Google
WWW を検索 残日録内 を検索
←Back  Haiku  Photo Mail Archives Twitter  Next→

06/11/03 日本国憲法・公布の日
 今日は、1946(昭和21)年11月3日に日本国憲法が公布されてか ら60年目の記念日です。
 日本国憲法が、軽々に扱われるこの頃、何とも気の晴れない憲法公布の日です。

 先日の安倍首相の憲法改悪発言は誠に許せないことで、今日の社説にも書かれているのかと覗いてみました。
 全国紙は日本国憲法の危機な状況を下記のようにしか取り上げられていません。

◇産経新聞:憲法改正(悪)に肯定的な意見
◇読売新聞:憲法改正(悪)に肯定的な意見
◇朝日新聞:取り上げず
◇日経新聞:憲法改正(悪)の手続き(国民投票法案)を進めよ
◇毎日新聞:憲法改正(悪)には国民理解を得るのが先

 情けない全国紙と違い地方紙は、日本国憲法の持つ意義を正しく評しています。また、安倍首相発言、中川自民党政調会長発言、麻生外相発言の問題も批判的 に指摘しています。

◆ 産経新聞:「憲 法公布60年 脅威対処へ足枷はずせ
 見出しとおりの内容です。

 「『普通の国』として国際社会で応分の責任を果たし、日米で共に守る関係にすることに、自民、公明、民主3党間で大きな異論があるとは思えない。国難を 乗り切る知恵と決断を、3党は求められている。」

 産経新聞の言う「普通の国」とは「戦争のできる国」と同意語です。
 自民、公明、民主で大きな異論が無いとは鋭い指摘です。自公民に大きな政策の違いはありません。

◆読売新聞:「[憲法公布60年]『新しい時代への指針が必要だ』
 こちらも見出しとおりの内容です。
 「戦後の憲法体制はもう、限界に直面しているのではないか――。」とは、どのような根拠での論理でしょうか?

 「憲法公布60年を新時代への指針を確立する重要なステップの年としたい。」
 ジャーナリズムにとって、一番大事な権力への批判精神は無いものねだりなのです。

◆日経新聞:「国民投票法案の速やかな成立を
 60年も変えられずにきた憲法を「『不磨の大典』のように扱うのは正しくない」と、「よりよい憲法をめざして活発に議論するのは良いことである」と、誰 も否定のしようの無いような言葉を並べています。

 そして最後に「どんなに遅くとも来年の5月3日の憲法施行60年までに成立させることが与野党に課せられた責務である」と書いています。
 「より良い憲法」のための議論をしようということよりも、憲法を改正(悪)することに本音があるようです。

◆朝日新聞:触れられず
 何故なのでしょう。
 安倍晋三首相の発言の後だけに、書かない意味もあるのでしょうか?
 因みに、この日の社説のテーマは、高校の履修隠しと和歌山県の官製談合でした。

◆毎日新聞:「憲法改正問題 国民理解を求めるのが先だ
 毎日新聞は「改憲議論は、いまは下火だ」との認識のようです。
 そうでしょうか?私には活発になっているように見えますが。

 先日の安倍首相の発言に対して、「首相が内閣の目標を明確に語るのは結構なことだ。しかし、先の所信表明演説では触れなかった具体的な改憲スケジュール を海外メディアを相手に初めて語ったのは腑(ふ)に落ちない」
 そのとおりです。国民の前では衣を脱ごうとしません。

 「憲法論議を高めたいのなら、首相は改正の必要性を正面から語り国民の理解を求めるのが先決だ」
 安倍首相が独立・日本国の首相であるなら、憲法9条を守り、その精神を世界に広めることが「国際貢献」でないでしょうか。

◆北海道新聞:「憲法公布60年*平和主義は普遍的価値
 安倍首相の発言について、「風雪に耐え戦後日本の平和を支えてきた憲法がきょう、公布から六十年を迎えた。その足元を揺るがしかねない動きが今、着々と 進んでいる」と評しています。

 「では憲法は、本当に現代に通用しないほど古びているのか。そうではないだろう」
 「九条に象徴されるその平和主義は国民からも国際社会からも幅広い支持を受けてきた」
 「紛争が絶えない世界にあって、戦争放棄や戦力不保持をうたった憲法は普遍的な価値を持っている」
 「現実に合わなくなったからと手を入れるのではなく、憲法が掲げる理想の実現を目指すことこそ、日本が今とるべき道であるはずだ」

 大手全国紙は、なぜ、このような視点に立てないのでしょうか?

