07/01/02
憲法施行60周年の年頭の社説
昨年と同様に、娘宅で越年しました。
少々、酒浸かり気味ではありますが、新聞も読まずテレビも見ずに娘夫婦や孫たちの相手をしながらの平和な市民生活を楽しんでおります。
ほろ酔い気分で娘夫婦といろいろと話をしました。
「この国の様々な矛盾は『この国が真の独立国ではなくアメリカの植民地支配下にある』と考えるとすっきりとするね」が、正月談義の結論でした。
ぼんやり頭では十分に読みきれませんが各紙の社説の一部を紹介します。
全体的に、昨年の教育基本法改悪はさらりと書き流されており、憲法施行60周年の元日の社説としては物足りなさばかりが気になる社説でした。
◆
「タブー
なき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」(読売新聞)
自民党の機関紙、あるいは政府広報紙かと思えるほどの内容です。
小見出しを抜書きしてみます。
・「北」の核は容認できぬ
・核の傘は機能するか
・鍵を握る中国の影響力
・前提となる財政基盤
・消費税増は不可避だ
要約すると以下のような主張です。
北朝鮮の核保有は日本にとって脅威であるが、日本の核保有は現実的でない。しからば、アメリカとの同盟関係を強化し集団的自衛権を行使できる国にならね
ばならない。
安全保障体制(国防)の整備のためには財政基盤の強化が不可欠であり消費税増税を急ぐべきである。
しかし、自らの立場を明確にした「分かり易い」主張です。
◆
戦後ニッ
ポンを侮るな 憲法60年の年明けに(朝日新聞)
憲法施行60周年を機に「日本の取るべき針路を提言する」と期待させる導入部です。
イラクに派兵された自衛隊の行動を制約してきたことは9条の重みだったが、「国際社会が一致してあたる場合は知らん顔はできまい」と書かれている意味がわか
りません。
国際社会が一致するなら自衛隊の武力行使も是とするということでしょうか?
アメリ
カ・民主党の元大統領候補アル・ゴアを「伝道師」と持上げ、ゴアが地球環境の危機を訴えて世界を歩いていることと、ブッシュの世界戦略を対比させている意
味も良く分かりません。
◆「世界一」を増やそう 挑戦に必要な暮らしの安全(毎日新聞)
毎日新聞の社説も脳天気な文章からはじまります。
「日本人がいまの豊かな暮らしを維持するには、世界一を増やすほかない」という論理です。
日本の世界一の例として、桜島大根、法隆寺、王
ジャパン、「男はつらいよ」、東京競馬場の大型映像スクリーン、トヨタ・カローラ、長寿、、
私は日本が世界に誇れる「世界一」は日本国憲法、とりわけ第9条ではないかと思っています。
そして「日本はさまざまな世界一を必要としている。なかでも必要なのは、世界一国民を大事にする政府である。そして、世界一の政府を求めるならば、私た
ち自身が世界一啓発された有権者でなくてはならない。/今年は春に統一地方選、夏に参院選が待っている。投票所に足を運ぶ。国民のための政治を実現するに
は、まず私たちが腰をあげる必要がある。それを世界一づくりの第一歩としよう」と結んでいます。
護憲?派の新聞との読者の思いとはほど遠い年初の社説でした。
◆新しい人間中心主義(中日新聞)
格差社会に焦点を当てています。
「小泉前政権で加速された市場原理主義と新自由主義による構造改革で貧富と格差はさらに拡大しました」(引用)
企業は大もうけをしているにも関わらず、非正社員は労働者の3人に1人(1600万人)にも上り、生活保護世帯は105万世帯となっている。
格差は固定化し、世代を超えて引き継がれている現実を下記のように締めくくっています。
「勝ち組世襲議員に敗者の現実がみえ、心情が理解できるかどうか。/悲願の改定教育基本法を成立させた安倍政権の次なる目標が改憲ですが、そこに盛り込
まれている権力拘束規範から国民の行動拘束規範への転換こそ、勝ち組世襲集団の発想に思えるのです。/国民の内にある庶民感覚と感情のずれ。改憲に簡単に
うなずけない理由のひとつです」(引用) |
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