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06/04/29 JR西日本・福知山線脱線事故

 事故発生から一年が過ぎたJR西日本・ 福知山線脱線事故の報道記事などをみてみます。

◆遺族は
 神戸新聞が事故の犠牲者の遺族と、負傷者に対して行ったアンケートの結果が報じられています。
 
 「精神的ショックなどで65%が葬儀後の一定期間、仕事や家事、通学などを休み、16%はいまだに復帰できていなかったり、仕事などを辞めたりしてい た。」
 「補償交渉では『入っていない』が77%、『入った』『具体的提示を受けた』が合わせて11%で、『すでに合意した』はゼロだった。」

 「尼崎JR脱線事故1年アンケート」(神戸新聞 2006/04/23)

◆事故の目撃者は
 事故を目撃した市民が、JRの対応に対して「事務的に処理していくことがたまらん」と追悼集会で手記を発表されたそうです。
 以下新聞記事を引用します。

 《私の仕事場は事故現場から北へ100メートルほどの線路沿いにあります。私は習慣のようにJRの列車の行き交うのを眺めるのが常でした。この日の朝も ひと仕事済ませて、知人に携帯電話をかけながら尼崎方面へ行く急行列車を見ておりました》

 《快速列車が大きく揺れながら、猛スピードで、ジェット機の逆噴射のような音をたてながら私の目の前を通過するやいなやマンションに激突、その瞬間、き のこ雲のような砂煙がマンションの高さあたりまで立ち上がりました。そのあと一瞬、静まり返っていました。「脱線だ!」と叫びマンションの方へ走りまし た。マンションに着くとガソリンの臭いが鼻につき、白い車がつぶれているのが見えました》

 《情景は目に焼きついており、今でも昨日のことのようにはっきりとよみがえってきます。あれから1年、JRの列車は車体の色も塗り替えられ、以前よりス ピードを落として工場の前を通過しております。どんな想いであの衝突の瞬間を体験されたのでしょうか。あの現場近くで「心安らかに」と朝夕、これからも ずっと祈り続けることをお約束します》

 「事故から1年、目撃者がJRの対応に怒り」(日刊スポーツ 2006年4月26日)

◆働く現場では
 JR西日本がミスをした運転士らを「日勤教育」と称する懲罰的、屈辱的な扱いを受けたとして運転士ら264人が損害賠償を求め大阪地裁に提訴したそうで す。
 原告の運転士は「脱線事故後、日勤教育の日数は短くなったが、個人の責任ばかり追及する会社の姿勢は変わっていない」と述べているそうです。
 変わっていないのですね。

 「運転士ら264人JR西提訴 『日勤教育で苦痛』」(神戸新聞 2006/04/27)

◆ビル・トッテンさんは
 ソフトウエア販売会社の社長ビル・トッテンさんの事故についてのコメントが京都新聞などに掲載されたそうです。
 ビル・トッテンさんのコラム(Our World)に再録されています。「鉄道に公共投資増加を」(2006年04月26日)

◇国鉄民営化は誤り
 「鉄道は公共交通として重要な役割を担っている。」(引用)
 だから「安全な鉄道網の維持は社会が責任を持つべきだ」(引用)

 国鉄の民営化により財政基盤の弱いJR西日本は利益偏重に陥らざるを得なかった。民営化は間違いだった。と言われています。

◇社員の独立心養え
 「教育イコール命令と服従ではない。」(引用)
 日本では命令に従う「良い子」を生産するだけだから、事故に遭遇しても救助しなかったり宴会に参加したりしていたのだろう。

 「『会社は株主のもの』『株主への利益還元が経営者の務め』という米国流の考え方が広まりつつあるが、憂うべき事態だ。結果だけが重視され、日常の努力 が報われない社会の中で、皆が誇りと自信を失っているようにも思える。かつて日本の美徳だった社会への責任感と、個人のモラルを取り戻す必要がある。」 (引用)

 従順に命令に従うだけで、自分の頭で物を考えない人間を作りだした結果なのですね。
 経営幹部も、末端の労働者も同じように「自分の頭で物を考えない」機械のような人間だったようです。

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