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06/03/21 紀伊半島一周、各駅停車の旅

  青春18切符の季節です。
 前回(06/03/05)は自転車を輪行してのサイクリングに利用しましたが、荷物を抱えての各駅停車の旅は負担に なってきており、今回は琵琶一周電車の旅(06/01/08) と同様に各駅停車で紀伊半島を巡りました。

 飛び石連休の谷間の一日(20日)を休んで出かけました。
 乗車はは5時30分下車は23時30分、18時間の旅でした。

◆早朝の車内
 これから眠りに就こうと夜を引きずったままの若者たち、既に朝を迎えている新幹線で出張らしき労働者、、、眠そうな空気が蔓延している夜と朝の混在 した早朝の電車です。 

 柘植で関西線に乗り換えると高校生が大勢乗っています。
 学年末休み前の少しゆったりとした雰囲気が感じられます。賑やかな車内です。

◆車窓の風景
 草津からの草津線の車窓に見える黒い瓦屋根や田圃には霜が雪が積もったように真っ白です。
 田んぼの中を走る道には通勤の車でしょうか、小型車が可愛く右に左にこちょこちょと走っています。

 きれいに碁盤の目のように圃場整理された田んぼはあまり好きではありません。棚田に代表されるような、傾斜や沢、通路等を縫うように作られた畦道に囲わ れた田んぼ、味わいの ある風景が少なくなっています。
 大型機械を使って、効率よく稲作を行うことも分かるのですが。

 紀伊半島は暖かいのでしょうか、梅の花は盛りを過ぎて、山桜が淡いピンク色に光っていました。
 時は移ろい春も盛りになりつつことを実感するピンク色でした。

 午後の日差しを受けた太平洋、黄昏ていく太平洋と、トンネルや山の間から太平洋の景色を堪能しました。

◆珍しい駅名
 亀山から紀勢線に乗り換えると車内アナウンスが「・・しんでん」と言っています。実は「いっしんでん」でした。
 沿線に「あこぎ」というあまりよい印象でない駅名もありました。

◇いっしんでん(一身田)
 「一身田の歴史」というサイトによりますと
 「律令制のもとで班田収授が行われるようになったとき、その身一代に限って与えられた田を意味する。そこでその制度を始めた『三世一身の法』の名残りの 地名 であろう」と紹介されています。
 一台限りの田んぼだったのですね。
 博多の屋台の営業権も一代限りと聞いたことがあります。「一身屋台」かっこいいですね。

◇あこぎ(阿漕)
 「阿漕な商売」等と強欲、悪辣な人等をさす言葉ですが、帰宅後インタネットで調べると、「阿漕」は能の演目にあるそうです。
 伊勢神宮に供えるための禁漁区に繰り返し密漁を繰り返した漁師の伝説だそうで由緒正しき地名のようです。
 語源由来辞典を 参考にしました。

◆ お彼岸
 5時、6時台は夜の続きの人たちと朝から働く人たち、7時台は職場に急ぐ労働者たち、8時台は高校生、9時を過ぎると一時的に車内が静かになります。
 その後10時台から15時頃までは老人の時間帯です。病院に向かう人、薬袋を持って帰る人、買い物帰りの人、お彼岸の墓参りに出かける人、、、それぞれ に乗客同士での健康を気遣うおしゃべりなど、聞いているほうも和みます。

◆なまり
  各駅停車の旅の楽しみは前項のように、人を見ていることも楽しみですが、入れ替わる乗客のお国訛り を聞くことも楽しみです。
 滋賀県南部の訛り、伊勢の訛り、和歌山の訛り、そして大阪弁と楽しい言葉を聞いてきました。
 音痴ですので文章で表現できませんが、中々よいものです。
 紀伊田辺から乗ってきた若い女性のグループの会話は「わたしよお、こないだよお、買い物に行ってよお、、」と懐かしい和歌山弁でした。

◆喫煙マナー・ポスター
 先日の残日録でブックカバーのJTの喫煙マ ナー広告を取り上げましたが、人気のない駅の跨線橋に同じ図柄のポスターが張ってありました。[協賛:JR東海]などとJR各社が協賛しています。
 JTからの広告収入がJRの美味しい収入なのですね。新幹線が全面禁煙にできないわけもこんなところにあったりするのでしょうか?

◆めはり寿司
  今回の旅の楽しみの一つが新宮で「めはり寿司」を食べることでした。
 数年前にサイクリング仲間と串本から新宮までサイクリングを楽しんだ折に、新宮出身のHさんが手配してくれて食べためはり寿司を思い出し乗換時間を利用 して「めはりや・中央店」 にむかいました。

 新宮の街は駅の裏側のようです。踏切を渡って市役所前から少し歩いて入店、めはり定食Bを注文します。
 こぶし大のめはり寿司が4個ととろろ、めざし2匹、味噌汁で1100円です。
 ビールとともにいただきます。
 男でもお握り4個は満腹、満腹です。

◆旅は道連れ
 柘植駅辺りから、青春18切符客のような人たちを5組10人ほどちらちらと見かけました。
 そんな人たちも互いに「お主、18切符か」というような目で見合うのですが、声をかけるところまではなれません。
 多気駅、尾鷲、新鹿、新宮、紀伊勝浦、御坊と下車していき、最後は私だけになってしまいました。

◆地域格差
 都心から郡部に移動していくと、昭和40年代製造の車両、ワンマン運転、単線、非電化、1時間に1本のダイヤと利用者には不便になっていきます。

 大阪駅からとなりの塚本駅までの電車は1時間に4本あります。(平日11時台)
 新宮駅からとなりの那智までいくためには、11時代には13分しかありません。その前は9時25分、後は12時17分です。
 日常的に電車を利用して生活することは難しいと思います。

 料金も同じ35Km弱で、大阪−三ノ宮間は540円、新宮−古座間は570円です。
 都心部は他者との競合があるから割引運賃が適用されれいるのですね。
 所要時間も大阪−三ノ宮間は22分、新宮−古座間は51分も掛かるのです。

 以前(残日録:05/07/02)前に、日 本経済新聞の吉野源太郎という論説委員が書いた乱暴な記事を紹介しました。 
 尼崎のような事故を起こすより赤字ローカル線を切り捨てたほうがよいといっていました。
 この国の首相も、格差があるのは当然だといっています。国鉄の民営化という構造改革、行政改革というものはこのような弱者を切り捨てることだったので す。

◆和歌山の地下街
 前項の続きのような現象ですが、和歌山駅で乗り継ぎの時間が40分ほどあったので改札を出てみました。
 広くて立派で綺麗な駅舎です。
 地下に飲食店街があると看板があるので降りてみました。20軒近くの飲食店がありますが、客が入っているのは半分ほどだけ、後の店は客がひとりもいませ ん。20時頃のお店の状態です。
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