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06/08/06 「原爆の日」と社説
 今日6日は広島に、9日は長崎に原爆が 落とされ20万人を越す人々が殺された61年目の記念日です。
 主要各誌の社説では、この日をどうとらえているのでしょうか。

◆平和宣言
 各紙の社説を見る前に、広島市のホームページから平和宣言を転載します。

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 平和宣言

 放射線、熱線、爆風、そしてその相乗作用が現世(げんせ)の地獄を作り出してから61年――悪魔に魅入られ核兵器の奴隷と化した国の数はいや増し、人類 は今、全(すべ)ての国が奴隷となるか、全(すべ)ての国が自由となるかの岐路に立たされています。それはまた、都市が、その中でも特に罪のない子どもた ちが、核兵器の攻撃目標であり続けて良いのか、と問うことでもあります。

 一点の曇りもなく答は明らかです。世界を核兵器から解放する道筋も、これまでの61年間が明確に示しています。

 被爆者たちは、死を選んだとしても誰(だれ)も非難できない地獄から、生と未来に向かっての歩みを始めました。心身を苛(さいな)む傷病苦を乗り越えて 自らの体験を語り続け、あらゆる差別や誹謗(ひぼう)・中傷を撥(は)ね返して「他(ほか)の誰(だれ)にもこんな思いをさせてはならない」と訴え続けて きたのです。その声は、心ある世界の市民に広がり力強い大合唱になりつつあります。

 「核兵器の持つ唯一の役割は廃絶されることにある」がその基調です。しかし、世界政治のリーダーたちはその声を無視し続けています。10年前、世界市民 の創造力と活動が勝ち取った国際司法裁判所による勧告的意見は、彼らの蒙(もう)を啓(ひら)き真実に目を向けさせるために、極めて有効な手段となるはず でした。

 国際司法裁判所は、「核兵器の使用・威嚇は一般的に国際法に反する」との判断を下した上で、「全(すべ)ての国家には、全(すべ)ての局面において核軍 縮につながる交渉を、誠実に行い完了させる義務がある」と述べているからです。

 核保有国が率先して、誠実にこの義務を果していれば、既に核兵器は廃絶されていたはずです。しかし、この10年間、多くの国々、そして市民もこの義務を 真正面からは受け止めませんでした。私たちはそうした反省の上に立って、加盟都市が1403に増えた平和市長会議と共に、核軍縮に向けた「誠実な交渉義 務」を果すよう求めるキャンペーン(Good Faith Challenge)を「2020ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」の第二期の出発点として位置付け展開します。さらに核保有国に対して都市を核 攻撃の目標にしないよう求める「都市を攻撃目標にするな(Cities Are Not Targets)プロジェクト」に、取り組みます。

 核兵器は都市を壊滅させることを目的とした非人道的かつ非合法な兵器です。私たちの目的は、これまで都市を人質として利用してきた「核抑止論」そして 「核の傘」の虚妄を暴き、人道的・合法的な立場から市民の生存権を守ることにあります。

 この取組の先頭を切っているのは、米国の1139都市が加盟する全米市長会議です。本年6月の総会で同会議は、自国を含む核保有国に対して核攻撃の標的 から都市を外すことを求める決議を採択しました。

 迷える羊たちを核兵器による呪(のろい)から解き放ち、世界に核兵器からの自由をもたらす責任は今や、私たち世界の市民と都市にあります。岩をも通す固 い意志と燃えるような情熱を持って私たちが目覚め起(た)つ時が来たのです。

 日本国政府には、被爆者や市民の代弁者として、核保有国に対して「核兵器廃絶に向けた誠実な交渉義務を果せ」と迫る、世界的運動を展開するよう要請しま す。そのためにも世界に誇るべき平和憲法を遵守し、さらに「黒い雨降雨地域」や海外の被爆者も含め高齢化した被爆者の実態に即した人間本位の温かい援護策 を充実するよう求めます。

 未(いま)だに氏名さえ分らぬ多くの死没者の霊安かれと、今年改めて、「氏名不詳者多数」の言葉を添えた名簿を慰霊碑に奉納しました。全(すべ)ての原 爆犠牲者の御霊(みたま)に哀悼の誠を捧(ささ)げ、人類の未来の安寧を祈って合掌致します。

      2006年(平成18年)8月6日
              広島市長 秋葉忠利
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◆朝日新聞の社説
◇二重被爆
 原爆が投下されて2週間以内に広島市内か長崎市に入った場合「入市被爆」と言われるそうです。広島で被爆した女性は家族の納骨を済ませ8月15日妹と郷 里の長崎市に入り二重に被爆されたそうです。

