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06/02/09 とぼけた総理大臣

 小泉純一郎と言う男は、どこまでとぼけ た男でしょうか。
 女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案について、党議拘束をかけてまでも今国会で成立させるといきまいていたにも関わらず、秋篠宮妃の妊娠が発表され ると、少しずつトーンダウンしていきます。
 彼が力んで成立させなければと叫んでいた諸々の理由は、解消されたのでしょうか?

 さて、先日(残日録:06/02/03)、 参議院 予算委員会での小泉首相の格差を是認する発言についてけしからんと書きましたが、参議院のホームページに当日の議事録(平成18年 2月 1日第2号)が掲載されていましたので読んでみました。

◆民主党・鈴木寛議員とのやり取り
 鈴木議員は、学童の経済援助が必要な家庭が、この10年で2倍に増えていること。とりわけ、東京、大阪では全家庭の1/4が経済援助が必要な家庭なって いること、虫歯の子供が増えていることを捉え、首相が格差が拡大していないと認識しているのかと質しています。
 小泉首相は、識者から意見を聞いたが所得格差、資産格差は世の中が騒ぐほどには各国に比べてないとの認識だとのことです。

 小泉流のお惚けとしか思えません。
 鈴木議員は具体的な数字を挙げて、経済援助の必要な家庭が増えていると指摘しているのに、識者が「各国と比べてない」と言っているからないという。
 その白髪に隠された脳みそは腐っているのでしょうか?
 各国ってどこのでしょうか?

 OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本の貧困率は15・3%に達しています。十年ほど前の13%台から急増しています。加盟25ヶ国中5位であ り、OECD諸国の平均10.2&を大きく上回っています。
 生活保護受給者も十年前は六十万世帯だったのが、現在は百万世帯を越えています。
 ※貧困率:全世帯の年収の中央値の半分以下しか収入のない世帯の人口比率
 「人間らしい雇用の破壊 貧困率10年で急増」(しんぶん赤旗 05/12/23)


◆自民党・市川一朗議員とのやり取り
 宮城県選出の市川議員は、小泉改革は自助自律が基本であり弱い地域への補強策が無かったために地域格差が拡大しており、このまま改革一本やりで進んでい けば問題が生じるのではないかと質しています。

 自助:他人の力によらず、自分の力だけで事を成し遂げること
 自律:他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること
 (大辞泉から)

 これに対して小泉首相は明確に「格差が出ることは悪いことではない」と発言しています。
 「努力をした人が報われる社会に反対なのか?」
 誰も反対しませんん。
 この人の話法は、相手の言葉尻を捕らえて誰もが反対できない命題を引っ張り出して議論の的をずらしていきます。

◆社民党・福島みずほ議員とのやり取り
 福島議員が、しつこく「格差が拡大している」との言質を取ろうとするのですが、小泉首相は頑なに「格差を認識していない」との態度に終始します。

 彼らにこのような自信を与えた識者はどんな学者なのでしょうか?
 このような学者を「御用学者」というのでしょうね。
 学問とは誰のためにあるのでしょう。

 貧困率がOECDの調査でも調査国の中で5番目に高いことなど、普通の目線で見れば格差(貧富の差)は拡大しているとみえるのですが。
 福島議員とのやり取りでは「格差の拡大」を認めようとしない一点でした。


◆議事録から(格差関連の部分のみ再録)
◇民主党・鈴木議員と小泉首相
○鈴木議員
 総理は、明確な格差の拡大を確認されていないと本会議で答弁されています。この問題は、昨年の予算委員会でも私から総理にお願いを申し上げました。
 このパネルをごらんください。(資料提示)経済援助が必要な御家庭がこの十年で二倍に増えているんですね。東京、大阪ではもう全家庭の四分の一です。こ うした中で、要保護者への国庫補助も昨年の三月なくなりましたし、学校保健法による疾病の治療費も国庫補助がなくなって、結果、そうした家庭の児童の虫歯 が増えているんです。
 総理、これでも格差は拡大していないとお思いですか。お答えください。
○小泉首相
 格差の問題についていろいろ議論がされている状況におきまして、識者からもどういう状況だと私も聞いております。先般も、政府・与党の会議におきまして も、この格差の問題が話題になりまして、識者から現実のデータに基づいて説明を受けました。
 そういう状況において、所得格差あるいは資産格差等、巷間言われているほど、今の日本の社会において格差はそれほど各国に比べてもないという報告を受け ておりますが、今後とも、生活保護世帯等増えているのも事実であります。そういう点について、予算も増えております。さらに、フリーターとかニート等の問 題、こういう問題について、将来の状況を考えるとおろそかにはできないなということから、この問題についても今後よく注視していく必要があると思っており ます。

