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08/08/26 オリンピックのことなど
 鍛えられた人たちの一流の競技 は見ごたえのあるものです。
 そして、オリンピックは私たちも一時的に「民族主義者」とするようです。見ない見ないと思いながらも結構見ていたようです。
 気になったことをいくつか。。

◆刺青
 体にペインティングしたり刺青をしたりすることは自己表現の一つの方法なのでしょうが、古いタイプの私は街中で刺青をした人を見ると不快になります。
 オリンピックを見ていて刺青をしたスポーツ選手が増えているように思いました。
 競技団体やIOCは不快だと思わないのでしょうか?

◆星野監督
 野球チームの
星野監督は敗戦後の記者会見で「強いものが勝つのではなく、勝ったものが強いということを実感した」と発言 したそうです。
 「私たちは強かったけど負けた」との負け惜しみに聞こえるだけでなく、勝者に対する侮辱のように感じました。
 彼のいう「日の丸を背負う」との時代錯誤の発言も嫌なことです。

 読売ジャイアンツの渡辺恒雄会長が星野監督を擁護しているようです が、類は友を呼ぶの例えどおりです。

◆期待された人たち
 野球やサッカーなどのように、期待された人たちの中で十分の成績が挙げられなかった人たちがいました。
 「好成績を挙げる」というのは日本のマスコミが作り出した視聴率獲得のための情報操作だったようです。

◆忍耐と我慢
 井村雅代さんがヘッドコーチを務めたシンクロナイズド・スイミング中国チームが銅メダルを取ったそうです。
 言葉も文化も違う国の選手を指導して2年足らずで3位入賞するチームを作られたことは立派です。
 そのために、日本チームが4位になったと井村さんを恨むような発言もあったようですがお門違いも甚だしいことです。
 井村さんの次の発言は考えさせられます。
 「日本の選手は耐えることができる。中国では論理的に説明しなければ選手はついてこない」

 その「耐える」こと、「我慢をする」ことを日本で学んで金メダルを獲得したのがマラソンのワンジル選手です。
 「日本では我慢することを学んだ。きょうはしっかり我慢できた」と発言しているそうです。

 「忍耐」や「我慢」で鍛えるスポーツ選手は時代遅れのように感じますが。。

◆閉会式
 ニュースで閉会式を見ていて、携帯電話で話しながら入場してくる日本の選手を見てびっくりしました。
 誰と話しているのか、スポーツに秀でてメダルを取るような人たちはずいぶん幼稚な人たちなのだと思いました。
 このような人たちが、そのうちマスコミで教育論を披瀝したりするのでしょう。

◆日の丸に支配された五輪
 ダイヤモンド社のサイトでスポーツ評論家の谷口源太郎さんが「星野 ジャパン人気に偏狭 ナショナリズム」という脅威」という記事を書かれています。

 「星野氏は、プロ野球・中日ドラゴンズ監督時代、理論や論理ではなく暴力で選手を納得させる指揮官として知られた。また、日の丸の強調が象徴するように 星野氏は、ナショナリズムに凝り固まった人物でもある。
 しかし、メディアは、そうした星野氏の本質的な資質を見ようとせず、『闘将』『熱血漢』などと偽称して持ち上げ、頼りがいのある指導者のイメージを作り 上げてきた。そして、星野氏の理屈抜きで感情的に思いついたことをずばずばという語り口が、メディアによって思考力を奪われた視聴者に受けたといえよ う。」(引用)

 マスコミの扇動は「誰の利益」のためなのでしょう。

 記事の中で原爆詩人の栗原貞子さんの「旗」という詩が紹介されています。

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 日の丸の赤は じんみんの血
 白地の白は じんみんの骨
 いくさのたびに
 骨と血の旗を押し立てて
 他国のこどもまで
 血を流させ 骨にした