 そのような二重被爆者の記録映画「二 重被爆」という映画が作られたそうです。

◇何故2発も落とされたのか?
 当時のアメリカは3個の原爆を持っていたそうです。
 プルトニウム型はニューメキシコ州の砂漠で実験で使われ、ウラン型とプルトニウム型が残されていた。

 広島にはウラン型が落とされ、プルトニウム型は砂漠で実験済みだったが、空から投下して威力を試したかったのだとかかれています。
 悪魔の所業としかいいようがありません。

 トルーマン大統領は広島への原爆投下後、下記のように述べているそうです。
 「我々は歴史上で最も重大な科学上のギャンブルに20億ドルも費やしてきた。そして我々は成功した」
 こいつこそ悪魔の首領であります。

 加島祥造さんの「タオ 老子」第31章「人を殺して楽しむものよ」の言葉を思い出します。残日録(05/02/20) をご覧ください。
 (人を殺して楽しむものは)
 その野望の極みまで行く、
 そして国を破滅に導くんだ。

 「二重 被爆が示すむごさ 広島と長崎」(朝日新聞)

◆毎日新聞社説
◇時間がない
 原爆投下から61年、被爆者は高齢化し被爆の実体験を伝える時間は少なくなっている。
 広島市では今年から8月6日を「平和登校日」とするように呼びかけているそうです。若者が被爆体験を聞き、戦争の愚かさ、非人道さを語り合うことは重要 です。

◇原爆は国際法違反
 国際司法裁判所は「核兵器の使用・威嚇は一般的に国際法違反であり、すべての国に核軍縮に向けての義務がある」との勧告を出しています。(96年7月)

 ロシア、米国、中国、フランス、英国の各国は、新たに核保有の仲間入りをしようとする国々を批判するだけでなく、自らの核軍縮の道筋を国際的に明らかに すべきではないでしょうか?

◇一人一人が行動を
 「地球上で増殖し続ける核の脅威に立ち向かうため、今が被爆者の悲痛な思いに応える最後の機会であることを認識しなければならない。そのうえで、一人一 人が一歩ずつ、自分にできる行動を起こそうではないか」
 そのとおりですね。
 行動を起こしましょう。自分のできることから。

 「原 爆の日 核兵器廃絶へ新たな一歩を」(毎日新聞)

◆産経新聞主張
 飲酒運転とパロマの事件を取り上げています。
 この日に「原爆の日」を取り上げないというのは何か積極的な意味があるのでしょうか?

 「飲酒 運転 酒を勧めた者も共犯者だ」(産経新聞)
 「パロ マ中毒事故 この報告は納得できない」(産経新聞)

◆日本経済新聞社説
◇NPT(核兵器不拡散条約)体制を守れ
 NPTは米国、ロシア、英国、フランス、中国の5ヶ国のみに核保有を認められ、核保有国は究極的には核兵器を廃棄すること、非保有国は核兵器を開発し ないことが義務付けられています。

 日経新聞は「このNPT体制に挑戦しているのが北朝鮮とイランだ。」と指摘しています。
 また、「NPT体制はインド、パキスタン、イスラエルからも挑戦を受けている。3カ国はNPTに参加せず、インド、パキスタンは勝手に核兵器を開発し保 有を宣言、イスラエルも保有が疑われている。」

 私には、NPTは先に核をもった連中の我が侭なように見えてしまいます。

◇保有国は軍縮進めよ
 核保有国がまず自らの核廃棄の道筋を明らかにすべきでしょう。

 「保有国の最大の課題である核軍縮が進んでいないことも問題だ」
 「核保有国は核軍縮の約束を誠実に果たそうとしていないといわざるを得ない」

 そして、すべての核保有国、核を保有しようとする国の指導者は「広島、長崎を訪れ原爆の恐ろしさを自らの目で確かめ」るべきであると書いています。

 「日本は核拡散防止へ主導的役割果たせ」(日本経済新聞)(8/6)

◆中国新聞社説
◇原爆の二つの罪
 ・「殺りくが軍人だけでなく、幼子らを含め市民を無差別、大量に殺傷したことが一つ」
 ・「それと、放射線による体への深すぎるダメージや永続する恐怖で心さえも壊した非人道性だ」