 安倍首相の発言は「これほど大事なことがらをまず国民ではなく外国に向けて口にすること自体、問題と言わざるを得ない」ことです。
 私のような庶民の感覚での文章です。
 このことを、全国紙は取り上げないのでしょうか?

 国民投票法案の議論について「主権者として、しっかり論議に目を向けていきたい」ものです。

◆東奥日報:「憲法公布60年/非戦、非核の原点忘れまい
 地方紙の社説が輝いています。

 戦争は2度としないという「非戦」の決意と、核は再び使われてはならないという「非核」の願いは、「今も、これからも忘れてならない戦後の原点であり国 是だろう。世界もその方向 を目指してほしいと日本が働きかける普遍的な理念でもあろう」

 村山談話は「わが国は国策を誤って戦争し国民を存亡の危機に陥れた。植民地支配と侵略で多くの国に多大な損害と苦痛を与えた。それを深く反省し、唯一の 被爆国として核兵器廃絶も目指す−」と語った。

 その村山談話を受け継ぐという安倍首相は、片方では戦力の不保持を謳った9条を改正(悪)すると言っています。
 核保有の議論をすべきという自民党幹部や閣僚の発言に対しても「個人の発言は、言論の自由」などと惚けたことを言っています。

 「この(教育基本法)改正案では子どもたちの心に政治が踏み込む恐れがあるという批判がある。こうした状況を総合的に見つめてどう判断するか。それが憲 法公布六十年を迎えた今、主権者である国民に問われているのではないか」

 人の心まで踏み込み権利は、国にも、権力者にもありません。
 与党は憲法改正への第一ステップとなるものです。
 彼らのいう「愛国」とは、「権力の意のままになる」と同意語です。

 マガジン9条のWebサイトに「『教育基本法 改正』についての呼びかけ」があります。是非お読みください。

◆秋田魁新報:触れられず

◆港北新報:触れられず

◆神奈川新聞:「憲法公布60年 理想実現へ努力を続けよ
 日本が豊かで平和な社会を実現したのは「日本国憲法が国民の英知と努力を平和国家建設へと結集させた成果である」こと。

 そして「日本の植民地支配や侵略戦争によって大きな被害を受けたアジア諸国民との和解においても、信頼を得る基礎は戦争放棄を定めた九条だった」

 「イラク戦争の悲惨な結果が示しているように、いたずらに米国に追随し、米国との軍事同盟にのめり込むことは、国を誤ることになる。九条の平和主義は現 実に日本の平和と安全を守ってきた。そして、世界の尊敬を得て、日本外交の貴重な資産になってきた。失ってはならないものだ」

 私たちの望む国のあり方は、「『国益』の名の下に米国に従い世界各地で軍事行動を続ける国、自由にモノも言えない国が望みだろうか。決してそうではない はずだ。憲法の理想は二十一世紀の世界でさらに輝きを増している。その理想の実現にこそ力を尽くしたい」

◆新潟日報:「憲法公布60年 9条の輝きは失せない
 憲法公布の翌日、1946年11月4日の「新潟日報は全四ページにわたって新憲法公布関連の記事を掲載した。『国家再建新発足の日』『新生日本の黎明 (れいめい)』『歓(よろこ)びの聲(こえ)、谺(こだま)して』などの大見出しに高揚感が見て取れる」

 「ここで初心に帰って憲法を見詰め直す必要がありはしないか。泥沼化したイラク情勢は、軍事力で平和を構築することの困難さを教えている。
 いま一度、憲法の再生に光を当てたい。世界平和を尊び、国民一人一人を大切にする憲法の精神は、公布後六十年を経ても決して古びてはいないはずだ」
 
◆信濃毎日新聞:「憲法公布60年 危機時代のよりどころ
 「(憲法公布60年は)味わい深い年回りのはずですが、憲法はかつてない岐路に直面しています。改正が現実味を帯びて迫っているからです」

 「九条を変えたり、集団的自衛権を使うようになれば、紛争地で自衛隊員が戦死し、日本が戦闘に巻き込まれることもあり得るでしょう」
 「国民を守っているのが日本の憲法です。国家を縛り、コントロールする大事な手綱なのです」

 「国民の中から、憲法を再評価する動きが高まっていることに、注目したいと思います」
 「全国各地に『九条の会』ができつつあります。憲法の本が幅広く読まれ、例えば、タレントの太田光さんと思想家の中沢新一さんの対談「憲法九条を世界遺 産に」(集英社新書)も、発想の楽しさが若者の間でも注目されています」
 「手綱を手放せば、国が暴走してしまうかもしれないことに、国民は気付いているように感じます」

