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06/04/27 アメリカ軍移転費用負担

 アメリカ軍が日本から出て行く移転費用 として7000億円もの支出をすることが日米首脳の話し合い(談合?)で決められました。

◇アメリカ軍が日本から出て行くのは、アメリカの事情(アメリカの世界戦略の一環)です。
◇移転費といいながら、移転先での司令部の建物の建設や、住宅、学校の建設費用なのです。
◇沖縄県民の負担を軽減するといっていますが海兵隊司令部が移転したくらいで負担が軽減されるとは思えません。
◇アメリカに守ってもらっているから応分の負担は仕方が無いといいますが、既に思いやり予算として「応分以上」の負担をしています。
◇9・11では自国を守れなかったアメリカ軍が太平洋の向こうの小国を守るとは思えません。アメリカを守っているのは国土安全保障省、アメリカ軍(国防総 省)は侵略の軍隊です。
◇グアムはアメリカの領土です。アメリカの領土でアメリカ軍が使用する施設の建設費を負担する根拠はなんでしょうか?
◇移転費用の明細根拠は示されていません。
◇日本の国には、このような金を支出する法的な根拠がありません。
◇7000億円の使途を誰が監視していくのでしょうか?

◆思いやり予算
 日米安全保障条約や日米地位協定に負担の根拠がないのに、特別協定(日米地位協定第二四条(経費)にかんする特別協定)を作って日本が負担している費用 を思い入れ予算といっています。
 その額は06年度予算では2326億円だそうです。

 1978年度予算から「思いやりの精神で米軍駐留費の分担増に応じる」(金丸信防衛庁長官)としてきたものです。
 その特別協定を2年延長するという法案が今国会に提出されています。

 「改革に聖域はない」という掛け声は「弱者から収奪するには『聖域』がない」ということなのでしょう。
 「思いやり予算 米軍いすわり支援は全廃せよ」(しんぶん赤旗 2006年1月17日)

◆各紙の社説
 各紙の25日の社説を見てみます。

◇産経新聞
 産経新聞は、産経新聞らしく「沖縄の負担軽減と米軍の抑止力維持を両立させるために必要な措置であり、合意にこぎつけた日米双方の努力を評価したい。」 としています。
 勿論、負担額が高額であることは指摘していますが「日本の平和と安全を守るために応分の負担はやむを得ない。」と政府の説明を是としています。

 そして最後をこう結んでいます。
 「日本が生き抜くためには国民がコストを分かち合うしかないのだから。」
 「グア ム 移転経費 平和を守るためのコスト」(産経新聞・主張 06/04/25)

◇朝日新聞
 「金額も巨大なら、米国の領 土にある基地の施設費を日本がみるというのも前代未聞である。」
  「米軍基地の75%が集中する沖縄の負担を少しでも軽くすることがある。そのためには日本側がある程度の負担をするのもやむを得 ないだろう。」と、朝日新聞も沖縄の負担軽減を述べています。

 海兵隊司令部の移転で沖縄県の負担はどの程度軽減されるのでしょうか?具体的な数字を示して欲しいものです。片方には7000億円という具体的な数字が あるのですから。
 「グアム移転費 納税者が納得できるか」 (朝日新聞・社説 06/04/25)

◇読売新聞
 「日米同盟の深化へ、大きな前進となる。」
 意味がよく理解できません。日米同盟の「深化」とは抜き差しならない関係になると言うことではないでしょうか。

 「米海兵隊をグアムへ早期に移転させるには、日本側の応分の負担が必 要だ。国民が沖縄の負担を分かち合うことでもある。」
 全てのアメリカ軍を「早期に」日本から移転してもらう方法は無いのでしょうか。

 「十分、議論を重ねるのは 当然としても、法整備がもたつき、再編が遅れることになってはなるまい。」
 アメリカ軍の再編はアメリカの世界戦略の一環であり日本の問題ではないと思いますが。
 [海兵隊移転費用]「『応分の負担』に必要な説明責任」 (読売新聞・社説 2006年4月25日)

◇毎日新聞
 「問題はこの負担額受け入れを国民に納得させられるかどうかだ。」
 「アメリカと決めたことだ」からと強引に法案を通していくのでしょう。
 
 「27カ国の『同盟国』の中で、日本の貢献度は抜きんでて高い。日本は 在日米軍の経費の74.5%を負担。全27カ国の直接、間接支援の合計の52.53%を占めている。」
 日本はアメリカのATM(現金預け払い機)のようですね。

 「国民 一人一人が『安全の値段』を真剣に考えるべき時代になったのではないか。」
 そうですね。9条の精神に立ち戻れば良いことではないでしょうか。

 「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段として は、永久にこれを放棄する。」(憲法9条から)
グアム移転合意 言うべきことを言ったか」( 毎日新聞・社説 2006年4月25日)

◇東京新聞
 「日米防衛首脳が合意した額や割合は、根拠が十分に示されていない。積み上げた 経費の透明度を高めねばならない。」
 アメリカのいう移転費の透明性の担保は誰がするのでしょうか。

 「日本が分担する経費の透明性は、拠出後も確保されねばならない。」
 支出が適正に処理されているかどうかを監視できる仕組みが必要でしょう。
 「グアム移転費 明細書の中身 を 見たい」(東京新聞・社説 06/04/25)

◇琉球新報
 「おかしな話だ。」
 「交渉過程の詳細が国民に知らされず、これまでの経過が不透明のまま『合意』が伝えられた。国民 に『理解を』と求めるのは無理というものだ。」
 二国の首脳が決めたことだから、国民には「理解を」と言われても「お上のすることに口を出すな」としか聞こえません。

 「県民から見れば、海兵隊の移転が普天間移設とセットになっているのはおかしい し、移転費用を日本が負担することについてもしかりだ。米軍が自国領土内に移転するのに、なぜ日本が巨額の資金を支出しなければならないのか。」
 全国紙と沖縄地元紙の感覚の違いは埋めようのない溝のように思います。
 読売新聞が言うように「国民が沖縄の負担を分かち合うこと」だとは沖縄では思われていないのです。
 海兵隊司令部がグアムに移転することが県民の負担軽減にはなっていないのです。

 「さらに米が移転経費を102億ドルに増額したために、日本の負担割合が60%を切って59%となった。いかにも国民の批判をかわすために、負担を少な く 見せる数字の“マジック”に思えてならない。」
 権力者がよく使うマジックですね。「大安売り! 980円!!」と同様ですね。

 「今回の移転費用負担合意と、米軍再編中間報告には共通する政府の姿勢がある。『まず米国ありき』『国民不在』ということだ。すべてを決めてしまった後 に 説明行動に移る。国民にとっては、納得できないし、不満が鬱積(うっせき)する。」
 「日本は米国の属国ではないはずだ。対等な立場での外交努力を強く、求めたい。」
 そのとおりですね。庶民には日本の国や政府が「まずアメリカありき」「国民不在」「アメリカの属国」としか見えません。
 「米 軍再編・政府は国民不在姿勢改めよ」(琉球新報・社説 06/04/25)


 政府は日米合意の発表を、千葉7区の補選や岩国市長選や沖縄市長選の終った24日にしました。二つの市長選挙ではアメリカ軍再編による基地機能の強化に 反対する候補者が当選しています。
 国民や地元を無視したアメリカ重視の姿勢は国民の理解を得られなくなることでしょう。

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