 原爆だけでなく戦争の犠牲になるのは、女性や子供、そして貧しい人たちです。

◇日本は「戦争のできる国」へ
 日本の国の指導者は、国民に多くの犠牲を押し付けた歴史に学ぶことなく「日本は再び『戦争ができる国』に向かってはいないだろうか。守るべき『平和憲 法』の枠を超えて、戦火の足音が聞こえないか。その道の先には、累々とした屍(しかばね)の光景とヒロシマの悲劇があることを忘れまい」

◇九条の精神守れ
 自民党の新憲法草案は「自衛軍の保持」を明記、民主党の憲法提言も「制約された自衛権」を明記し「戦争のできる国」にしようとしています。

 「日本は戦争で焦土になり、広島は原爆で壊滅した。広島はまた、軍都として多くの兵士を海外に送り出した。被害と加害の両方で、失われた命の重みを知 る。戦争と原爆の惨禍を経て生まれたのが、九条の『戦争放棄』と『戦力不保持』の規定である」

 「『再び戦争を起こさない』『海外で武力を使わない』とい う、ごく当たり前の理念が捨て去られてはいけない」

◇日米安保の変質
 アメリカ軍再編での日米の合意では、自衛隊はアメリカ軍の世界戦略に組み込まれ、アメリカ軍の一部隊として機能させられる惧れがあります。
 まさに憲法違反の行動です。

◇まず軍縮果たせ
 中国新聞は、NPT体制を「NPT体制は本来、核拡散の防止と核軍縮が表裏一体だ。まず核大国の米国はじめ保有国が、軍縮の義務を果たすべきだ」と指摘 しています。
 まったくそのとおりだと思います。自分達の核保有を棚上げにして、新たに核を保有しようとする国々に対する批判だけでは、批判の言葉に説得力がありませ ん。

 「ヒロシマ61年 「戦争しない国」誓う原点に」(中国新聞)

◆沖縄タイムス社説
 沖縄タイムスの社説のタイトルは「被爆体験への想像力を」となっています。
 作家で「東京大空襲・戦災資料センター」の館長をされている早乙女勝元さんは「人間的な想像力」が必要な時代だといわれています。

 「人間的な想像力がとても大事な時代になったと思う。つまり人の身になって考える力だ。仮りにそれが海のかなたであったにしても、それから大阪で空襲を 体験したひとが東京はどうだったろう(と思う)、東京空襲でいえば大阪も名古屋も全部の日本中の都市が戦火の瓦礫のなかに埋もれていたわけだから、そうい う人たちの痛みに対する思いというか」(引用)「残 日録」(06/04/14)

◇負い目を抱いて生きる
 生き残ったものが死者に対して幸せになることに負い目をもっていることを井上ひさしさんの「父と暮せば」 を紹介しながら書かれています。

 「自分よりももっと幸せになってもいい人たちがたくさんいた、そういう人たちを押しのけて、自分だけが幸せになるのは申し訳ない―。」
 亡霊となって娘の前に現れた父と娘の4日間の会話を中心に構成されています。
 DVDにもなっているそうです。こんな日に観るのによい映画ですね。

◇対立乗り越える回路を
 しかし、日本がアメリカの核の傘の下で「核兵器の廃絶を求めることの限界についてもあらためて考えざるを得ない」と書いています。
 そのとおりですね。
 自らの身をキレイにしないで、人様の身だしなみをいうことの虚しさもあります。

 アメリカの退役軍人が「『原爆が戦争終結を早め、多くの人命を救った』と原爆投下を正当化し」ているそうです。
 20万人以上の人を殺しておいていう言葉でしょうか?

 「原爆が戦争終結を早め」たのなら、原爆を落とされるまで戦争の終結を遅らせた人の責任はどうなるのでしょうか?
 20万人以上の市民を殺したアメリカの罪は問われたのでしょうか?解決済みのことなのでしょうか?

  「被爆体験への想像力を」(沖縄タイムス)

◆東京新聞社説
 一番心に残った社説を最後に紹介します。
 うまく、伝えられません。何故なのでしょうか?今まで紹介した社説とは一色違います。
 東京新聞は「憲法」問題でも、積極的に発言をしています。

 全文を転載したのですが、著作権の問題がありますので出来ませんので、文中のキーワードをそのまま紹介します。

◇「『よい子の心を通り過ぎたおまえの言葉は、虹になる…』。ヒロシマを描いた映画『父と暮せば』 の一場面。私たちにも“伝えるもの”が、あるはずです。」

◇「被爆電車の『希望』」
 「被爆からわずか三日後、一面の焦土を走り始めた路面電車は広島の街そのものの蘇生(そせい)のあかし、懸命にそれを操る少女の姿は『希望』の象徴でし た。」

