06/11/16 労働市場?
どうしても見過ごすことのできない新聞記事がありましたので書きおきま
す。
15日付けの朝日新聞は、政府の経済財政諮問会議の八代尚宏議員へのイ
ンタビュー記事「派遣法の抜本的見直しを」を掲載しています。
矢代議員は、労働者派遣法の抜本的見直しをする必要があるといっています。
・派遣期間の延長
・正社員への雇用義務の撤廃
・正社員の解雇規制の緩和
与党の機関紙かと思う記事です。
現在の労働者派遣法では、派遣労働を正社員になるための前段階と位置付けています。
すなわち、正社員としての雇用が正常な状態であり、派遣労働者の受け入れは非・正常なものとの考え方です。
矢代氏の発言は、非・正常な状態を正常なものとし、正常な状態を非・正常なものとし、労働環境を下のレベルに合わそうとする政策です。
派遣労働者の受け入れ期間は原則1年と決められていますが、この規制を外し派遣労働を常態化しようと言っています。
また、正社員の首切りが簡単にできるようにして、正社員も派遣労働のように使い捨てさせようとの考えです。
朝日新聞が矢代議員のインタビュー記事を4段抜きの見出しで報じるのはどのような意図があるのでしょか?
「一問一答」と書かれていますが八代氏の主張を載せているだけの放談です。
例えば正社員の解雇規制も緩和すべきだという部分は以下のように書かれています。(以下、引用します)
−正社員の雇用保障も見直すべきだと主張されているが。
「低成長で正社員の雇用を守るために、非正社員がより多く必要になった。正社員の過度の雇用保障が若者や主婦の参入を妨げている。判例上、正社員を解雇
できるのは、パートや派遣を解雇してからといった解雇規制も法律で修正すべきだと思う。解雇の金銭解決も求めるのは当然で、やめてほしいといわれた会社で
無理に働くより、手切れ金をもらって新しい仕事を探した方がよい」
正社員の首を切って、次に働くところを探せというのが安倍晋三首相のいう「再チャレンジ」なのですね。
若者や女性、そして正社員までも、不安定で低賃金のパートや派遣労働に追い込み、安い労働力を企業に提供しようという「労働市場の流動化」が「労働ビッ
グバーン」だそうです。
労働者を「物」のように扱う考え方には組みできません。
御用学者のにやけた顔写真とともに気分の悪い記事は朝日新聞の購読を止めようかと思うほどです。
そんなときに、タイミングよく法人税の減税の動きが報道されていました。
「政府税制調査会(首相の諮問機関)は9日の会合で2007年度税制改正の論点を固めた。焦点の法人税の減税は企業の減価償却制度の見直しに加え、約
40%と主要国よりも水準の高い法人課税の実効税率を引き下げることも検討する。実効税率の引き下げの具体化は08年度以降になる公算が大きく、法人減税
は2段階での実施になる見通しだ」(引用)
「企業の税負担、2段階で軽減・政府税調が始動」(日本経済新聞 06/11/15)
政府与党は彼らのスポンサーである大企業に滅私の奉仕しています。
昨日の教育基本法改悪の単独採決も、国民のためでなく軍需企業やアメリカのために戦争のできる国にするための第一歩です。
◆報道の不偏不党
続いて朝日新聞ネタですが。
15日付け朝日新聞の投書欄「声」に「護憲の報道が少なくないか」という投書が掲載されていました。
投書者は、11月9日に神戸で催された「はばたけ! 9条の心」という集会の様子を全国紙では詳しく取り上げたものは無かったこと、新聞社の編集権は理
解
するが「公正中立の報道がなされているか大いに疑問である」と書かれています。
公正中立、普遍不党の報道などあるのでしょうか?
メディアは自らの旗色を明確にすべきではないでしょうか?
産経新聞や読売新聞が教育基本法改悪賛成、憲法改悪賛成のように。
ただ、憲法を守ろう、9条を守ろうという骨のあるメディアが無いだけのように思います。
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