06/07/31
映画
「恋するトマト」
あちこちに被害をもたらした長梅雨も明
け、久しぶりに晴天の週末です。にも拘わらず自転車にも跨らる気にもなりません。
引き篭もりにならないようにと、久しぶりに十三の第七藝術劇場にでかけました。
思いついたのも、出かけるのもぐずぐずとしていて阪急電車にぎりぎりの乗車です。少し急ぐだけで息が切れます。運動不足と加齢による衰弱でしょう。
さて、今回紹介するのは「恋するトマ
ト」です。
最近、映画を見るの参考にさせてもらっているのは、帯広市で常設の映画館を持って自主上映をされている「CINEとかち」
というグループのサイトです。
「恋するトマト」もCINEとかちでは8月に上映予定とのこと、大阪・十三の七藝で上映中とのことで観にいきました。
◆ストーリー
筑波山の麓、霞ヶ浦湖畔で年老いた両親と農業を営む野田正男(大地康雄)には未だに嫁の来手がありません。
集団見合いで出会った女性(富田靖子)は、都会の暮らしに疲れ田舎暮らしに憧れているのですが、正男の農業に対する意気込みを聞くほどに農家に嫁ぐこと
に不安を覚えてしまい破談となってしまいます。
飲み屋(パブ?クラブ?)で働くフィリピン女性(ルビー・モレノ)との縁談は順調に進みます。結婚の許しを得るためにフィリピンに出かけたのですが、強
かな両親に結納として持参した金をまんまと騙し取られてしまいます。
浮浪者のようになっていた正男を救ってくれたのはフィリピン女性を日本に送り込む人身売買のブローカーでした。
日本での生活に失望していた正男はフィリピンの貧しい家庭の女性を金で買い付けていく女衒のような毎日を送っていきます。
ある日、通りがかった湖のほとりの村では、稲穂が金色に輝き故郷の風景を思い出させます。家族総出で稲刈りをする一家に出会い、土の匂いに飢え
ていた正男は、早速稲刈りを手伝うことになります。
この家の美しい娘(アリス・ディクソン)に恋をする正男でした。
◆気になることなど
◇大地ワールド
この映画は「企画・脚本・製作総指揮・主演」が大地康雄さんだそうです。
映画で稼いだ金を自分の作りたい映画に投資するという、何とも楽しいことをされたのですね。
◇何故、百姓でなく農業なのか?
「百姓」という言葉は一度も出てきませんでした。
「農業をする」というよりも「百姓になる」の方が良い日本語のような気がしますが。
「百姓」は差別語なのでしょうか?
◇サブタイトル?
この映画のサブタイトルは「クマインカナバー」となっています。
フィリピノ語で「kumain ka na ba?=あなたはもう食べましたか?」という意味だそうです。
結婚詐欺に遭い、浮浪者然となった正男が海水浴場でぼんやり海を見ている時に海水浴に来ていた家族から「クマインカナバー?」と声を掛けられます。
字幕では「ご飯食べたか?こっちへ来て一緒に食べよう」だったように記憶しています。
Web上の掲示板などではフィリピンの人たちの優しさを表現していると書かれていますが私にはよくわかりませんでした。
◇好演
正男の母親役で出演されたいたいまむらいずみさんを久し振りに見ました。父親役の織本順吉さんとともにぴたりとはまる役どころでした。
酪農家の嫁役のあき竹城さんは相変わらずの存在感で好きな役者さんです。
◇トマト
正男はフィリピンで日本から取り寄せたトマトの種を蒔いてトマトの栽培を試みます。
農家の人に聞いた話ですが、外国(アメリカ?)から輸入される野菜の種は、丈夫に育ち甘い実をたくさん付けるなどの性質は一代限りになるように作られて
いるそうです。
生った実から種を取って来年蒔いても、同じ物ができないようにしているのだそうです。商売の方法だそうです。
孫たちに送って好評な美味しいトマトがあります。兵庫県の旧春日町の農家が作られている「一番なり」です。
トマト嫌いの孫がトマト好きに変身しました。
今年の一番なりは未だ販売しているそうです。http://shop.inaka.tv/goods/items/hu007.php
◇若い女性の就農者
農家に嫁が来ないという深刻なテーマでした。
集団見合いで付き合い始めた女性(富田靖子)は、田舎暮らしに憧れていても土とともに生きていく決心が付かずに正男のもとを離れていきます。
憧れだけでは百姓はできないことでしょうが、私の知り合いの方の友人は数年前に帰郷されて百姓をされています。日常をブログ(晴れくもりame)に綴られています。
◇気になるストーリ
正男はフィリピンの貧しい家庭から娘を買い取って日本に送る女衒のような仕事をしていました。未成年の女性には偽造パスポートで年齢を偽ることもありま
した。
にも関わらず、社会的な制裁を受けずに済んだようです。予想通りで少し物足りない結末とともに気になる部分でした。
◆アメリカ産牛肉の輸入再開
日本の食料自給率はどんどん低下しています。
この国の政治家が、日本の農業よりも宗主国の農業を大事にしているからに他なりません。
アメリカの忠実な下僕である日本政府は、アメリカ産の牛肉の輸入に約8割の国民が消極的だという世論(JNN調査)の中、輸入再開を決定しました。
◇正直な大臣
川崎厚生労働大臣は記者会見で「アメリカ産の牛肉を食べたいですか?」と聞かれて「私ですか。立場上、食べます。」と答えたそうです。
平成18年7月27日付大臣会見(米国産牛肉の輸入停止問題について)
◇アメリカの手先
アメリカ産牛肉の輸入再開を検討する「牛海綿状脳症(BSE)対策本部」の会議で、宮腰農林水産副大臣は「輸入手続き再開にあたり、消費者の理解と信頼
を得るよう対処することが大変重要」と発言したと伝えられています。(東京新聞06/07/27)
この副大臣の発言はアメリカ農務省やアメリカの畜産業者の言葉かと思いました。
日本国民の「理解と信頼を得る」ための努力は、生産者や流通業者がすべきことのように思いますが。
◆人を騙す手口
ビル・トッテンさんは「『戦争は平和−』日本の未来」(06/07/24)と題したコラムの中で「特に日本では、相手をだます場合に
英語が多用されていることは事実であろう」と述べられています。
人を煙に巻きたいマスコミ芸者たちは競って曖昧な英単語を多用しています。
一部を引用紹介します。
「しかし小泉内閣こそ国民をだます言葉をよく使っている。例えば『グローバルスタンダード』だが、この言葉が日本で使われるようになったのは90年代後
半からで、米国からの要請にすぎない改革を『グローバルスタンダード』と称し、日本はそれを次々と取り入れていった。多様性に満ちたこの地球(グローバ
ル)で、一体何が標準(スタンダード)なのかも議論されなかった。平易に言えば、それは弱肉強食の原則に基づく、少数の勝者と大多数の敗者を生み出すシス
テムにほかならないことは明白だ。80年代から90年代にかけて貧富の差が拡大した米国社会と同じような現象が、現在日本において起きているのはそのため
である。」
|