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05/12/07 松下電器産業

 世の中が、連続する子供への痛ましい事件や、耐震強度偽装事件で騒いでいる影で、余り大騒ぎにはなら ずにいる「大事件」があります。
 松下電器製の石油温風暖房機で死者が出ています。

<経緯>
◆05年1月5日:福島県会津郡伊南村のペンションで松下電器製・温風暖房機から漏れた一酸化炭素により、宿泊中の小学生が死亡、他1名が現在も入院中で あ る。
◇05年2月10日:松下電器産業は石油機器製品の製造を3月末で終了することを発表した。
◆05年2月23日:長野県茅野市で2名が一酸化炭素中毒になり、内1名が8日間入院した。
◆05年4月13日:長野県長野市の美容室で松下電器製温風暖房機から漏れた一酸化炭素により、経営者、従業員、客の3名が一酸化炭素中毒にて救急車で病 院 に搬送された。内2名が1日検査入院した。
◇05年4月20日:松下電器産業は石油温風暖房機25機種、15万台余のリコールを発表した。
◆05年11月21日:長野県上田市で松下電器製・温風暖房機から漏れた一酸化炭素により教員の女性が死亡、その夫も重体である。
◇05年11月29日:経済産業省は松下電器産業に対して緊急回収命令を発動
◆05年12月2日:山形県山形市で修理済の石油温風暖房機xにより1名重体
◇05年12月5日:経済産業省は松下電器産業に対して「万全の措置」を取るよう指示
◇05年12月5日:松下電器産業はリコールの再告知を行う

◆被害者
 12月6日現在、死者:2名、一酸化炭素中毒:8名となっています。

◆何故大きな報道とならないのでしょうか?
 松下電器産業は、マスコミ各社にとって大切な大口の顧客です。
 大口広告主に遠慮しての「自主」的な報道規制であってはなりません。
 どこかのメディアが、壁を破れば一気に弱いものたたきの行動に出るのがこの国の腰抜けマスコミの常ではありますが。

 「製造後13年以上経っていて修理の終わったのは三分の一余りだ」等という、松下電器産業の泣き言を記事にするなど、松下寄りと勘ぐられてもしようがな いでしょう。
 暖房器具の使用時期が迫っているのに「何故半年以上も掛かって三分の一しか修理が終わらないのだ。問題はどこにあるのだ」と企業の姿勢を厳し く追求して欲しいものです。

◆松下電器産業は本気なのでしょうか?
 ◇告知方法
 松下電器産業は告知の中で、ユーザーに対して新聞紙上での「告知」(1回きり)、ホームページでの告知しかしておりません。
 この間、テレビコマーシャルはゴミのように垂れ流していながら、ユーザーにとって一番身近なメディアをどうして使わないのでしょうか?
 企業イメージを落とすことを恐れているのでしょうか?

 テレビ局はニュースの中で、リコールの内容を説明しております。(これも松下電器産業の広告費から出ているのでしょうか?)

 ◇8ヶ月余り何をしていたのか?
 最初の事故から11ヶ月が経とうとしています。
 彼らが自己責任を認識してからでも、8ヶ月が経過しています。
 その間、新聞やホームページに告知し、販売店の尻を叩いて販売数の三分の一しか修理(ユーザーの特定)ができていないとは、この間何をしていたのでしょ うか?

 彼らには人の命より重いものがあるのでしょうね。

 松下電器産業のホームページには
 「人にも、地球にも、やさしい明日のくらしへ。」
 「『すべてはお客様のために』を基本に」
 とキャッチコピーが貼り付けられています。

 「人」や「客」は誰のことなのでしょうね。
 今回の犠牲者は入っているのでしょうか?

 松下幸之助氏の言葉を金科玉条のように奉る企業の企業倫理の低さを見てしまいした。
 これ以上犠牲者が出ませんように。

<新聞報道など>
◆「松下製温風機で、また死亡事故 経産省、緊急回収を命令」(朝日新聞 05年11月30日)
 21日、松下電器製の石油温風機を使用していた長野県上田市の教員が一酸化炭素(CO)中毒で死亡、夫も重体となっていることが分かり、経済産業省は 29日、リコール(回収、無料修理)中の松下電器製石油温風機のリコールを徹底するよう松下電器産業に対して緊急命令を発動した。
 消費者生活安全法に基づく緊急命令の発動は初めてとのこと。

 4月20日に事故を公表後、松下電器が取ってきた対策は「新聞広告や折り込みチラシを配布したり、販売名簿をもとに顧客を探し出したりして無料点検・修 理を進めてきた」そうです。
 また、「製造していた時期が13年以上前と古く」て修理が終わったのは約三分の一の5万5000台余りだそうです。


◆「松下電器産業(株)に対する消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令について」(経済産業省 05/11/29)
 松下電器産業4月21日にリコールを開始し、11月24日時点での措置済み台数は、55,499台(対象製品の販売台数152,132台比:36%)と である。
 しかし、11月21日に4件目の事故(1名が死亡)が発生した。経済産業省は、同様の事故が再発する可能性が高いと考え、松下電器産業に対して、消費生 活用製品安全法第82条の規定に基づき、該当する製品について、回収又は点検及び改修、危険性の周知等必要な措置をとるべき旨の緊急命令を、平成17年 11月29日付けで発動した。

