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06/10/24 人を騙す手口
 23日付けの朝日新聞のコラム(CM天気図)にコラムニストの天野祐吉 さんが「カタカナのワナ」と題したコラムを書かれています。

 10月24日から携帯電話の番号を変えずに携帯の会社を変えられる制度が始まります。
 世の中では携帯電話番号ポータビリティとかMNP(Mobile Number Portability)とか呼ばれていますが、携帯電話番号持ち運び制度のことです。
 天野さんは元々広告屋さんで広告に対する批評家でもあります。
 その天野さんは以下のように言われています。

 「ま、もともと、カタカナを乱用して『新しさ』を偽造するのは、広告のお家芸である。けさも新聞に入っている百貨店のチラシを見ていたら『いま、メンズ スーツのニュートレンドは、スリムなシルエットとシックなストライプのハーモニー』なんて書いてあった。」
 「カタカナには、ものを見えにくくするというか、ものにオブラートをかけてしまう危険もある。」

 そして、その例として「ワーキングプア」という言葉が紹介されています。
 貧困労働層、勤労貧困層とでも言うのでしょうか?
 カタカナ語表現が、労働、勤労、貧困という言葉が持つ強さや実在感が薄められてしまうといわれています。

 共産党のしんぶん赤旗までもがワーキングプアという言葉を使っています。
 「無法一掃、人間らしい働き方 ルール確立が政治の責任」(しんぶん赤旗 06/10/14)


 「残 日録060731」でビル・トッテンさんが「日本では、相手をだます場合に英語が多用 されていることは事実であろう」といわれていることを紹介しました。ビル・トッテンさんのコラムは「『戦争は平和−』日本の未来」(06/07/24)です。

 ビル・トッテンさんはその中で「グローバルスタンダード」という言葉について下記のようにいわれています。

 「例えば『グローバルスタンダード』だが、この言葉が日本で使われるようになったのは90年代後 半からで、米国からの要請にすぎない改革を『グローバルスタンダード』と称し、日本はそれを次々と取り入れていった。多様性に満ちたこの地球(グローバ ル)で、一体何が標準(スタンダード)なのかも議論されなかった。平易に言えば、それは弱肉強食の原則に基づく、少数の勝者と大多数の敗者を生み出すシス テムにほかならないことは明白だ。」

 第165回臨時国会において安倍首相が行った所信表明演説にも多くのカタカナ語が出てきます。

 ◇だれもがチャレンジできる社会を
 ◇ルール意識を欠いた企業活動
 ◇一国のトップリーダーの
 ◇活力とチャンスと
 ◇成長するエネルギーを
 ◇リーダーシップのある国
 ◇世界のグローバル化が進む中で
 ◇政治のリーダーシップを確立
 ◇イノベーションの力とオープンな姿勢に
 ◇成長に貢献するイノベーションの創造に
 ◇戦略指針「イノベーション25」を
 ◇テレワーク人口の倍増を
 ◇戦略的にフル活用し
 ◇アニメや音楽などのコンテンツ
 ◇アジア・ゲートウエー構想
 ◇再チャレンジ支援策を推進
 ◇新卒一括採用システムの見直し
 ◇再チャレンジ職場体験制度の創設
 ◇ハードルを引き下げる
 ◇フリーターをピーク時の八割に減らす
 ◇ニートやフリーターの積極的な雇用を
 ◇再チャレンジする起業家
 ◇さまざまな再チャレンジを支援する
 ◇地場産業の発掘・ブランド化
 ◇地方独自のプロジェクト
 ◇地方応援プログラムを来年度からスタート
 ◇官と民との新たなパートナーシップ
 ◇ゼロベースの見直し
 ◇プライマリーバランスを確実に
 ◇公共サービス改革法に基づく市場化テスト
 ◇道州制ビジョンの策定
 ◇新たなグランドデザイン
 ◇人生のリスクに対するセーフティーネット
 ◇新健康フロンティア戦略
 ◇レセプトの電子化
 ◇第二次ベビーブーム世代
 ◇子育てフレンドリーな社会
 ◇事故リスク情報
 ◇バイオエタノールを利用
 ◇バイオマスの利用
 ◇基礎学力強化プログラム
 ◇政治の強力なリーダーシップ
 ◇メールマガジンやタウンミーティングの充実
 ◇ライブトーク官邸
 ◇世界にアピールする
 ◇カントリーアイデンティティー
 ◇チャレンジしたいと願う

