残日録05/12/03)も紹介し ましたが、京都市左京区嵯峨越畑の夕焼けも綺麗です。
 毎週綺麗な夕日を公開されている「越畑便り」を是非覗いてみてください。

 “夕焼雲のうつくしければ人の恋しき” 山頭火
 
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