06/01/21 拝金主義
◆ライブドア
プロ野球球団取得騒動以来、時代の寵児のように持てはやされ、昨年の総選挙では郵政民営化に反対する自民党議員の刺客の一人として立候補、テレビのバラ
エティ番組にも、あちこちに顔を出す堀江貴文氏が経営するライブドア社が証券取引法違反容疑(風説の流布)で東京地検特捜部による家宅捜査され、財務担当
役員などが事情聴取を受けているそうです。
堀江貴文氏も来週には事情聴取されるされるとか。
IT長者と言われる彼らの錬金術の手口は、そんなに複雑なものではないと思います。
架空取引による売上や利益の水増し決算、その決算結果による株価の吊り上げ、株式の分割等を繰り返しているだけで、何れ破綻することは自明の理でありま
す。
株式市場は、そんなことを知りながら「マネーゲーム」として、彼らを利用しています。
「ライブドア 粉飾指示 子会社 黒字に」(読売新聞 06/01/17)
「ライブドア関連会社幹部、違法性認識か・『危険だが実行』」(日本経済新聞 06/01/17)
「ライブドア事件、堀江社長を来週聴取・東京地検」(日本経済新聞 06/01/21)
民主党(当時)の衆議院議員・西村真悟を公認した民主党や、煽ててテレビに引っ張り出していたマスコミと同様に、無所属での出馬とはいえ幹事長等が選挙
応援をしていた自民党の罪、マスコミの罪は問われなければならないと思います。
◆企業の価値
ライブドア社が地検の家宅捜査を受けたことで、株価が下がり「時価総額」が1日で1500億円、4日間で3500億円も減少したと報道されています。
元々の時価総額なるものが実体の無いものだという報道はなぜないのでしょうか?
「ライブドアグループ上場7社、時価総額1530億円減」(日本経済新聞 06/01/18)
「ライブドア時価総額の減少続く、4日間で半分以下の3525億円に」(朝日新聞 06/01/20)
時価総額とは発行済株数×株価で算出する企業の価値を計る指標の一つだそうです。
流動的な株価が、企業の価値、経営者の手腕を評価するものでよいのでしょうか?
企業の価値は、社会に価値ある商品やサービスを供給すること、労働者を雇用し彼らの生活を保証することではないのでしょうか?
それ以外に企業の存在する理由は無いように思います。
◇時価総額
証券取引所で売買された株価の当日の終値を発行株式数にかけて算出する、株式市場の指標のひとつです。
個別企業の株価に発行株式数を掛ければ企業の時価総額が表され、市場全体の企業の時価総額を合計すれば市場の規模を表すことになります。
個別銘柄で見る場合、時価総額はその銘柄の「価値」を示しており、企業買収の参考にもされます。市場の時価総額は国際的な市場規模の比較や国内の経済全
体に占める株式市場の規模を見る場合に利用されます。
「やさしい経済用語の解説」より引用。
◆拝金主義
何時も紹介しているソフトウエア販売会社アシスト社の社長ビル・トッテンさんは、氏のコラムOurWoldの中で「成長神話から脱皮を」と題して下記のような指摘をされています。
◇引用◇
(前略)「もし誰かが誤って財布を落とせば、拾った人が正直であれば交番に届けるだろう。それによって利益を手にすることは反道徳的で反倫理的な行為
だ。しかし
みずほの誤入力で得た利益は合法であり、このみずほの誤発注で個人で億単位の利益を手にすることができる仕組みが今の経済システムなのである。このほとん
ど狂ったような拝金主義を支えるためにも経済成長は欠かせない。いまの資本主義体制において成長に疑問を呈することはタブーなのである。たとえどんなに
狂っていても、多くの命を犠牲にしても、または地方のコミュニティーがそれによって崩壊の危機に直面し多様性に富んだ文化が失われても、もはや経済成長は
原理主義となり、成長を批判する人は非難の対象にされてしまうのが現実なのだ。」(後略)
私たちは拝金主義者達に煽られて、経済の成長が止まる事は悪であるという毒に毒されているようです。
社会全体が立ち止まって考えることが必要ではないでしょうか?
◆不思議なIR情報
私が上場を手伝った会社(仮にA社と称しましょう)のインターネット上のIRのページに不思議な文書が掲載されています。
A社・社長の自筆署名と代表者印が押された東京証券取引所・西室社長宛ての「半期報告書の適正性に関する確認書」(05/12/26)と言う文書が掲載
されています。
内容は極々当たり前のことが書かれているだけです。
◇内部監査体制に問題のないこと
◇会計監査人の監査にも問題がないこと
◇重要事項は取締役会に適切に付議・報告がされていること
◇連結子会社の半期報告書の記載に必要な事項も適切であること
◇各種法令を遵守していること
A社のIRのページには、前後のいきさつが書いておりません。
文書を読むと、半期の決算に疑義を鋏むタレコミか報道があり、そのことについて東京証券取引所に対して弁明しなければならない事情があったのでしょう。
「残日録」(05/02/01)で取り上げ
ましたメディア・リンク社の架空売上に関連して逮捕された伊藤忠テクノサイエンス社(CTC)の営業部長や部長代理はA社に出入りしておりました。
CTCの営業部長だった男はCTCを退職後、ライブドアの前身のオンザエッジ社に入社しておりました。
下衆の筆者は、今回のライブドア社の強制捜査と何か関係があるのかと勘ぐってしまいました。
◆◆訂正◆◆
上記で「半期報告書の適正性に関する確認書」をわざわざ提出しているのは「裏」があるのではないかと書き込みましたが、東京証券取引所のホーム
ページに下記の記載がありました。
◇引用◇
「2.有価証券報告書等の適正性に関する確認書
東証では、上場有価証券の発行者に対して、有価証券報告書又は半期報告書(以下、「有価証券報告書等」といいます。)について、当該上場有価証券の発行
者の代表者が、不実の記載がないと認識している旨及びその理由を記載した書面(有価証券報告書等の適正性に関する確認書)(以下、単に「確認書」といいま
す。)の提出を求め、公衆縦覧に供することとしています。上場有価証券の発行者は、有価証券報告書等を内閣総理大臣(権限委任を受けた各所管の財務局)に
提出した後、遅滞なく、確認書を東証に提出する必要があります。」
なお、上記確認書の提出は05(平成17)年1月1日以後の有価証券報告書の提出時から義務付けられたようです。
訂正してお詫びします。
(本項は06/01/22に追記)
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