◇「ヒロシマが、ナガサキが、本当に伝えたいのは『希望』です。」

◇「広島平和記念資料館北の『被爆アオギリ』は、この夏も手のひらに似た大きな葉っぱをゆらゆらさせて元気です。お隣の『二世』は初めて実をつけまし た。」

◇「物言わぬ“語り部”」
 「変わり果てた骸(むくろ)に近い姿をさらしてもなお原爆ドームが伝えたいのは、崩壊の恨みではなく復興への希望に違いありません。」

◇「原爆症と闘う少女サダコに日本中から折り鶴が届いたように、希望は希望へ連鎖します。」

◇「一方、核兵器の力の基も核分裂の限りない連鎖のエネルギー、その存在と拡散の原動力は、不信と憎悪、そして倨傲(きょごう)の連鎖です。」

◇「子どもたちを果てしない飢餓や惨禍に巻き込んでエスカレートする朝鮮半島や中東情勢も、背景に煮えたぎるのは『核保有願望国』にとりついた不信と憎悪 の 連関です。」

◇「憎悪を止める希望の種子は、ヒロシマとナガサキにしかありません。」

◇「『夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国』(双葉社)」
 「作者のこうの史代さんはあとがきで『原爆と聞けば逃げ回ってばかりだった』と心情を明かします。」

◇「女優の斉藤とも子さんは、今年還暦を迎えた胎内被爆者の記録『き のこ雲の下から、明日へ』(ゆいぽおと)を去年上梓(じょうし)しました。」
 「『人を動かす、人の想(おも)い。それは、なにものにも負けない』と。」

◇「大空に向かい折り鶴を掲げる少女が/残した夢の続き受け継いでいく/この体に流れるあなたからの願いを/世界の果てまで届く様に歌い続ける/ずっと」

 上の詩は原爆の子の像のモデルとなった佐々木禎子さんの甥が歌う「SADAKO」(ロックバンド:GOD BREATH)という歌の歌詞です。
 禎子さんのオフィシャルなサイト「折鶴の少女『SADAKO』からのメッセージ」(禎子さんのお兄さんが運営されているようです)
 広島市のWebサイトに子供向けの「サダコ」のページがあります。

◇「世界が平和になれますように。」

◇「あなたが幸せになれますように。」

 論理的で、攻撃的な文章も人の心を打つものですが、東京新聞の社説のように穏やかで緩やかな言葉がより人々の心を打つような気がします。
 出来ることを、少しずつ、少しずつ、続けていきましょう。
 そんな小さな行動が大きな力になることを信じて。

 「原爆忌に考える 伝えたいも のがある」(東京新聞) 

◆近畿と関西
 大阪周辺の電車では、地方の高校生の姿が目立ちます。
 高校総体(06 総体THE近畿)が開催されているようです。

 最近「近畿」より「関西」がよく使われていると思っていたのですが、なぜ「近畿」総体でしょうか?
 私の働いていた会社では大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の2府4県をエリアとする地域を「近畿」支社と呼称していました。
 官庁系は「近畿」が多いように思います。近畿運輸局、近畿財務局、近畿地方整備局、、、

 なぜかとウィキペディアで調べてみると、
 「近畿(きんき)が正式名称・雅称であるのに対して、関西(かんさい)は俗称である。近畿とほぼ同じ地域を指すが、『関西』は一般的に『関西二府四県 (京都府、大阪府、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県)』であるとされており、両者は分けて使われる事がある」

 「ウィキペディア」より

◆買春
 NHKのテレビ放送を見ていたら、買春を「かいしゅん」と呼んでいました。
 これは湯桶読みですね。
 「ばいしゅん」が正しいのではないでしょうか?

 これもウィキペディアで調べてみると、
 「音読みでは『ばいしゅん』となるが、これは1970年代から1980年代にかけて、日本人男性による韓国や台湾、タイ、その他の東南アジアへの『セッ クス・ツアー』(買春ツアー)激増がマスメディアによって報じられ、それに対する告発によって生まれた造語である。中国語では声調が異なるが日本語だと音 読みが同じになってしまう売春と区別するため、アナウンサーなども湯桶読みの『かいしゅん』を採用した。
 他に、売春する女性を性的被害者とし、その相手である男性を加害者であると断定し、これを強調するためにあえて『買春』の用語を使用することがある(援 助交際の相手の男性などに使うことが多い。主にフェミニストが使う)」
 「ウィキペディア」より
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