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06/05/03 憲法記念日

 昨日(5月2日)、毎朝とおる地下街の小さな喫茶店の前の小さ な 黒板に「今日は八十八夜・・・」と書かれていました。
 「夏も近づく 八十八夜・・・」をつい口ずさんでしまいました。

 そして、今日 は59回目の憲法記念日です。
 日本国憲法は 1946年11月3日に公布され、翌47年5月3日 に施行されました。

 ゆっくりと憲 法を考える一日にしたいと思います。

 コピーライ ターの糸井重里さんが主宰されている「ほぼ日刊イトイ新聞」というWebサイトの中に伊藤真さんの「高校生からわかる 日本国憲法の論点」を紹介した記事(憲法にわくわく 伊藤真さんの考え方は、目 からウロコだった。)があります。

 今日はこの紹 介文を紹介します。(手抜きですね)

◆筆者と編集者
 筆者の伊藤真 さんは司法試験の予備校を主宰されている塾講師であ り塾経営者。
 紹介文を書か れているのは、この本の編集者である小木田順子さ ん。

 小木田さん は、執筆の依頼のために伊藤さんと会い取材していくう ちに「ゼロから始める人、いろいろな社会経験を積んだ人にこそ、ぜひ挑戦してほしい」という司法試験受験へのメッセージに出会い、会社を退職して司法試験 を目指されるようになったそうです。

 そして伊藤さ んの講義を受けられます。
 「彼の講義の 魅力の一つは『憲法は国家権力に対する歯止め』『自 分の生き方を自分で決められることが、日本国憲法の考える幸福』といった、初心者にはただただ驚くばかりの話を気持ちよいほど明快に説明する、その語り口 です。」(引用)

  憲法は国家権力に対する歯止め、憲法の幸福は自分 の生き方を自分で決められること、分かりやすいですね。

 「そしてもう 一つの魅力は『憲法は弱い人を守るためにある』『弱 い立場にある人、少数派の立場にある人への想像力がなければ、憲法の本当の価値はわからない』と語る彼の、やさしく、熱い思いにあります。」(引用)

 憲法は弱い人を守るためにある、憲法の価値は、弱 い人少数派に対する想像力がなければわからない。
 早乙女勝元さんが「人の痛みに対する人間的な想像力がとても大事な時代になった」と言われていることと同じです。(残 日録:06/04/14

 格差のあるのは当然、格差の拡大も当然という国の指導者は、多くの弱者の顔が見えないのでしょう。物言わぬ弱者から物言う弱者になりましょう。せめて選 挙に行きましょう。
 憲法はそんな施政者から私たちを守っているのですね。

◆憲法と法律の 違い?!
 法律は「国家 が、国民に『○○をしてはいけない』と命じるもの」 (引用)
 憲法は「国民 が、国家権力に『私たちの自由を邪魔しないでくださ い』『私たちの権利を保障してください』と歯止めを掛けるもの」(引用)

 憲法を守る義 務があるのは「国家権力を行使できる人たち」なので す。

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 憲法 第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
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 こんなことは 法律を勉強した人には当たり前のことだそうですが、 私のようなぼんやりした国民には本当に「目からウロコ」です。
 では、私たち は憲法のことを知らなくても困らないのでしょうか?

 いつか来るか も知れない憲法改正のための国民投票のその日、何と なく○をつけるようなことではなく、納得できる選択をするために憲法を知っておこういうことがこの本の第一の目的だそうです。

 この本の「は じめ」にこんなことが書かれているそうです。
 「私の願い は、私の意見を押しつけることではなく、皆さん自身に 自分で考えていただくことです。改憲、護憲、いずれの意見を持つにせよ、そうして初めて、憲法は私たちのかけがえのない財産になると思うからです」(引 用)

