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06/04/08 「機会均等」は平等か

 いつも紹介させていただいているソフト ウエア販売会社・アシストの社長ビル・トッテンさんのコラム(OurWorld)から、今回は「幻想が格差のある社会作る」を紹介します。
 
 「残日録」(06/02/03)で取り上げ ました小泉首相の「格差がでることは悪いことではない」などという格差の拡大する社会についてのトッテンさんの意見です。


◆「小泉首相が行ってきたことは『痛みに耐える』ことを一般庶民に訴え、さまざまな社会保障費を削減することだった。そして年金、医療、介護といった、助 けが必要とする人々への公的福祉を減らして負担を地域や家族に移してきた。」(引用)

 4月からは障害者自立支援法が成立し、障害者やその家族に過酷な負担増をしいています。
 国がやらなければならないことを、地方自治体体や国民に押し付けて「小さな政府」を目指しています。

◆「OECD加盟30カ国は世界の中でも豊かな国とされるが、このOECDが公開している統計をみると日本が既に小泉内閣が目指す『格差のある社会』を十 分過ぎるほど実現していることが分かる。」(引用)

 トッテンさんが指摘しているOECDの統計情報を見てみましょう。
 ◇日本の公共部門の支出はOECDの中で下から4番目(日本より少ない国は米国、アイルランド、トルコ、韓国)
 ◇日本はOECDの中で四番目に失業手当が少ない(にほんより少ない国は米国、イタリア、韓国、チェコ)
 ◇日本の相対貧困率は2005年には15.3%(日本より貧困率が高い国は米国、メキシコ、トルコ)
  ※相対貧困率は平均所得の半分以下の所得の半分以下の所得者の割合
 ◇日本はOECDの中で2番目に自殺率が高い

 先進国の中では最悪の国になっています。
 貧困率は20年ほどの間に倍になっています。20年の間に貧困層が倍増したのです。
 自殺者の統計情報などについては「残日録」(05/10/27) で紹介しています。
 私は規制緩和の結果なのか野放しに見えるサラ金のCMと自殺者の増加の因果関係が気になっています。

 格差があることは悪いことではないという施政者の元では当然の結果です。

◆「小泉首相は機会均等を主張しているが、それは機会が均等なら等しく成功することが前提のはずだ。しかしそれは幻想だ。貧しい家に生まれた子供は金持ち の両 親のもとに生まれた子供と均等の機会を持つ確率は圧倒的に低い。知能指数が90の子供は150の子供と同じように成功する可能性は少ないし、病気や障害が ある子供が健康な子供と同じ機会を持つことはもっと少ない。」(引用)

 言葉は不思議なものです。「機会均等」と言われれば、私にもあなたにも、金持にも貧乏人にも同じようにチャンスがあると思ってしまいます。
 1枚の宝くじの当選確率は同じでしょうが、金持は宝くじを何百枚も買うことができます。貧乏人も買うことができますがそれは食べるものを削ってのことで す。
 機会は均等ではないのです。

◆「与党自民党の進める格差のある社会は、多くの統計で日本よりも格差のひどい米国がモデルであることは間違いない。一部の金持ちが高級住宅街を作りその 周り を高い塀で囲い、多くの庶民は安い時給の職をいくつも掛け持ちしながら健康保険にすら入れない、そんな国にだけは日本はなってほしくない。しかし格差が広 がるということはそういうことなのだ。機会均等、結果平等などという幻想を掲げ、一部の富や権力を持つ人々が提唱する自由経済を推し進めることが、さらに 大きな独占体制を作り出している現実に気付くべきだ。」(引用)

 政府や御用学者が目指しているのは、日本よりさらに格差のひどいアメリカなのです。
 一部の富める人たちのための政治から、富めない大多数の国民のための政治に変えるために自分のできることをしたいと思います。
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