06/03/01 みかんの缶詰
購読しているメールマガジン(日経ビジネス Express ダイジェスト)の06/02/27号に面白い記事がありましたので紹介します。
筆者は
日経ビジネス・北京支局長の田原真司さんで「日本から『みかんの缶詰』が消える日」と少々センセーショナルなタイトルです。
私は日本の食料自給率の低さに危惧を持っており、以前にも「残
日録」(05/08/25)で取り上げました。
◇日本の食料自給率
穀物自給率(飼料用を含む、重量ベース):27%
カロリーベース:40%
主食用穀物自給率(重量ベース):60%
金額ベース:70%
※農水省の「平成15年度の食料自給率」より
日本は1971(昭和46)年には年間約8万トンも輸出するみかんの缶詰輸出国だったのですが、90(平成2)年頃から輸入が増大し2000(平成
12)年には年間おおよそ8万トンが輸入されています。90年後半に
は輸出は0となっています。
1991(平成3)年オレンジの輸入自由化、1992(平成4)年オレンジジュース輸入自由化が大きく影響していると思います。
◆記事のあらまし
◇日本のみかんの缶詰の消費量(家庭用と業務用)は年間6〜7万トンでその殆どが中国からの輸入品である。
◇需要が減っているわけではないのに中国の缶詰業者の倒産が相次いでいて数年後には中国産のみかんの缶詰が食べられなくなるかもしれない。
◇中国のみかんの缶詰業者が厳しい経営環境に置かれている原因は、原材料費や人件費の高騰にも関わらず低価格での輸出、厳しい品質を要求される日本の市場
にあると書かれています。
◇コストの上昇
▽原料のみかんは、天候不順による不作でキロ当たり60から80%値上がり。
※下の行も同様ですが「×キロ当たり×%」の記述は正しいのでしょうか?割合を表現するのであれば「×%」が正しいのでは?
▽シロップ用の砂糖と缶詰用の鉄板は国際相場の急騰の影響でそれぞれトン当たり50%近く値上がり。
▽人件費は地元政府に
よる最低賃金の引き上げで約10%上がった。
▽設備の近代化や品質管理のためのコストが上昇している。とりわけ日本向けは品質の要求レベルが高くコスト高となっている。
◇小売価格が切りの良い100円とか、88円で販売されれていることが値上げできない構造となっている。
◇みかん缶詰の工程
殆どが手作業だそうです。
▽選別
▽茹でる
▽皮をむく
▽小房に分ける
▽薄皮を薬品で溶かす
▽サイズ、割れ等選別
▽計量
▽缶に詰める
▽シロップ充填
▽缶詰
◇日本人は割れた身を嫌がるなど品質に厳しすぎる。
◇私たち消費者は中国のみかんの作況や缶詰生産業者、輸出入業者のことも考える必要がある。また、安全な食品には一定のコストがかかることも認識すべきで
ある。
◆タイトルのわりには何でもない内容でした。
確かに一般の消費者は曲がったキュウリを買わないように、房の割れたみかんの缶詰は敬遠するでしょう。
でも、そのように消費者をミスリードしてきたのは流通業者ではなかったでしょうか。
輸送や陳列など、彼らの効率第一主義が曲がったキュウリを店頭に並べなかったように思います。
◆アメリカ産の牛肉の輸入問題も同様ですが、日本の生産者を潰しても外国産の食料を買わなければならない国の施策と、安いことがよいことだという消費者の
考え方も変えなければならないように思います。
地方では、地域でとれたものを地域で消費しようという地産地消の考え方があります。
県レベルでは地産地消のPRも活発にされています。例えば熊本県の地産地消のWeb
サイトではこのように書かれています。
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今日、輸入農産物の増加傾向と相まって、ファーストフードやレストラン利用などの外食化や調理済食品への依存の高まりなど、「食」と「農」の距離は広
がってきており、生産者と消費者の関係が希薄化し、食の大切さや農業に対する理解も薄れてきています。
一方で、「暮らしの豊かさとは何か」が改めて問われている今、「旬の時期に旬のもの、地元のとれたてのものを味わう」という、豊かで健康的な暮らしが求
められはじめています。
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地元の旬の食材を食べることは豊かな生活です。
家庭菜園をされている方の話を見聞きするとなんとも羨ましいと思うのは、人間として豊かな生活をされているからなのでしょうね。一番小さな地産地消を実
践されているのです。
そんなことを、国のレベルに置き換えても同様の考え方ができるのではないでしょうか?
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