 そうですね。
 自分自身の頭 で考えること、自分の考えをしっかりと持つこと、賢 い国民の増えることを権力を持った人たちは一番恐れていることですから。

◆ものごとを疑 うこと
 高校生だった 私たちに、田舎町の高校の教員は「世の中の全てのも のを疑って生きて欲しい」と教えてくれました。
 山猿のような 高校生には理解できない言葉でしたが、齢を重ねてく ると毎日垂れ流されている出来事の一つ一つに「本当だろうか?」と疑問を持つようになって来ました。
 それは、自分 の頭で考え、自分の考えを持つことに繋がっていると 思います。

 憲法改正に対 して「無関心」であることは「消極的賛成」と同じこ と。
 「だから、無 関心を決めこまないで、『憲法を改正しよう』という 大きな声をぜひ疑ってみる姿勢をもってほしいと、伊藤さんは言います。」(引用)

 そして「あま たある改憲論で見極めなければいけないのは、『国民 の自由を守るために、国家権力に歯止めをかける』ものである憲法を
『誰が、なんの ために』変えたいと思っているのか?それで国民『全 員』がより幸せになれるのか? ということ。」(引用)

 犯罪ミステ リーでは「犯人は、その犯罪で利益を得る人間」という のが定説です。
 大きなエネル ギーを使って憲法を改正しようとする人たちは「何の ため」に憲法を変えようとしているのでしょうか?

◆基本的人権
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 憲法 第13 条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自 由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
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  伊藤さんは「『平和主義』は国家政策の問題として でなく『平和な社会に生きる権利』という個人の権利としてとらえるべき」だといわれています。
 そして「『基本的人権の尊重』と『平和主義』こそが目的で民主主義という政治システム(=国民主権)や国会・内閣・裁判所など国家のしくみはそれを達成 するための手段にすぎない」と続けられています。

 9条の平和主義は私たち個人の生きるための権利なのですね。
 世の中には、目的と手段をすりかえて人々を目くらましするような論調があります。騙されてはいけません。

 「そして伊藤さんは、憲法はもともと完成品としてあるのでなく、そこに具体的な肉づけをしていくのは私たちの日々の実践だと言います。」(引用)

 「憲法をくらしにいかす」という蜷川京都府政のスローガンを思い出します。

◆9条
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 憲法 第9条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠 実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2 前項の目 的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保 持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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  伊藤さんは「日本の平和主義を『積極的非暴力平和 主義』と呼んで、これを全面的に支持」されているそうです。
 そして、「キ レイゴト」に過ぎないとの批判に対しては『世界最大 の軍事力を誇るアメリカですら、同時多発テロを防げなかったのだから、
 軍事力によっ て日本を防衛できると考えるほうが、はるかに非現実 的、空想的』と書かれているそうです。

 そうですよね。アメリカ「国防」総省は、自「国」への攻撃を「防」げなかったのです。アメリカ軍は「国防軍」ではなく「侵略軍」なのです。
 北朝鮮の脅威を煽り「国防」のためにアメリカとの軍事同盟が必要だというプロパガンダが毎日流されています。

◆少数派の痛みへの思い
 「『正しい戦 争』を認めるとは、『正しい暴力』があると認めるこ と。最後は暴力で解決することが正当化される社会とは、弱い立場にある人、少数派の立場にある人が生きにくい社会。平和主義の理念が後退することで、社会 全体の価値観が大きく揺さぶられるのだと話してくれました。」(引用)

 民主主義は多数決の原理で多数派が正義となりますが、多数決によってもけっして奪ってはならないものが個人の自由と尊厳であり、それを守る最後の砦が憲 法だと言われています。

 「伊藤さんは、『マイノリティであることの痛みを自分のものとして感じることができなければ、憲法の本当の価値はわからない』と言います。」(引用)


◇ 憲法は国家権力に対する歯止め
◇自分の生き方を自分で決められることが、日本国憲法の考える幸福
◇9条の平和主義は私たちの平和な社会に生きる権利
◇ 憲法は弱者、少数派、マイノリティのためにある
◇憲法に肉づけしていくのは私たちの日常の実践

 いつもは下書き原稿を書き溜めておき、インターネットへのアップロードの前に書き上げていますが、本稿は憲法記念日の昼下がりに日本国憲法のことを考え ながら書きました。
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