◇自民党・市川議員と小泉首相
○市川議員
 午前中ちょっと時間切れになってしまいましたが、つまるところ、総理といたしましては、いわゆる改革なくして成長なしとずっとやってきて景気も回復基調 になったと、デフレ脱却はまだ達していないが、その道筋が見えてきたと、そういう御認識でおられるのではないかなと思うわけでございますが。
 そこで、よくもう御質問いろいろ出ているわけですけれども、いわゆる改革に伴う光と影という意味において、今景気回復に伴ってやはり私は地域格差が相当 出てきたなと思っているわけでございます。
 元々、日本列島、地域格差問題というのは大きなテーマでございまして、政治の世界ではもう長年取り組んできたテーマでございますが、小泉構造改革は基本 的には自助自律という基本でございますから、いわゆる弱い地域への補強策というものはなかったということの結果でもないかなと思うわけでございます。最近 テレビ、昨日辺り見ますと、求人倍率等も回復しつつあるようですが、地域によってそういった問題について格差が出てきているということでございます。
 この辺、これから改革を加速するということで更に改革を進めていくべきであると小泉総理、内閣としては表明しておられるわけでございまして、改革加速と いう点では、私どもも自由民主党という立場も含めまして基本的には賛成でございますが、このまま一本やりでいったんでは地域格差問題、やはり問題が出るん じゃないかなと思うわけです。
 各担当大臣にお聞きするのも一つの方法ですが、ひとつ一括して、総理として、その辺について、今後改革一本やりで本当にいいのか、加速一本やりだけでい いのかという質問に対してどうお答えいただけますか、お願いしたいと思います。
○小泉首相
 私は格差が出るのは別に悪いこととは思っておりません。今まで悪平等だということの批判が多かったんですね。能力のある者が努力すれば報われる社会、こ れは総論として、与野党を問わずそういう考え方は多いと思います。
 基本的には、企業も国も地域も個人も、自助と自律といいますか、自らを奮い立たせて自分のことは自分でやるんだと。自らを助ける精神、自助の精神と、か といっても他人もいるんだと。その根はおのずから、自分を律する精神、自らを律する、他人に迷惑を掛けない。いわゆる自助と自律、自らを助ける精神と自ら を律する精神、欲望なりを抑える、律する精神、自助と自律の精神は、どの時代にあろうともどの国であろうとも、どの地域においてもどの社会においても個人 においても変わらない大事な精神だと思っております。
 そういう中で、どうしても自らの努力によっては立ち行かない、そういう人に対しては、どうやってお互いが助け合うか、あるいは公共の機関なり国が支援の 手を差し伸べるか、これが大事であります。いわゆる社会保障制度ですね。こういう前提において、努力をしても報われない社会じゃどうしようもない、努力が 報われる、創意工夫が発揮される社会をつくるということで改革が必要だと、時代の対応が必要だと。
 しかしながら、改革をしようとすると、現状がいいと。現状において恵まれている人は、常に現状維持がいいというのは、それは当然だと思います。そういう ところで、改革を進める際に、現状の権益が阻害されるグループは必ず抵抗なり反対します。それを、全体のことを考えて、どのように、多くの人が活力を発揮 できるような、自ら持っている潜在力を顕在化させることができるような、あるいは自分の能力が生かせるようなチャンスの機会が、機会が提供されて、その チャンスをつかむ機会をたくさん提供するか、こういうことが大事であると。でありますので、私はそういう点に配慮しながら改革を進めてきたつもりでござい ます。
 現に、就任当初から改革に対する反対、抵抗が強かったわけでありますけれども、ようやく今光が見えてきた。光が見え出すと影のことを言う、これはまた必 要であります。しかし、今まで影ばっかりだと言われたところをようやく光が出てきたんですから、この光を更に伸ばしていく。で、影と言われた部分に対して どうやって手当てをしていくかというのが大事だと思っております。
○市川議員
 総理のお話は、テレビをごらんになっている皆さんもしっかりお聞きになったと思います。私は、地域格差問題は若干意見を異にしますので、今日で予算委員 会が終わり、国会が終わるわけではありませんので、またいろいろ議論が出てくると思います。その場に譲りたいと思うわけでございますが、もう一つ、九月退 陣となりまして、やっぱり私気になりますのは、いわゆる中国と韓国の関係ですね、これがどういうふうになるんだろうと。