 いくさが終わると
 平和の旗になり
 オリンピックにも
 アジア大会にも
 高く掲げられ
 競技に優勝するたびに
 君が代が吹奏される
 千万の血を吸い
 千万の骨をさらした
 犯罪の旗が
 おくめんもなくひるがえっている
 「君が代は千代に八千代に
  苔のむすまで」と
 そのためにじんみんは血を流し
 骨をさらさねばならなかった
 今もまだ還って来ない骨たちが
 アジアの野や山にさらされている

 (中略)

 日の丸の赤は じんみんの血
 白地の白は じんみんの骨
 日本人は忘れても
 アジアの人々は忘れはしない
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◆ 朝日俳壇(8月25日)より
◇一杯の酒にしたがふ冷奴(八代市・橋野百雷:長谷川櫂選)
 先日、仲間うちで「冷奴」を題にした言葉遊びをしました。
 酒飲みの私は掲句のような句が作りたいのですが中々難しいことです。
 ちなみに私の駄句は<独り酒白き豆腐に語りかけ>でした。

煮て焼いて漬けてまだまだ茄子の花(京都市・久世幸子:長谷川櫂選)
 茄子を作る土地を持ちませんが、実家では狭い畑に茄子や胡瓜を植えています。
 茄子の花は結実の確率が高いそうで、祖母はいつもこんな風に言っていました。
 ”親の小言と茄子の花は千にひとつの無駄もない”

◇消したればブラウン管に夏欅(養父市・足立威宏:金子兜太選)
 難しい句ですが何となく惹かれた句です。
 選者は次のように評されています。
 「夏の欅の重厚で生臭いほどに盛り上がった実態感、そしてその孤心のような陰」

◇敗戦忌髪かつて何覚悟せし(昭島市・しもだたかし:金子兜太選)
 大空襲の日、沖縄の日、原爆の日、敗戦の日、、、、日本人として覚悟せねばならない日はたくさんあります。
 もう戦争はしない、させないという「覚悟」をしましょう。

◇長寿と言ふ生き地獄にも秋立ちぬ(さいたま市・川辺了:金子兜太選)
 
国の高齢者を邪魔者にする政策にも憤りを感じますが、長く生きるということは良いことな のでしょうか?
 素直に考えてしまいます。
 長さより質で生きていきたいと思いますが、だらだらと無為に時間を過ごしています。

◆朝日花壇(8月25日)より
 今週の朝日歌壇には赤塚不二夫さんの死を悼む歌が4首もありました。
 選者4人の内、女性の馬場あき子さんをのぞく3人が下記の4首を選ばれています。
 そして、4首の詠み人は女性が3人と、何とも不思議な組み合わせでした。

◇バカボンのママにあこがれし日も遠く赤塚不二夫さん旅立つ盛夏(名古屋市・山田美恵子:佐佐木幸綱選)
◇バカボンもトキワ荘から飛びたったこれでいいのだレレレさよなら(さいたま市・菱沼真紀子:高野公彦選)
◇もう一度ニャロメに会いたいあんな猫居る筈ないがそれでも居たのだ(東京都・太田良作:永田和宏選)
◇ケムンパス踏んでしまいし朝の庭バカボンのパパ逝きしを知りぬ(松戸市・花嶋八重子:永田和宏選)

◆俳句甲子園
 第11回の俳句甲子園が 松山市で開催され、開成高等学校Bチームが優勝したそうです。

 個人の優秀句を紹介します。
◇最優秀句<それぞれに花火を待つてゐる呼吸>(村越敦:開成高等学校)
◇優秀句<迷ひ猫今日は大花火の下で>(柴田悠貴:愛光高等学校)
      <原石のやうな跣足を洗ひけり>(横山尚弘:開成高等学校)
      <縄文の世を見てきたと昼寝人>(藤元奈穂:厚木東高等学校)
      <うつくしく冷えて金魚の葬らる>(宮田晃碩:開成高等学校)
      <少年の跣足に銃の匂ひあり>(高崎壮太:愛光高等学校)
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