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08/11/17 数字のマジック
16日の朝日新聞の 社説は犯罪者の高齢化について書かれています。

 今年の「犯罪白書」
平成20年 版犯罪白書のあらましによると高齢者の犯罪が増えているとのこと。
 朝日新聞の分析によると高齢者犯罪の要因は、経済的な問題と社会からの孤立だそうです。
 そして、高齢者の犯罪を防ぐ方策は、「高齢者の犯罪を防ぐには、摘発や防犯対策だけでは足りない。」「手間はかかるが、高齢者の暮らしを安定させること で犯罪を防げるなら、世の中にとっても望ましい。」だと書いています。
 
高齢者の犯罪 ―孤立させない手助けを(朝日新聞 08/11/16)

 犯罪白書のあらましを見るかぎりでは年齢層別の犯罪検挙者数は読み取れませんでしたが、交通事故を除く刑法犯罪での刑法犯は約37万人、うち65歳以上 は48,600人で、人口百万人比であらわすと64歳以下では3,474人、65歳以上は699人でしかありません。

◆65歳未満:3,474人/百万人
◆65歳以上:  699人/百万人

 一概に高齢者の犯罪が増えているとの指摘は正しいのでしょうか?

 数字のマジックには気をつけなければなりません。
 自転車(に乗った人)を加害者とする交通事故が多いとの指摘もありますが、同じ手口の数字のマジックのような気がします。
 自転車が被害者になっている事故の方がはるかに多いと想いますが。。。

 高齢者の犯罪を特別なことと括らずに、高齢者を含む社会の弱者がなぜ犯罪を犯すのかという視点で見て欲しいと思います。
 犯罪は社会を映す鏡です。

 9日の読売新聞にも同趣旨の社説がありました。
高齢者犯罪 社会から疎外しない施策を(11月9日付・読売新聞)

  今週(17日)の朝日俳壇、歌壇より気に入ったものをいくつか紹介します。

◆稲刈つて山を大きく座らしむ(横須賀市・佐藤博一:大串章選)
 子どもの頃三反百姓の手伝いをしていた次男坊としては共感できる句です。
 子どもの背丈ほどもある稲を刈り取れば、一面の見晴らしが広がり遠く鈴鹿山脈の山並みもドシリと見えたものです。

◆塵取の華やいでゐる紅葉かな(神戸市・加藤睫子:稲畑汀子選)
 いつもは塵芥を入れる塵取りの中も、この時期には華やかな紅葉落葉で溢れています。
 落葉になってもなお華やかなことです。

◆先々の事まで読めずそぞろ寒(香川県・湯川雅:稲畑汀子選)
 先のことなど何も分かりません。先々のことはなお更です。
 そぞろ寒の頃には不安も一層のことです。

◆太陽に透けることから薄紅葉(渋川市・山本素竹:稲畑汀子選)
 新緑も紅葉も太陽の光を透してみるのが好きです。
 色とりどりの透明感がステンドグラスのようでなんともいえません。

◆秋思する背中に妻の笑ひ声(入間市・峠谷清広:金子兜太選)
 どんな光景なのかすぐには飲み込めませんでした。
 秋思する男の背で声を立てて笑う女、ドラマを見るようです。

◆お隣の車の屋根の野良猫の「文句あるか」に「いえいえそんな」(神戸市・田崎澄子:佐佐木幸綱選)
 可笑しいですね。
 車の屋根、それも隣の車の屋根で日向ぼこする野良猫が「私」の視線を感じて「文句あるか!」と凄んでいます。

◆知恵うすき吾娘なればこそかくのごとかき抱かせる十八の体(天理市・乾喜宏:佐佐木幸綱選)
 ハンディを持つ吾子、18歳になった吾子を抱きしめる、我が胸に腕に感じるのは成長の喜びでしょうか?

◆下向いてすること家事に多ければまず空をみん今日のはじめに(佐倉市・船岡みさ:高野公彦選)
 先の見えない自信のない生活を送っている私も下を向いた生活をしています。
 この歌と同じようにせめて朝には空を見上げることとしましょう。

◆信濃路の花野に君と追いし日よしおからとんぼむぎわらとんぼ(東京都・長田裕子:永田和宏選)
 故郷への郷愁の歌かと思っていましたが、選者の永田和宏さんは「亡き人を想う歌だろうか。下句の対句的リフレインがかなしみを堪えている。」と評されて います。

◆人体に今のところは害なしと今のところの期限知りたし(行方市・鈴木節子:永田和宏選)
 本当に害がないのなら、そんなに大騒ぎしないでください。
 「害」はあるのでしょう。あなたは誰の味方ですか?
 政治家は世の中の一番弱い人に照準を合わせて政をしなければなりません。

◆難しい日本語
 齢を重ねても、未だに読みさえ分からぬ漢字や意味の分からぬ言葉があります。

◇石たたき:長い尾を絶えず上下に振っていることからセキレイの異名だそうです。
 尾の先に生きる悦び石たたき(刈谷市・山本泰弘:長谷川櫂選)

◇鵙(もず):鳥の百舌鳥、恥ずかしながら初めて見る漢字でした。
 侵入を許さぬ鵙の高音かな(野洲市・狩野龍生:大串章選)

◇磴(とう):これも初めて見る漢字で石段のことのようです。
 磴をふみ露霜をふむ山日和(大牟田市・祖父江和子:稲畑汀子選)

◇溝蕎麦:溝や湿地に群生し蕎麦に似た花を咲かせる草だそうです。
 溝蕎麦や明るき雨となつて来し(芦屋市・小杉伸一路:稲畑汀子選)

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