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08/11/13 田母神参考人招致と社説など
 11日の田母神・ 前 航空幕僚長の国会への参考人招致のやり取りについて、今朝の新聞のほとんどが社説で取り上げています。
 各紙の論調はおおむね下記のようなものです。

◆個人の「言論の自由」は保障されるべきだが、権力を行使する公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負う。
◆田母神氏を航空幕僚長に任命した安倍元首相、放置してきた福田前首相、麻生首相に任命、監督責任がある。
◆自民党の国防部会にも田母神擁護論があることは、自衛隊をコントロールする政治家として問題ではないか。
◆文民統制の危機で、戦争のできる国へと進んでいるようである。
◆自衛隊内に同様の考え方が蔓延しているのではないか。
◆国政調査権を使っても徹底した真相の究明をする必要がある。
◆麻生首相は自らの考えを明らかにすべきである。

◆ 朝日新聞(前空幕長―「言論の自由」のはき違え
◇むろん、自衛官にも言論の自由はある。だが、政府の命令で軍事力を行使する組織の一員である以上、相応の制約が課されるのは当然ではないか。
◇航空自衛隊を率い、統幕学校の校長も務めた人物が、政府方針、基本的な対外姿勢と矛盾する歴史認識を公然と発表し、内部の隊員教育までゆがめる「自由」 があろうはずがない。
◇田母神氏の行動が処分に相当すると考えるのは当然だ。きちんと処分すべきだった。そうでなければ政府の姿勢が疑われかねない。
◇自民党国防部会では田母神氏擁護論が相次いだという。
◇麻生首相の認識が聞きたい。
◇防衛省はなぜ省をあげての調査体制をつくらないのか。政府の腰が重いのなら、国会が国政調査権を発動して乗り出すしかあるまい。

◆読売新聞(前空幕長招致 「言論の自由」をはき違えるな
◇つい先月末まで自衛隊の最高幹部を務めていた人物とは思えないような発言が相次いだ。
◇自衛隊員に対する愛国心教育は必要としても、過去の歴史を一方的に美化することを通じて行うことではあるまい。
◇田母神氏が身勝手な主張を続けることは、むしろ防衛省・自衛隊が長年、国際平和協力活動や災害派遣で地道に築いていた実績や国内外の評価を損なう。
◇政治による文民統制(シビリアンコントロール)の精神にも反している。
◇自衛隊幹部は、軍事的知見や統率力に加え、高い見識、広い視野とバランス感覚が求められる。
◇集団的自衛権の行使や武器使用権限の拡大など、安全保障 上の課題の実現も遠のきかねない。

◆毎日新聞(社説:前空幕長招致 隊内幹部教育の実態究明を
◇現在の文民統制(シビリアンコントロール)の危うさと自衛隊内教育の問題点が浮き彫りになった。
◇今回の論文だけでなく、文章や発言で同様の歴史認識を繰り返していたのに、これを防衛相が把握していなかったのは論外である。
◇特異な主張をする人物として防衛省内で知られていた人物を空自トップの座に据えた安倍政権、それを引き継いだ福田、麻生政権では、文民統制が機能してい なかったと言わざるを得ない。
◇参考人招致は新テロ対策特措法改正案を処理するための「儀式」と受け止める向きもある。これを反映したのか、民主党の追及に迫力は今ひとつ感じられな かった。
◇麻生太郎首相が出席した審議は必須である。田母神氏再招致も検討してしかるべきだ。

◆日本経済新聞(
田母神氏だけなのか心配だ
◇どうしてこのような人物が航空自衛隊トップになったのだろうか。
◇心配なのは、空自内部で田母神氏のような歴史観がどの程度の広がりを持つのかであり、懸賞論文の公募に組織的関与があったかと併せ、さらなる解明を要す る。
◇昨年夏、守屋武昌防衛次官は小池百合子防衛相から退任を命じられ、首相官邸に駆け込んで抵抗した。田母神氏の行動は、それと重なる。いつからこんな危険 な空気が防衛省には広がったのだろう。

