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06/06/11 普段着のガラス
  サイクリングに出かける元気もなく新緑の大山崎山荘美術館を 覗いてきました。
 多くの人が来館されています。入館の受付が手際が悪く手間取っています。
 受付の女性が企画展の作家の名前(舩木倭帆:ふなきしずほさん)の名前の読み方を聞かれて読めなかったのには少々がっかりしました。

 8月27日まで、開館10周年記念の特別企画として「舩木倭帆ガラスの器」展が催されています。

 舩木倭帆さんの作品を見るのは初めてのことです。
 舩木さんの略歴はリーフレットには下記のように書かれています。

 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 舩木倭帆(1935〜)は島根、布志名焼の窯元、舩木道忠の息子として生れました。実家には柳宗悦をはじめ、濱田庄司、河井寛次郎、芹沢_介、棟方志功 など民藝運動の中心的なメンバーが訪れ、バーナード・リーチも約1ヶ月滞在して制作しています。
 島根大学在学中にガラス工藝を志し、卒業後は大阪の清水硝子製造所を経て、東京の各務クリスタル製作所に移ります。そこで知り合った伊藤孚と大田区鵜の 木に工房を開いています。その後北九州での制作時期を経て、1988年には広島県神辺町に現在の工房である「グラスヒュッテ舩木」を立ち上げて精力的に制 作活動を続けています。
 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 民藝運動の系譜の方だったのですね。
 いつのも企画展は濱田庄司、河井寛次郎、芹沢_介さん等の館蔵の作品もいくらか展示されているのですが、今日は全館舩木さんの作品で占められていまし た。
 1階の展示室の壁にこんな言葉が架けられていました。

 日用雑器は言 わば普段着である
 年に数回しか着ない晴着もいいが
 毎日使う普段着を大事とするのが
 本当の豊かさだと思う
 私は普段着を作る
芸艸堂「普段着 のガラス」より

 民藝運動をわかりやすく説明する言葉です。
 この言葉を読んで一気に舩木さんの作品を見る眼が変わってしまいました。

 右の写真は展示室の一角です。
 食卓風のテーブルの上に、ワインボトルが、デキャンタが、ワイングラスが並べられています。
 舩木さんの作品はこう言う風に生活感のある展示にぴったりです。

 新館(地中の宝石箱)の円柱の中心部の白い四角い空間には、白いクロスの上に作品が並べられていて、光がガラスを通して輝いていました。

 帰りの道々、山荘の庭園を散策して帰りました。
 池には小振りの蓮の花が咲いていて、新館に展示されているモネの睡蓮のような雰囲気でした。

 新緑の濃い木立の中では、ピクニックでお弁当をひろげるグループが何組かみられます。
 託児所か、保育園か、小さな子供たちの列も賑やかに流れていきます。

 美術館もよいですが、大山崎山荘は庭園で花や木を愛でるのもよいものです。

 帰宅後、売店で買って帰った「普段着のガラス」を通読 しました。
 舩木さんの作品集です。
 生活雑器と称されている作家の作品集だけあって、作品は料理の器として、花器として使われています。
 山野草が生けられた花器が何とも言えず作家の人柄が偲ばれるようです。

 「普段着のガラス」の中から舩木さんの言葉をいくつか紹介します。

 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 技術は単純な方がいい
 道具は単純な方がいい
 作り手は謙虚な方がいい
 ガラスが教えてくれました
 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 技術のことはわかりませんが、道具は単純な方が良いですね。
 サイクリングを趣味にしていますが、自転車のフォルムも単純なもののほうがきれいです。
 そして、作り手、送り手は謙虚な方が、使い手、受け手に優しいですね。

 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 うつわは作り手の仕事が半分
 残りの半分は使い手が生かすことです
 使い手を得て
 生き生きとしているうつわを見ると
 本当に楽しくなります
 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 金持の収集家が蔵に納めて眺めるようなものではなく、生活の中にあって料理を受け入れ、草花を受け入れて完成する美しさが物の本当の美しさだと思いま す。

 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 酒盃は酒を酌むための器である
 酒がもらたす酩酊は一日の疲れをいやし
 ときには苦悩をも忘れさせてくれる
 酒が呼ぶ解放感は
 どれだけ多くのひとびとの心をひらかせ、和ませ
 楽しませてきたことか
 手にしっくりとした重さのぐい呑み
 松木ガラスの厚みは「手」に近い
 他人と握手するのと同じ温もり
 そんな厚みと温かさがある
 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 この文章は地文で、舩木さんの言葉ではないかも知れません。
 何れにしても作品に酒器が多いことから下戸ではなさそうです。
 掌に優しく存在感を与えてくれるグラスは、美味しいお酒と同じように大事な要素ですね。

 酒器をたくさん見た帰り道、安物のワインを買って帰りました。

◆ザルカウィ容疑者殺害
 6月7日イラク駐留のアメリカ軍機の空爆によって殺害されたとの報道がありました。
 その後の報道でも良くわからないことがあります。いくつかの疑問を。

◇ザルカウィ容疑者は誰に裁かれたのでしょうか?
 彼は、裁判を受ける権利も、裁判によってのみ裁かれる権利も奪われたのでしょうか?それは何を根拠にしているのでしょうか?

 仮に、彼の犯した罪が明確であったとしても、公開の裁判も受けずに殺されることを許すことは私たちの先輩が勝ち取ってきた権利を放棄することにならない でしょうか?

◇アメリカにザルカウィ容疑者を殺害する権利は?
 イラクで起こされた犯罪の容疑者を、アメリカが裁判もなしに殺害する権利はどのような法律を根拠としているのでしょうか?

◇空爆という荒っぽい方法以外に無かったのでしょうか?
 アメリカ軍は今までに何度も空爆の目標を誤って無実の民間人を殺しています。
 逮捕、拘留、裁判を受けさせる勇気が無かったのでしょうか?腰抜けアメリカ軍です。
 ワシントンポストは、空爆後ザルカウィ容疑者は生きていてアメリカ軍兵士の暴行によって死亡したこと、また近くにいた民間人4人も殺害されたと報道して います。

◇殺されたのは本当にザルカウィ容疑者だったのでしょうか?
 空爆という荒っぽい殺害方法では容疑者も特定できていないのではないでしょうか?
 
◇ザルカウィ容疑者の死によってイラクに平和が来るのでしょうか?
 憎しみの連鎖の中で平和が訪れるとは思えません。
 フセイン元大統領を拘束した後、イラクの治安は好転したのでしょうか?
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