 ベビーブーム、アピールなど慣用的になった言葉もありますが、「子育てフレンドリーな社会」ってとても理解できない言葉が多用されています。
 国民にこの内閣の方針を語りかける所信表明演説にしては分からない言葉の羅列に思われます。

 実のない言葉でした。

◆京都には負けへん、奈良市役所
 先日、京都市役所の職員のでたらめぶりを取り上げました(残 日録06/10/20)が、京都には負けられんと吃驚仰天の奈良市の職員がおりました。

◇男性職員(42)
 病気を理由に休暇・休職を繰り返し、過去5年9ヶ月間に8日しか出勤せず、給料はほぼ満額を受け取っていたという職員は、休暇中も市役所に出入りし公共 工事を親族の会社に随時契約するように口利きをしていたそうです。

 朝日新聞によるとこの職員のことは21日に奈良市の調査で分かったとのことです。
 こんな「有名人」が職場にいて、市役所内をウロウロしていれば、職場だけでなく、市役所内にも、市民の間でも評判になっていたはずですが。。

 京都市役所の月に4日出勤する職員など可愛いものです。

 「5年で8日出勤の奈良市職員 休み中も頻繁に庁舎出入り」(朝日新聞 06/10/21)

 親族の会社ではなく本人が旧姓で建設会社を経営していたこと、部落解放同盟の奈良市支部協議会の副議長(古市支部長)をしていたそうです。
 部落解放同盟奈良市支部協議会の岡田議長は「男性職員の職業は建設業だと思っていた。公務員であることは知らなかった」と語っています。
 部落解放運動でも旧姓を使っていたと説明されているそうですが、こんな詭弁が通用するのですね。信じ難い不思議な話です。

 「旧姓で建設業経営-奈良市の休職職員」(奈良新聞 06/10/23)

◇給与返還請求
 兼職を禁止する公務員法違反の疑いがあり、奈良市は01年からの給料約2700万円の返還請求をするそうです。

 「『病欠』職員を懲戒免職へ 奈良市、会社経営に関与」(東京新聞 06/10/23)

 01年1月以前の資料が残っていないためにそれ以前については遡及できないそうです。

◇職員A
 2つの病名を使い分けて、病気休暇、病気休職を100回繰り返し5年9ヶ月間の出勤日数は182日だったそうです。

◇職員B
 5つの病名を使い分けて、病気休暇、病気休職を187回繰り返し5年9ヶ月間の出勤日数は423日だったそうです。

 「長期病欠、新たに2人 給与ほぼ満額支給 奈良市」(朝日新聞 06/10/23)

 42歳の男性職員以外に同様に病気休暇、休職を繰り返していた職員が5名いたとの報道もあります。

◇一般的な出勤日数
 一般的な出勤日数を06年のカレンダーで調べてみました。
 @週休二日制で国民の休日を休んだ場合の要出勤日数:247日
 A年末始の休暇が12月29日〜1月3日の場合の休日:2日
 B有給休暇が1年間に発給される日数を20日として1年間に行使した場合の休日:20日

 <1年間に出勤すべき日数>=@−A−B=220日
 <5年9ヶ月間に出勤すべき日数>=220日/年×5年9ヶ月=1,265日
 上記3人の職員の出勤率は以下のとおり。

 ▽男性職員(42):8日÷1265日=0.6%
 ▽職員A:182日÷1265日=14.8%
 ▽職員B:423日÷1265日=34.2%

◇病気休暇制度
 本当の病気で休んで、このように病気休暇をとる職員がいれば、労働衛生上からもカウンセリングなどの対策がとられていなければなりません。

 このような労働環境は先人が勝ち取ってきた権利です。一部の不届き者のために制度が改悪されたり、運用に規制がかかるようなことがあってはならないと思 います。
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