◇社民党・福島みずほ議員と小泉首相他
○福島議員
 格差、元祖格差是正の社民党としてお聞きをいたします。
 総理は格差が拡大しているデータはないとおっしゃっています。では、貧しい人が増えている、貧困層が増えている、これはお認めになられますか。
○小泉首相
 いや、その格差是正の問題についていろいろ質疑が重ねられておりますので、識者から実際どういう状況なのかと、先日も政 府・与党の会議で識者から実際の現在あるデータを基にしてお話を伺ったところ、言われているような日本は格差社会ではないと、ほかの国と比べても生活水準 も高いと。しかし、一方では生活保護世帯も増えている、フリーターあるいはニートという状況もあるから、これにはよく注意して、こういう方々たちに対して やはり仕事の重要性、就業機会をいかに増やしていくか、またやる気を持って取り組んでもらうかということが必要だという認識はしておりますし、私は、ある 程度人には違いがあると。地域においても格差といいますか特色があります。そういう違いとか多様性を認めて、できるだけ地域なり企業なり個人なりが持って いる能力を引き出していく努力が必要ではないかと。
 そして、どうしても対応できない、自力ではやっていけない方々に対して、どうしてお互いに助け合い、あるいはまた政府の機関、公共団体、公共の機関なり がそういう方たちに対してどのような保障なり対策をしていくか。この両面が必要だということを言っているんであって、むしろ悪平等というものをどうやって なくしていくかということが必要でないかという視点も踏まえて、日本の持っている力というものを、あるいは創意工夫というものを発揮させていくことによっ て更に日本の経済が発展し、国民生活も豊かになるのではないかということを目指しているのが小泉内閣の改革であって、更にこの貧困を増やすとかいうより も、失業者をいかに減らしていくか、就業機会を増やしていくか、経済を発展させていくか、そのための潜在力をいかに引き出していくかというのが我々の目指 す改革であるということも御理解いただきたいと思うんであります。
○福島議員
 貧困率が高くなっている、貧しい人が増えているという認識は総理にはありますか。
○小泉首相
 そのデータを拝見し、データに基づいた説明を伺ってますと、私は、その各国と比較の話でありますけれども、これがますま す増えていくという状況ではないと。現に、就任以来改革を進めて、失業率も減ってきております。そして、有効求人倍率といいますか、これは一に近づいてい るよりも一を最近超えてきたということは、企業が人を求めるといっても仕事を探したいという人が少ないという状況、改善されてきていると。ミスマッチが問 題ということは事実であります。
 私は、これはあってはならないというのは、どの時代におきましても成功する人としない人います。また、それぞれの人の持ち味が違います。力も違います。 ですから、今後、我々は気を付けていかなければならないのは、貧困層を少なくするという対策と同時に、成功者をねたむ風潮とか、能力のある者の足を引っ張 るとか、そういう風潮は厳に慎んでいかないとこの社会の発展はないんじゃないかと。できるだけ成功者に対するねたみとかそねみという感情を持たないで、む しろ成功者なり才能ある者を伸ばしていこうという、そういう面も必要じゃないかと。
 同時に、これから、生活保護世帯が最近増えておりますけれども、そういう人たちに対する対策も含めて、今後、生活保護を受けないで新たな仕事に就けるよ うな対策、これが大事ではないか。特に、フリーター、ニート等の問題については力を入れて、若い人にどんどん仕事の機会を提供をして仕事に就く機会を持っ てもらうような、またやればできるというような意欲を持ってもらうような教育といいますか訓練の場というか、そういうのが必要ではないかなと思っておりま す。
○福島議員
 貧しい人、貧困層は増えていないというのが総理の認識ということでよろしいですね。いや、総理。ごめん、総理に聞いています。結構です、 結構ですよ。(発言する者あり)
○与謝野国務大臣
 日本の経済は確実に拡大しているわけでございます。完全な自由経済の社会では当然格差は生じますけれども、例えば戦後六十年の 日本の社会は、やはり所得再分配というものをよく考えてきた私は社会であって、それは一つは、道具としては、ツールとしては所得税制があり、またいろんな 社会保障制度を通じて所得再分配を行ってきたと。そういう意味では、私は、直観ではございますけれども、日本の社会というのは、いろいろな制度、税制を見 ましても、世界の先進諸国の中では極めて格差の少ない社会であると思っております。また、先般、学問的に御説明しましたジニ係数もそのようなことを物語っ ていると私は思っております。
