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06/10/06 戦後を戦前にしてはならない
 慰霊碑は戦後に建ちて立ち続けやがて戦前になるか摩文仁(まぶに)よ   古堅喜代子 (ふるげん・きよこ)


◆安倍発言
 安倍首相は、昨日の衆議院予算委員会での質疑の中で、今までの言動からづれる答弁をしました。
 一つは、先の戦争がアジア諸国への「植民地支配」、「侵略戦争」であり「国策を誤った」ことを認めて謝罪した「村山談話」を認めたこと。
 二つ目は、従軍慰安婦問題がわが国による強制であったとする「河野談話」を認めたこと。
 三つ目は、祖父である元戦犯容疑者・岸信介が1941年開戦詔書に商工相として署名したことは誤りでありであり責任があると発言しました。

 安倍首相の言動は首相就任以前から少しづつずれてきているように見えます。
 今までの言動から見て先の発言、答弁が彼の本音とは思えません。
 何れ、本音(馬脚)を現すのでしょう。

 誰に配慮して「猫を被」ったのでしょうか?
 週末の中韓首脳会議の相手でしょうか?
 彼に「信念」があるとは思えません。

◇一ヶ月前には朝日新聞のインタビューにこんな発言をしていました。

 「自らの政権で『村山談話』を踏襲するかどうかについては、『次の内閣では、その内閣において過去の戦争についての認識を示すべきではないかと思う』と 明言を避けた。」

 「安倍氏は村山談話や、談話をもとに歴代首相が謝罪を繰り返してきたことへの違和感を周辺に漏らしてきた。」

 「村山談話踏襲、明言せず 安倍氏、大戦評価『歴史家』に」(朝日新聞 2006年9月7日  gooニュースより)

 鎧をこっそりと衣の下に隠したつもりでしょう。

◇早くも本音が。。(この項10月7日追記)
 安倍首相は6日の衆院予算委員会で、「A級戦犯は犯罪人でない」とか、従軍慰安婦問題でも「狭義の強制性はなかった」などと、前日の発言を訂正或いは後 退させるような発言をしているようです。

 耳にイヤホン、背中に受信機を背負ったブッシュ大統領みたいに、誰かに操られて動いている木偶人形のような首相に見えます。

 「A級戦犯『戦争犯罪人ではない』 安倍首相、東京裁判に疑問示す」(北海道新聞 2006/10/07)

◇村山談話(戦後50周年の終戦記念日にあたっての村山首相談話
 1995年終戦50周年にあたり当時の村山首相が発表した談話です。

 <一部引用>
 わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国 の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらた めて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
 敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを 通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めていかなければなりません。同時に、わが国は、唯一の被爆国としての体験を踏まえて、核兵器の究極の廃絶を目指 し、核不拡散体制の強化など、国際的な軍縮を積極的に推進していくことが肝要であります。これこそ、過去に対するつぐないとなり、犠牲となられた方々の御 霊を鎮めるゆえんとなると、私は信じております。
 <引用終り>

◇河野談話(慰安婦関係調査結果発表に関する 河野内閣官房長官談話
 1993年当時の河野内閣官房長官が従軍慰安婦問題の調査結果を踏まえて発表した談話です。

 一部を抜粋してみます。
 ▽長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置されていたこと
 ▽数多くの慰安婦が存在したこと
 ▽慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであること
 ▽慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与したこと
 ▽慰安婦の募集については、軍の要請を受けたものであること、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったこと
 ▽慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであったこと
 ▽慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていた
 ▽当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 ▽当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である
 ▽いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省をする


◆冒頭の短歌は、沖縄県で教員をされていた古堅喜代子さんさんの短歌(「長母音の島」所収)です。(10月5日付け朝日新聞のコラム「折々のうた」)

 もう一首、紹介します。

 <自衛隊、サマーワに派兵>
 あんなにも戦争を好む国に添うてゆくべきか立ちつくす慰霊碑

 国を売る人たちが、「美しい国」だとか「愛国」だとか叫んでいます。

 「折々のうた」からもう一首(10月6日付けです)

 諍(いさか)ひし夕べのことは触れずしてそっと足首重ねて眠る   遊細幼(ゆう・さいよう)

 遊細幼さんは台湾の歌人だそうです。台湾は短歌や俳句が盛んなようです。
 夫婦の機微はどこの国でも変わらぬものようです。ほほえましい光景が浮かびます。
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