 信濃毎日新聞は、憲法を守ろうとする国民の運動の流れなどをキチンと見ています。
 憂い嘆くだけでなく、小さな国民の力に目を向けていることはすばらしいことだと思います。

◆中日新聞:触れられず

◆北日本新聞:触れられず

◆福井新聞:触れられず

◆岐阜新聞:触れられず

◆神戸新聞:触れられず

◆山陽新聞:触れられず

◆中国新聞:「憲法公布60年 『平和主義』貫き通そう
 安倍首相の会見発言を下記のように批判しています。

 「六年以内に憲法改正を目指す考えを表明した。『時代にそぐわない』と強調するが、まず期限ありきの姿勢は納得しかねる。憲法はどうあるべきか、じっく り議論を尽くしたい」

 「敗戦後の混乱から抜け出し、平和と繁栄を築く礎になったのは現憲法であることを忘れてはなるまい。しかも、平和憲法として、世界から高く評価されてい る」

 「戦争できる国を目指しているとしか思えない」
 戦争のできる国って、誰の為の国なのでしょうね。

 「憲法は、国のかたちを決める最高法規である。公布六十年を機に読み直し、本当に変えなければならないのか、家族みんなで話し合ってみませんか」

◆愛媛新聞:触れられず

◆高知新聞:触れられず

◆佐賀新聞:触れられず

◆宮崎日日新聞:「憲法公布60年 優に世界へ誇れる実績なのだ
 「憲法の3本柱は国民主権、平和主義、基本的人権の尊重である。公布当時、この憲法が国民から感動を持って受け入れられたのは、これら3本柱が戦前の日 本にはなかった新鮮な理念だったからにほかならない」

 こんな憲法を6年以内に、古臭くなった9条を捨てるべきだという安倍首相発言は、「所信表明でも発言していない。外国メディアで本音が出たということで はないのか」、そのとおりです。
 安倍晋三は、姑息な男です。

◆南日本新聞:「[憲法公布] 風雪に耐えて還暦を迎えた平和主義
 日本国憲法が、戦後政治の風雪に耐えてきた軌跡は世界に誇れる財産だと書いています。

 「国会での憲法論議は一時に比べ低調だが、この静けさは悪いことではない。憲法をどうするかは、冷静にじっくりと論議を重ねなければならない。北朝鮮の 挑発に動揺して、拙速に結論を出すことこそ戒めるべきだ。衆院特別委では改憲の手続きを定める国民投票法案の審議も再開された。これも丁寧に審議したい」

◆琉球新報:「憲法公布60年・平和主義を守り抜こう/世界に誇れる実績は大きい
 大きな犠牲の上に現憲法があるとの認識は、沖縄にとっては大きいことです。
 その反省の上に作られた日本国憲法は「前文で『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意』し、九条で『戦力の不保持、 交戦権の否認』を定めたのはそのためだ」

 憲法改正の手続きを定める「国民投票法案」、愛国?心を争点にした「教育基本法改正案」、「防衛庁昇格案」など、憲法改正と密接に繋がる動きが進んでい る。

 「九条があり、非核三原則があるから、アジア諸国をはじめ、各国は安心して日本と交流できた面がある。現憲法がこれまで果たした実績は大きい」

 「在日米軍基地が75%も占める現実が、「平和と人権」を掲げた憲法への切実な思いを最も持っているのが県民だ」

 「軍隊が住民を守らなかったことを、県民は沖縄戦の体験を通して肌で知っている」
 軍隊は、国民を守るものではありません。
 軍隊は、他国を侵略する殺人マシーンなのです。

 「憲法論議もいいが、現憲法の良さをいま一度、見つめ直したい」

◆沖縄タイムス:「[憲法公布60年]理念踏みにじられる沖縄
 日本国憲法は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を三本柱に、多くの国民の支持を得て還暦を迎えたが、沖縄の現実は「復帰後も日米安保条約が平和憲 法の理念を公然と踏みにじってきた。米軍基地は今なお、憲法で保障された『平和的生存権』や『基本的人権の尊重』を侵害し続けているといわねばならない」

 戦争末期に沖縄を見捨てた私たちは、いまも沖縄を犠牲にしているのです。

 「このままいけば、憲法九条は戦争のできる米国主導の憲法に仕立て直されかねない」
inserted by FC2 system inserted by FC2 system