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08/11/01 日米密約
 日本は、独立国で はなくアメリカの属国であるということを証明するような密約文書が明らかにされました。
 アメリカ兵が「公務外」で犯した犯罪について、「著しく重要な」事件以外は日本は第一次裁判権を放棄するという密約の原文がが、アメリカの国立公文書館 の解禁文書の中から発見されました。

 報道記事を要約したいのですが、うまくまとまりませんのでしんぶん赤旗の記事を主たる部分を引用します。

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 日本に駐留する米兵の「公務外」での犯罪で「著しく重要」な事件以外は日本の第一次裁判権を放棄するとした日米密約の原文が、二十三日に明らかになりま した。国際問題研究者の新原昭治氏が国会内で米兵犯罪の被害者や日本平和委員会代表とともに記者会見し、公表しました。密約原文は新原氏が九月、米国立公 文書館での米政府解禁文書調査で入手したものです。

 日本の第一次裁判権放棄に関する密約の存在は、米政府解禁文書などで分かっていましたが、原文が明るみに出たのは初めてです。新原氏は、入手した密約本 文や関連資料を示し、「米兵の起訴をぎりぎり最小限にするのが(密約の)狙いで、それは今も生きている」と告発しました。

 密約は一九五三年十月二十八日、結ばれました。米兵・軍属・家族の犯罪に対する刑事裁判権について定めた行政協定第一七条を改定する議定書発効(同二十 九日)の前日でした。同協定の運用について協議する日米合同委員会の裁判権分科委員会の非公開議事録として保管されていました。

 議定書発効により、米兵らの犯罪すべてに米側の専属的裁判権があるとしていた協定一七条は表向き、「公務外」の犯罪の場合は日本に第一次裁判権(優先的 な裁判権)があるとの規定に改定されました。

 一方で、密約(非公開議事録)は、合同委員会裁判権分科委員会刑事部会の日本側代表(津田實法務省刑事局総務課長)の声明として、「日本にとって著しく 重要と考えられる事件以外については第一次裁判権を行使するつもりがない」と明記。第一次裁判権の実質的放棄を約束しました。

 新原氏はまた、日本側が罪を犯した米兵の身柄拘束をできるだけ少なくするとの密約(非公開議事録)も結ばれていたことを初めて明らかにしました。

 同密約は、津田氏と裁判権分科委員会の米側代表であるアラン・トッド中佐が同年十月二十二日に署名。「法違反者が日本の当局により身柄を保持される事例 は多くない」と明記しました。
------------------------「米兵犯罪の第1次裁判権放棄 日米密約の原文判明」(しんぶん赤旗 08/10/24)

 どこの国が自国で犯された犯罪の裁判権を放棄するでしょう?
 主権を持つ国の有りようではありません。
 日米安保条約という不平等条約に縛られたアメリカの属国ではないでしょうか。

 密約の当事者であるアメリカが文書の存在を明らかにしても日本政府は密約の存在を認めようとはしません。
 川村官房長官は、
「日本人による事件と米軍構成員による事件とで起訴すべきか否かの判断に差はない。第1次裁判権を行使 しないこととする日米間の合意、密約はない」と言っています。日 米密約を否定=河村官房長官」(時事通信 08/10/23)
 しらを切りとおすつもりのようです。

 また、法務省は「文書の存在、内容について把握していないので、コメントは差し控える。」と言っているそうです。国家の組織として機能していません。「裁 判権放棄の「密約文」発見=米兵犯罪で日本側−1953年文書、米公文書館公開」(時事通信 08/10/23)

 新聞各紙の報道は一部を除きほとんどが一報だけという、問題の重要性にかんがみてあまりにも低調なものでした。
 なぜなのでしょう?

 アメリカ軍基地の78%が集中する沖縄県ではアメリカ兵の犯罪が後を絶ちません。23日にもアメリカ兵の操縦するセスナ機が名護市のサトウキビ畑に墜落 するという事件がありました。
 この問題に対する反応も沖縄では違うようです。
 10月30日付けの琉球新報のコラム「金口木舌」はこの問題を次のように書いています。

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 中曽根弘文外相は、さらりとかわしたつもりだったのだろう。それとも「密約存在せぬ」の既定方針に従ったまでのことか。それでも米兵絡みの事件・事故が 起き、日米地位協定に絡む問題が浮上する。基地沖縄の現実だ
▼23日、国際問題研究者の新原昭治さんが地位協定17条に絡む第一次裁判権放棄などに関する非公開議事録を明らかにしたが、24日の会見での中曽根外相 の反応は「詳しく承知していない。後で調べて機会があれば報告する」と素っ気ない
▼同日、米兵操縦のセスナ機が名護市に墜落。たちまち捜査と地位協定とのかかわりが焦点となった。外相は28日の会見で「大変遺憾だ」と怒ってみせたが、 県警の要請を拒んで事故機を持ち去った米軍、その横暴を許す地位協定への対応はいかに
▼キャンパス内で米軍が事故機を占拠した沖国大ヘリ墜落事故と同じ事態だ。米軍は今回も地位協定を盾に事故機を押収した。県警の憤りは当然だ
▼秘密合意が米側の公文書で明らかになっても、日本側が否定するか黙殺するというお決まりの構図。事実を隠ぺいしたまま地位協定の不備を運用改善でやり過 ごすままでは県民無視の性格は変わらない
▼「詳しく承知していない」では済まない事態が続いている。隠された事実を明らかにし、地位協定を抜本的に見直す「機会」はとっくに来ている。
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