08/05/11 破綻会社のこと
ある会社の破綻について以前(残
日録07/02/01)書きました。
00年10月に「株式上場にのための社内環境の整備」をするためにと請われて問題の会社に入社しました。
私の職務は社内の諸手続きの整備と、取引が適法に行われるためのルール作りとその監視が主な仕事でした。
上場前から繰り返されていた架空取引などの不正取引を防止するためのルールを提案したことから、社長らから疎まれ職務を外されました。このような架空取
引、粉飾決算が続いていけば社内監査担当の私がスケープゴートとして差し出されるのではないかとの危惧もあり、03年3月に自ら退職しました。
07年1月、その会社が「数人の役員らが関与する循環取引が発覚し、100億円を超える負債があったため」と検察の捜査が入ったことをきっかけに破綻し
てしまいました。
この事件について、数紙から取材を受けておりましたが、その後の報道もなく検察もトカゲの尻尾を捕まえて幕を引いたのかと思っていました。
ところがゴールデンウィーク明けに、ある機関から「任意」の事情聴取をしたいとの連絡がありました。
自分の知っていることで、彼らの犯罪行為の一部でも明らかになれればとハンスト日でしたが出向きました。
14時に訪問すると、殺風景な会議室様の部屋に通されました。相手は3人、顔写真が貼られた組織の手帳で自己紹介を受けましたが、電話でアクセスしてき
た一人以外は名前も覚えていません。(ちらりと見せられただけでは覚えられません)
入社に至る経緯と、入社後の職務内容を一通りしゃべらせ、その後は架空取引の実務について何度も訊かれました。
・架空取引と知っていたか?
・誰と誰が知っていたか?そう思う根拠は?
・架空取引にかかる事務処理は誰の指示で、誰がしたのか?
・その指示は具体的にどんな形か?口頭か?書類か?
・どの時期(何年何月何日頃)に、どのような商談の処理をしたか?etc.
思い出すことを雑談風にしゃべっているだけですが、お茶もでず18時過ぎまで拘束され疲れました。
彼らの言葉から分かったこと。
・この機関の調査の端緒は、検察の強制捜査以降である。
・株式の上場そのものが、粉飾決算の上に成り立っていたことを重視している。
・違法な取引(架空取引)のうち、数社を巻き込んだ循環取引に注視している。
・他に事情聴取をしている連中からは、適格な情報を得ていない様子である。
事情聴取対象者は保身のために「知らなかった」「分からなかった」と述べている?
後で「身上書」なるものを書かされ捺印さされました。
内容は履歴書もどきのものであり、休職中の幸いかバッグにあった履歴書を添付しておきました。
調査、捜査は、時間が経つとドンドンと困難になっていきます。
私も、当時の記憶も薄れ、手帳などへのメモ書きも散逸している状態です。
会社や組織の不正を見つけたら、その時に内部告発すると情報も豊富にあり立件し易くなります。
公益通報者保護法(内部告発者保護法)が06年4月から施行されていますが、告発者には相当の覚悟がいることに違いありません。
何年も前から、偽食材を使用し、賞味期限切れ商品を販売し、挙句は客の食べ残しを使いまわしていたというような飲食店の実体が何年も明らかにされなかっ
たこと、一旦どぶに落ちればあれもこれもと噴出するような現実を見ていると、内部告発をするということの大変さが分かります。
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