◆北海道新聞(前空幕長招致 文民統制は形ばかりか
◇与野党の質問に対し、自分の歴史観の正しさを主張した。あくまで自説に固執し、反省の色さえ見せない態度には驚かされる。
◇一度は検討した懲戒処分を見送った理由も納得できるものではない。
◇ことの重大性から見て、懲戒という形で処分するのが筋だったろう。
◇危惧(きぐ)するのは、自衛隊運用の根本となるべき文民統制が形骸(けいがい)化していることである。
◇文民統制を強化するなら「自衛隊は動けなくなる」と批判し、憲法改正を明言した。委員会終了後には、侵略と植民地支配を認めた村山首相談話は「言論弾圧 の道具だ」とまでエスカレートさせている。
◇自衛隊の一部には、こうした発言を容認する空気があるとも聞く。そうなれば前空幕長一人の問題では済まなくなる。
◇最高指揮官である麻生太郎首相はこの問題をどう考えるか。憲法観、歴史認識と合わせて聞きたい。

◆信濃毎日新聞(前空幕長招致 どう立て直す文民統制
◇自説をアピールする場をわざわざ与えてしまった。
◇この日も反省の言葉はなく「いささかも間違ったものだとは思っていない」と開き直った。さらに憲法9条についても「直した方がいい」と主張した。
◇今回の問題は、政治家が自衛隊をコントロールする文民統制の原則を危うくした。
◇こうした考えの持ち主がどうして空自のトップに上りつめたのか、不思議でならない。
◇(退職金の返納について)前空幕長は応じようとしない。防衛省の対応のもたつきは目に余る。
◇前空幕長が個人的な意見を持つことは自由だ。しかし自衛隊最高幹部という職責をわきまえてもらわなければ困る。権力を行使する公務員は、憲法を尊重し擁 護する義務を負う。国家権力を縛るために憲法がつくられた経緯を思い起こすことが大切である


◆東京新聞(前空幕長の陳述 文民統制を何と心得る
◇田母神氏は自ら起こした混乱の責任を自覚していないようだ。
◇政治が軍事に優先する、民主主義国家の基本である文民統制を「そんなの関係ねえ」といわんばかりの言動には驚がくを覚える。
◇防衛省は組織的背景の究明と隊員教育の実態調査を急ぐべきだ。
◇“暴走”を放置してきた政治の責任も重い。自民党の国防関係合同部会では擁護論すら飛び出したという。何をか言わんやだ。
◇(懲戒処分について)田母神氏が「審理」での徹底論議を求めたため、迅速な対応を優先したというが、これ以上事を荒立てたくない思いも見え隠れする。安 易な幕引きは許されない。

◆西日本新聞
前空幕長 招致 「組織ぐるみ」なら危うい
◇田母神氏の更迭は当然だ。資質に欠ける人物が実力組織のトップに上り詰めたことだけでも、大問題といえる。
◇それ以上に心配なのは、こうした偏った考え方が組織内で公言されても、内局の背広組はチェックできず、隊員からも批判の声は上がらなかったことだ。
◇だが、一部の突出した軍人の声が組織全体を覆い、侵略戦争への坂を転がっていった過去の教訓を忘れてはならない。
◇自衛隊が健全な組織として国民の信頼を得るためにも、幹部隊員の教育や研修、昇任の仕組みを見直す必要がある。

沖縄タイムス([前空幕長招致]首相の見解が聞きたい
◇武装組織である航空自衛隊を率いる最高幹部でありながら、政府見解と異なる考えを発表するとなると話は別だ。
◇かたくなな態度がシビリアンコントロール(文民統制)を根幹から危うくするのは間違いない。そもそも、このような人が空自トップに就くこと自体おかしい のである。
◇国会はもとより私たちが懸念しているのは、一人の民間人としての歴史観ではない。国家公務員で、防衛相を補佐する空自トップの職責を持つ人の感覚なので ある。
◇気掛かりな点はまだある。田母神氏に対し、政治の側から擁護論が出ていることだ。
◇言うまでもないが、自衛隊の最高指揮官は麻生太郎首相だ。首相は「村山談話」を踏襲すると述べたが、ここは首相としてこの問題をどう捉えるのか。アジア の国々に訴えるためにも「首相談話」の形にして表明するべきだ。