○小泉首相
 与謝野大臣も答弁されましたように、所得格差においても賃金格差においても、国際比較においてはそのような拡大は言われ ているほど見られないという報告を受けております。ただ、日本の所得格差は緩やかな拡大を示しているということでもあります。そういう点によく注視しなが ら、今後様々な対策を打たなきゃいけないと思っております。
○福島議員
 貧困層、貧しい人が増えているという実感は総理にはないということですね。
○小泉首相
 これは、今までも申し上げておりますように、所得格差は緩やかな拡大を示しておりますが、英米のような賃金格差の拡大は 見られないということであります。国際的に見ても、賃金格差は大きくも小さくもないという報告を受けております。
○福島みずほ君 いやあ、非常にがっかりしています。
 ジニ係数は拡大していますし、貯蓄残額ゼロが今四分の一です。貧困率は、二〇〇〇年には一五・三%と先進国中日本は三番目の高さ。所得再分配調査は、八 〇年代前半までは高所得層の当初所得は低所得層の十倍でしたが、二〇〇二年には百六十八倍となっています。非正規雇用は小泉さんの政権下で五百万人増えま した。地域格差も、自民党の議員からも出ています、拡大をしています。
 公立の小中学校で文房具、給食費、修学旅行費などの援助を受ける子供の数、二〇〇四年度までの四年間に四割増。東京、大阪、山口、これは四人に一人。足 立区は二〇〇四年、四二・五%です。子供たちが援助をもらわないと修学旅行に行けない、文房具買えない。卒業文集の作成、これは新聞に出ていたものです、 クラスの児童、将来の夢、三分の一の子供が書けない。自分が成長してどんな大人になりたいのかイメージができない。
 総理に貧困層が増えているという実感がないんだったら、総理はもう裸の王様ですよ。国民の実感とずれている。国民見ずして改革なし。政治をやる資格はな いですよ。
 所得再分配やそれを政治がどうするか、それについてどうですか。問題を認識しないんですか。
○小泉首相
 問題を認識しているからこそ……
○福島議員
 だって、貧しいと認識してないじゃないですか。
○小泉首相
 そのような対策をしていかなきゃならないと言っているわけであります。
○福島議員
 改めて聞きます。
 では、所得の格差の拡大を認めるんですか。貧しい人が増えているというのを認めるんですか。
○小泉首相
 それは比較の問題ですから。それは、世界全体から見れば日本は豊かな社会であるけども貧困層があると、そういう点につい ては対策をしっかりやっていくということであります。
○福島議員
 貧困率が二〇〇〇年には一五・三%と先進国中三位、これはどうですか。
○与謝野国務大臣
 確かに、生活保護者等は増えているということは事実でございます。マクロのいろんな数字を勉強しますと、格差はそんなに拡大さ れているというふうには確認されませんけれども、やはり我々としては、そのマクロの数値に表れてこない格差拡大を示唆する動き、こういうものが指摘されて いる。それはどういうことを背景にしているかということは、政治としては考えていかなければならないと思っております。
 一つは、バブル崩壊後の長期にわたる大変厳しい経済状況の下で、先生も御指摘になられましたように、人件費削減のため非正規雇用を拡大したこと、これが 一つです。それから第二番目は、かつてのように必ずしも年功序列型で賃金が横並びで上昇していくという状況にはないこと。こういうことにはやはり我々は注 意をしながら政策を考えていかなければならないと思います。
 また、それと同時に、若年層においていわゆるニートとかフリーターというものが増加している。これは、将来の格差を拡大するものとして我々は考えていか なければならない、また政治として取り組まなければならないと、そのように考えております。
○福島議員
 今、五世帯に一世帯が年収二百万円以下です。それを見ない、格差は拡大していない、そして貧困層の問題が分からない、こういう小泉首相、 もう政治をやる資格はないと思います。
 
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