05/12/23 大山崎山荘美術館
連休を利用して、名古屋発〜中部国際空港〜伊良湖崎(泊)〜伊勢湾フェリー〜鳥羽〜四日市〜名古屋着と伊勢湾一周のサイクリングを計画していましたが、近
年にないという大雪のため断念しました。
予定がなくなれば、ゴロゴロと無為に時間を過ごすのが常のことであります。
そんな「何時も」を断ち切りたくて、寒い冬空でしたが近所の「大山崎山荘美術館」
に出かけました。
◆冬の道
自宅からJRの線路沿いに駅裏の細い道を歩いて行きます。
学校が冬休みになったのですね。撮り鉄(とりてつ・列車の写真を撮るのが趣味の鉄道ファン)の少年達がカーブに進入してくる列車の写真を撮っています。
若い人は良いですね。
山裾の民家の庭にはピラカンサの赤い実が遠くからも目を引きます。
あの赤い実は鳥達に食べてもらって、種を運んで貰うためにあんなに赤くなっているのですか?
赤い実はあちこちの庭にたくさん残っています。赤い実で目立ち鳥に運ばせるという彼らの戦略は間違っているのではないでしょうか?
◆大山崎山荘の庭園
ポケットに手を突っ込んで、急坂をぐいと登ると、大山崎山荘の庭に到着です。自宅から徒歩20分足らずです。
美術館への道は緩やかにU字型にカーブしていますが、すぐに右手の階段を上がり、冬の木立の中を散歩しながら美術館に向かいます。
寒さの所為でしょうか、人は数人しか見ません。
庭園内には昨日の雪が残っています。赤や黄色のカエデの紅葉や病葉と雪の白さが綺麗な模様を描いています。
携帯電話のカメラでは綺麗に撮れません。
葉を落とした落葉樹の枝を通して、冬の弱い日差しが差しています。
竹林の落葉の上にも、緩やかな日が差しています。
美術館(山荘)玄関前の白木蓮の蕾は暖かそうな綿毛に包まれています。
私たちはこれから本格的な冬だと言うのに、もう春の準備完了でしょうか?
◆オランダ正月
美術館の企画は2月22日まで「長崎オランダ正月展」です。
江戸時代には太陽暦の1月1日のことを「オランダ正月」と呼んでいたそうです。
企画展では、芹沢_介の「基督像」が印象に残りました。
芹沢さんは河井寛次郎等と並ぶ民藝運動の旗手の一人です。型紙を使って模様をつける沖縄の紅型など手法を和紙の上に型紙と顔料を用いて型絵染を初めてさ
れた人だそうです。
◆華厳譜
他に気に入った展示物は、棟方志功の「華厳譜」という24枚(1枚は所在不明)の連作で、棟方志功が宗教色を強めていく、切っ掛けの作品だそうです。
23枚が2双の屏風に表装されています。
作品の前に椅子があり、人も少なくゆっくりと鑑賞することができました。
左の写真は、文殊菩薩と題された作品です。
棟方志功さんの描く女性(神、仏)は、独特の雰囲気をもっていて引き込まれそうになります。
◆
コーヒーブレイク
綺麗なステンドガラスの嵌った階段を二階に上がると、一部屋は濱田庄司の作品が集められていました。
喫茶室でコーヒーをいただきます。
濃い目のコーヒーは、ぼんやりした頭を覚醒させてくれます。
テラスに出ると冷たい風が頬にあたります。冬枯れの庭園越しに、木津川、宇治川、桂川が合流して淀川になる合流点が見渡せます。
正面には、エジソンが電球のフィラメントに使ったという真竹が生えている男山がちょこんと座っています。
◆新館
地中の宝石箱といわれている新館には、モネの睡蓮が常時展示されています。
睡蓮の絵は毎回違うものが展示されているようなのですが、その違いが良く分かりません。
この建物は安藤忠雄さんの設計だそうですが、額装のガラスに照明の光が映り込んで角度により見難い構造のように思います。
◆ブラマンク
企画展の一部として新館には睡蓮のほかに、シャガールなど著名な画家の冬をテーマにした作品が展示されています。
右回りで最初に見た絵は、黒い空と雪でぬかるんだような道、左右の建物が直線的に描かれています。
何故か、妙に気になる絵です。
ブラマンク(1876年〜1958年)の作とのこと、ブラマンクは貧しくて若い頃は自転車の選手をしていたそうです。
ゴッホの影響を受けて、絵の具をチューブのまま塗りつけるような描法だったそうです。
◆宝積寺
美術館を出て、再び庭園を散策しているとブラマンクの雪道の絵の暗い印象が頭から離れません。
しばらく四阿のベンチに座って、ぼんやりと木の枝を渡る風を見て過ごしてました。
先日は、川柳に大きな影響を受けましたが、今日は1枚の絵に強烈な一発を受けたようです。
山荘の裏から宝積寺に回りました。
境内には門松も飾られていて師走の風景です。
秀吉が山崎の合戦の時に一夜で建てさせたという「一夜の塔」があります。
近場のお散歩なのにすっかり疲れて、西国街道をとぼとぼと歩き、スーパーに立ち寄り安いワインを買って帰宅しました。
野菜の煮物を作り、久し振りに明るいうちからお酒を飲んでしまいました。
加齢による身体と脳の衰えが、色々なバランスを壊しているようです。
自分自身に、少し鞭を入れて何とか書き終えました。
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