◆琉球新報(
前空幕長参考人 危機にひんした文民統制
◇この国の文民統制が危険極まりない状況に置かれていることに、空恐ろしさを覚える。
◇問題の論文については「いささかも間違っていない」と正当性を繰り返し主張した。
◇「国を守ることについてこれほど意見が割れるものは直した方がいい」と憲法九条の改正を表明するに至っては、何をかいわんやである。
◇気掛かりなのは、軍事をコントロールする立場にある政治家の体たらくぶりである。
◇自民党国防関係合同部会では、「なぜ悪いのか分からない」「懲戒処分しようとしたのは問題」などと、田母神・前空幕長を擁護する意見が相次いだことだ。
◇文民統制の機能不全ともいうべき事態を政治の側は重く受け止めるべきである。
◇この国は、再び戦争ができる状態に地ならしが進んでいるように感じる。


◆ アパグループと鳩山民主党幹事長
 昨日(11日)の参議院外交防衛委員会での田母神・前航 空幕僚長の参考人招致で、自民党の小池正勝議員が、田母神氏に、04年9月15日の「日本を語るワインの会」に鳩山由紀夫幹事長夫婦とともに出席したかと 問うていました。

 ネットで検索するとアパグループのサイトにチラシ状の
PDF がありました。
 「正論」編集長・大島信三氏、アパグループ元谷外志雄代表夫妻、田母神氏とともににこやかな笑顔で集合写真に収まっています。

 発言者は明らかにされていませんが
「憲法を改正して、自衛隊を自衛群にする。そして自衛権も個別も集団も 当然やるべきなのだからそこに明記する。」などと書かれています。

 こんな人間が民主党の幹部なのです。
 自公の代わりに民主党が政権に就いて何が変わるのでしょうか?

◆犯罪者(容疑者)と親族
 大阪市内で轢き3Km余りも引きずって男性を殺し逃げていた容疑者が逮捕されました。
 容疑者の罪は厳しき問われなければなりません。
 しかし、成人に達した容疑者の親族を晒し者にする必要があるのでしょうか?
 別の事件では、母親が土下座するような映像まで流されていました。

 円地文子の小説に「食 卓のない家 」というのがあります。(映画化もされています)
 長男の犯した犯罪を「成人に達した息子の犯罪は本人の問題で家族には関係ない」と毅然とした態度を取る父親、マスコミや世間からのさまざまな嫌がらせを 受けます。そして家族の心は離れ離れになって生きます。

 子の不始末に対して、親がどこまで責任を持つべきかは難しい問題です。私は、親は親、子は子と割り切りたいと思っておりますが、中々割り切れないでしょ う。

 しかし、マスコミに拠って晒し者にされるのはお断りです。

◆井戸兵庫県知事の「チャンス」発言
 阪神淡路大震災で大きな被害を受けた兵庫県の井戸知事が「関東大震災が起きれば、(関西経済に)チャンス」と発言したそうです。
 私も阪神淡路大震災の罹災者ですが、この発言には呆れ返りました。
 災害時に、関東一極集中を補完すると言うつもりなら別の表現があるはずです。
 小賢しい木っ端役人の頭の中はこの程度なのでしょうか?

 07年に石原東京都知事が「阪神大震災では首長の判断が遅れたから2000人が余計に死んだ」との発言に対する意趣返しのつもりだったのでしょうか?
 対する石原都知事も「(旧自治省出身の)役人の浅知恵だな。他人の不幸をチャンスと言うのは日本人の感性に合わない。言葉を大事にしないとね」と発言し たとか。あんたに言われたくないですね。
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