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06/03/17 日本国憲法・前文

 東京新聞のWebサイトに「逐次点検・日本国憲 法」というコーナーがあります。
 改憲の足音が近づいている今、改めて憲法を知ろうという企画で05年2月〜6月に新聞に連載されたものです。
 毎日、憲法の一条が解説されている連載でした。

 私もこの連載を紹介しながら、憲法を改めて読んでみたいと思います。
 今回は「前文」を取り上げます。
 まず「前文」をゆっくりと読んでみましょう。

前 文
  日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を 通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦 争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託による ものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法 は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

  日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を 支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を 維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひ としく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

  われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念し て他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとす る各国の責務であると信ずる。

  日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇 高な理想と目的を達成することを誓ふ。


 日常使わないことばも出てきます。語句の解説を東京新聞の記事から引用します。

-----引用-----
■語 句
 協和(きょうわ)=心を合わせ、仲良くすること。平和主義の意味。
 恵沢(けいたく)=恩恵。喜ぶべきこと。自由主義がもたらす幸福という意味。
 詔勅(しょうちょく)=天皇の出す公式文書。
 崇高(すうこう)=前文には「崇高な理想」という表現が二回出てくる。「崇高」は、英文では「ハイ(high)」が充てられている。単純に「高い理想」 の意味と考えて問題ない。
 隷従(れいじゅう)=仕え従うこと。この場合は、奴隷制度のようなものを指すとみられる。
 圧迫(あっぱく)=この場合は、「迫害」のような意味。
 偏狭(へんきょう)=度量が狭いこと。
-----終わり-----

◆正当に選挙された国会
 大多数の民意を死票として捨ててしまい第一党に優位な今の選挙制度は「正当な選挙」なのでしょうか?

◆戦争放棄
 「政府の行為」によって起こされたと明解に書かれています。そして同じ過ちを繰り返さない決意を示しています。

◆主権は国民にあり
 国の政治は「国民の厳粛な信託に」より行われるものです。
 主権在民は「人類普遍の原理」だと宣言しています。

◆主権在民、平和主義の憲法
  一つ目の段落の最期に「われらは、これに反する一 切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と書かれています。
 日本国憲法の原理に反する憲法は将来も作ってはならないと規定しています。

◆平和主義
 私は前文の二つ目の段落の文章が好きです。

  「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関 係を支配する崇高な理想を深く自覚する」
 「
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏 狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」
 「
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏 から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

 9条の戦争放棄、戦力の不保持が高らかに謳われています。
 アメリカの言いなりになってイラクに自衛隊を派兵することで「国際社会において、名誉ある地位を占め」ることはできません。

◆日本国の名誉
 「
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこ の崇 高な理想と目的を達成することを誓ふ
  日本国憲法の精神は主権在民、平和主義、国際協調 の崇高な理想を達成するために、ひとりの「日本国民」として目的達成のために生きていかねばなりません。
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