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06/09/30 ブックカバー
 「Web本の雑誌」の「作家の 読書道」という読み物に作家の北方謙三さんのインタビュー記事があります。
 若い頃の思い出を語られている中に下記のような部分がありました。

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 その頃は、本屋さんにも通ってた。学校は芝にあったんだけど、近くに時尾書房っていう本屋さんがあって。そこはさ、オバちゃんがカバーをかけてくれる 時、ハサミを使って本のサイズにピッタリ合わせてくれるんだよ。何だか、それを眺めてるのが好きだった。
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 私にも懐かしい本屋の風景です。
 東京都港区の地下鉄神谷町駅付近で働いていた頃、桜田通りを東京タワーの方に歩いていくと左手に「時尾書房」という本屋がありました。大きなお店ではな い のですが、近くで働く人たちで結構繁盛しているお店でした。

 北方謙三さんが行かれていた時代は「オバちゃん」だったようですが、私の行っていた頃はおじさんが手際よくカバーを掛けてくれました。
 私もおじさんの手元を惚れ惚れと見ていました。

 本とカバーがキチンと一体化して、本を開いたときにもカバーが外れることはありません。
 今でも書店で掛けてくれたカバーを外して「TOKIO式カバー」に掛けかえています。

 「TOKIO式カバー」の掛け方を紹介します。
 時尾書房のおじさんは、下記のようなまったりした手順ではありません。
 もっと、手際よく、しゃきしゃきと指先と鋏を使い、あっという間にカバーを掛けてくれます。

 @カバーの上に本を置いて位置決めをします。
 
 A上下端を内側に折り込みます。(普通のカバーと同様です)
  このとき、背表紙部分に合わせて折り目をつけておきます。
 
 B背表紙の幅より少し広めに切込みを入れます。
 
 C表紙に巻き込む部分を折り込みます。
  上下端も折り込んで、角を三角におります。少しきつ目に折り癖をつけます。
 
    
 D三角の耳の部分を表紙の中に折り込みます。
 
 E完成です。三角の折込部分に少し糊をつけると一層しっかりします。
 

◆折々のうた
 朝日新聞の連載コラム「折々のうた」(06/09/29)に大下宣子さんの短歌が紹介されています。
 ぼんやりと過ごしている男には「ドキッ」する言葉が連なります。

 繋(つな)がれて翻弄(ほんろう)さるるはまつびらと思ひつつ待つ君のメールを

 そうですね。
 悲しいことに、相手の自由を尊重しているような、分かったような顔をしていても、男は女性を自分の内に繋ぎとめておきたいものです。
 束縛されるのは嫌、私はもっと自由に生きたい。でも、そんなあなたのメールを待っている。
 可愛い女性の像が浮かびます。

 亡き夫(つま)をおもふも君をおもふのも五十四歳の吾(われ)の現実

 女性の54歳は、未だ未だ恋心多い乙女のようなのですね。
 評者・大岡信さんは「恋人はいるが、『繋がれて翻弄される』のはまっぴらご免という。自立した女性の生き方の典型的例か。」と書かれています。

 これらの句は「志斐(しい)がたり」に所収されているようです。
 読んでみたい本が一つできました。
 柊書房発行のようですが、アマゾンなどのネット販売のサイトやジュンク堂などWebサイトでは見つかりませんでした。

 大下宣子さんは飛騨高山にお住まいとのこと、久しぶりに高山も訪問したくなりました。
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