▽緊急命令の内容
 @製品の回収又は点検及び改修
 対象製品であって、本年4月以降所要の改修及び点検を行っていないものについて、速やかに回収又は一酸化炭素が室内に漏れないよう点検を行い必要な場合 は回収をおこなうこと。
 A注意喚起
 対象製品を使用する者に対する注意喚起を行うこと。
 a.松下電器産業が採る措置の内容を示すと共に、エアホースの交換又は点検及び改修をしていない当該製品を使用することが危険である旨の告知を行うこ と。
 b.4月以降松下電器産業(株)が行った注意喚起にもかかわらず、十分な周知がなされていない状況にかんがみ、注意喚起の表現、頻度、媒体等を見直し、 より有効と考えられる方法により、これを行うこと。
 B措置状況の報告
 上記@Aに関して、実施状況及びその後の実施計画を12月6日までに報告すること。同計画の実施状況を今後1年間、毎月報告すること。

▽参考
 消費生活用製品安全法(昭和四十八年六月六日法律第三十一号)
 第82条(緊急命令)
 主務大臣は、消費生活用製品の欠陥により一般消費者の生命又は身体について重大な危害が発生し、又は発生する急迫した危険がある場合において、当該危害 の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、政令で定める場合を除き、必要な限度において、その製品の製造又は輸入の事業を行う者に対し、その製 造又は輸入に係るその製品の回収を図ることその他その製品による一般消費者の生命又は身体に対する重大な危害の拡大を防止するために必要な応急の措置をと るべきことを命ずることができる。

◆「対応早ければ…無念 上田のCO事故、関係者悲痛」(信濃毎日新聞 05/11/30)
 29日、長野県上田市の事故(1名死亡、1名重体)の原因が松下電器製の石油温風機の欠陥が原因と分かった。

 「メーカーが早く、しっかり対応してくれていたら…」
 「大変気の毒。(メーカーが)早く取り換え ていれば、こんなことにならなかったのに…。悔しい」
 夫妻の長男は「話すことはありません」と。

 4月の事故(3名が中毒症状で病院に搬送)の被害者の夫は
 「死者が出たと聞き、あらためて怖いと感じる」
 「20年は持つと言われた」
 「メーカーは定期的 な点検や、対策をしっかり取ってもらいたい」と。

 1月の事故(ペンションで宿泊の少年が死亡、他1名が入院)のペンション経営者は
 「誰がまだ 使っているのか、松下電器は把握できているのだろうか。事故が二度と起きなくするにはどうしたらいいか、真剣に取り組んでほしい」と。

◆「松下製修理済み温風器でCO中毒か 山形の男性重体」(朝日新聞 05年12月05日)
 12月2日、修理済の製品を使っていて一酸化炭素中毒になり山形市の男性が意識不明の重体になっている。
 山形県警山形署は業務上過失傷害の疑いで捜査を始めた。

◆「松下電器産業(株)の石油温風機に係る事故報告について」(経済産業省 05/12/05)
 当該製品は、11月29日に経済産業省が消費生活用製品安全法に基づく緊急命令により回収又は点検及び改修、危険性の周知等必要な措置をとるよう指示を 行っていた対象製品の一つですが、今回の事故は、緊急命令発動以前に同社が4月以降行ってきた自主改修の中で既に改修済みの製品の使用時に起きた事故で す。

 経済産業省は
 @早急に事故原因の究明を行うこと
 A当該温風機の使用者への迅速な情報提供を行うこと
 B改修済みの製品について、再度安全性の確認を行うこと
 を含め、万全の措置を講じるよう、同社に指示いたしました。

<松下電器産業の告知など>
◆2005年2月10日:石油機器製品の生産完了について
 経営資源を集中し新規事業を発展させるためとして、05年3月末で石油機器製品の製造を中止すると発表した。

◆2005年4月20日:FF式石油温風機及び石油フラットラジアントヒーター 安全確保のための『社告』実施について
 25機種15万台余の石油温風機のリコールを告知した。

 <事故の原因>
 (1)経年劣化によりエアホースに亀裂が入り不完全燃焼となる。
 (2)亀裂が大きくなると排気ガスが2次エアホース内を逆流し、微量の一酸化炭素が漏れ出る。
 (3)燃焼ファンの異常など複数の要因が重なると事故に至る一酸化炭素が室内に漏れたと推定する。

 <対応>
 (1)無料で部品交換等の処置
 (2)新聞紙上で『謹告』
 (3)ホームページで告知
 (3)フリーダイヤルにて問合せに応じる

◆2005年12月5日:FF式石油温風機「山形での事故」に対する『緊急対策の実施』について
 11月29日の経済産業大臣の緊急命令を受けて、11月30日に再度新聞等への『謹告』の掲載などを実施した。
 修理済製品での事故については警察で原因調査中です。(だからコメントできないと言いたそう)
 修理済み商品のユーザーに「異常の有無の確認を行うと共に、使用中の換気と就寝中の使用中止のお願い」を電話する。

◆平成17年12月5日:大切なお知らせとお願い
 松下電器製の石油温風機及び石油フラットラジアントヒーターには事故に至る危険性がある。
 未点検のまま使っていると、一酸化炭素を含む排気ガスにより死亡事故に至るおそれがある。
 対象品番に該当する製品をご使用のお客様は販売店または下記の連絡先までご連絡をして欲しい。

 何故か、この告知だけは和暦「平成17年」を使っていました。
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