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06/02/18 Whistle Blower

 自分が働く運送会社等が違法なヤミカル テルを結んでいることを上司に指摘したが聞き入れられず、新聞社や公正取引委員会に通報したことに対する報復とし て、退職を強 要 されたり、閑職に追いや られるなど不当・不利益な扱いを受けていた串岡弘昭さんと、自民党・綿貫民輔衆議院議員のファミリー企業・トナミ運輸との和解が成立したそうです。

 05年2月の富山地裁の判決は「(内部告発は) 正当で法的保護に値する。会社は報復として不利益な取り扱いをした」としたが謝罪請求を退けたため、これを不服とした串岡さんが控訴していたものです。

 和解の内容は「▽串岡さんに一審判決以上の額の和解金を支払う▽内部告 発の報復を違法とした一審判決の趣旨を尊重する−ことなど」だそうです。
 また、謝罪の内容はトナミ運輸が「『判決の趣旨を受け止めて教訓にし、適正で公正な業務運営を心がける』との姿勢を表明する」こととなったそうです。

 串岡さんは「(明確な謝罪文を求めた)理想と比べれば残念だが、公益通報者や労働者に勇気を与えられる」と語っておられるそうです。

 「串岡さん、トナミ運輸と和解 賠償金増額 報復は違法尊重」(中日新聞 06/02/17)
 「内部告発で不利な人事 トナミ運輸と社員が控訴審で和解」(朝日新聞 2006年02月16日)

◆Whistle Blower(ホイッスルブローアー):内部告発者
 串岡さんは1946年生まれで私と同世代の方です。

 大学卒業後、トナミ運輸に当時の幹部候補生として就職し、横浜、桶川、四日市、岐阜と転勤。
 1974(昭和49)年、岐阜営業所勤務時に、トナミ運輸を含む東海道路線連盟(東京・大阪間に路線を持つ運送会社50社)が、価格の吊り上げや客の奪 い合いを防止する ためにヤミカルテルを結んでいることに気づき、幹部、役員に直訴するも聞き入れられなかった。

 串岡さんは、新聞社に業界や会社の実体を訴え「50社ヤミ協定か 東海道路線トラック」という記事になった。
 それからの30年間、串岡さんへの会社側の攻撃は執拗に繰り返されます。

 ▽研修所への転勤
 ▽一人部屋への隔離
 ▽退職強要
 ▽草むしりなどの屈辱的な仕事
 ▽怪電話
 ▽暴力団員の恐喝
 ▽親兄弟を通しての退職強要
 ▽55歳で手取りは新入社員並みの18万円

 この項は「串岡弘昭氏の闘い」を参考にさせていただきました。
 串岡弘昭さんの書かれた「ホ イッスルブローア=内部告発者 我が心に恥じるものなし」を読んでみたいと思います。

 「残日録」(02/05/03)で紹介した 山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」の主人公・恩地元が会社の不当な会社の攻撃にあいながらも節を曲げずにいたことを思い出しまし た。
 恩地は「私が辞めたら悲しむ仲間がいる。その一方で丸の内の本社で祝杯をあげる会社や第二組合の人間がいると思うと辞められない」という場面がありまし た。

◆労働組合は?
 トナミ運輸に労働組合はあるようですが、労働組合は串岡さんを守ってきたのでしょうか?
 インターネット上では、労働組合が串岡さんを支援していたとの情報は見つかりませんでした。

 私は企業の腐敗の原因の一つに労働組合の弱体化されたことが大きく影響していると思っています。
 家族以外に支援者のいなかった(のではないかと思っています)串岡さんが30年の長き年月を正義を貫くために闘ってこられたことを思うと、その精神力に 感服するばかりです。

◆1974年、もう一つの運輸労働者の事件
 私は60年から70年代に、巨大な労働組合の末端の組織で反主流の労働運動をしていました。
 そんな時期に、大阪の片岡運輸で労働組合を分裂させようとする一派から分会長が殺害されるという事件もありました。
 この事件は別の機会に取り上げたいと思います。

◆腐った男・西村真悟
 弁護士法違反(非弁護士との連携)と組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の罪で起訴され、民主党を除籍された無所属の西村真悟衆議院議員が、衆議院 事務局に会派届けを出していたとの報道がありました。

 報道によると「立法活動に対する調査研究費として会派に支払われる月額六十五万円の立法事務費の受給が狙いとみられ、与党内からは『信じ難い姿勢だ』 (公明党の東順治国対委員長)と批判の声が上がっている。」そうです。

 国士(国家のために身命をなげうって尽くす人物。憂国の士)と煽てられ木に登った男の末路は、月額65万円の血税を吸いとるためになりふり構わず「一人 会派」を届け出たのです。

 「西村真悟被告が1人会派届け出」(東京新聞 06/02/17)
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