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08/12/11 たぬき先生
 「マガジン9条 」の連載に小児科医・毛利子来さんのコラム「こ ども医者毛利子来の狸穴から   」という連載があります。
 いろいろと考えさせられることの多い毛利さんの意見です。バックナンバーからいくつかを紹介します。


◆科学偏重?

 腹囲が何センチ以上であれば、血圧やコレステロール値が基準値を上回ればメタボだと診断されることなどについて「そんなことどもを考えると、専門家の説 く科学よりも、日常の生活と、その中での自分の感じを重視するほうが気が利いているのではないかと思われてくる。 」と科学偏重に厳しい意見です。


 高血圧の私が医者に行くと「規則正しい生活を、酒を控えめに、毎日運動を・・・」と、マクドナルドのお姉さんのようにマニュアルどおりに対応してくれま す。


 毛利さんは、「たとえ太っていても、体を重く感じなければ、まず、異常ではないだろう。どんな食習慣でも、体調さえ良ければ、それでいいではないか。」 そのとおりです。


 標準か基準と比べればかなり高い血圧ですが、十数キロは歩くことも苦になりませんし、自転車なら百数十キロを走ります。日常の生活に不安を覚えたりたり していません。
 科学とは少々偏狭なもののような気がします。「科 学への信仰 」から。

◆KY
 付き合いが下手な人に向けられる軽蔑の言葉としてKY(空気が読めない)という言葉が使われる。
 隣近所や会社の中で要領よく立ち回れないと「村八分」にされかねないので、「空気」を読んで、その場の「空気」にあわせようと努力しているのではない か。
 経済や政治に関することでも同様にマスコミや世間の不調に乗った話に適当にあわせなければ「KY」な人と疎まれてしまう。 

 「KYは、事と次第によっては、意識的にされてもいい。/それは、新しい変革の芽であるのかもしれないのだ。」と書かれています。
 周りから爪弾きにされることの多い人生でしたから、この意見には勇気をもらいました。孤立することを恐れず、自分の考えをきちんと表明することは個人に も国家にも大切なことだと思います。「あざとい KY」より。

◆強さへの憧れ
 個人も、企業も、国家も強いこと、勝つことがよいことと の風潮があります。
 勝者は一人、大多数は敗者となってしまいます。勝者の論理より敗者、弱者に目線を置いた人付き合い、経営、政治を望みたいものです。

 毛利さんは次のように言われています。 「たとえば、『コンジョウ』を叫ぶのは、皮肉にも、それだけ根性が欠けていることを告白するものだ。/他人をけ なすばかりしたり、『オレが、オレが』を 連発する御仁にかぎって、内心は劣等感に焦っている。/そんな威勢のよい真似などできない向きは、『偉い人』とか有力な組織とかに身を寄せて、自信の代行 をしてもらう。/こうした風潮は、なんとも、辛く、みじめだ。/である以上、『強さ』への憧れは、いい加減にしておいたほうがよさそうだ。/だいいち、そ うしないと、ますます、みじめになりかねないことは、もう、だれの目にも明らかなのではないか。」

 弱いものの強さへの憧れを、誰かに寄りかかって生きているのでは惨めなことです。弱い犬ほどよく吼えるの例えもありますね。「強さへの憧れ 」より。

◆大樹が頼れないのなら
 「寄らば大樹の陰」と言う諺は、戦後、揉め事はムラのボスに頼む、出世するには上司にゴマをする、子供の進学や就職は議員に頼むというように、上手に生 きるためには有力者に頼ることと理解されるようになった。

 「なんたる情けなさだろう。/それでも利益を得さえすればよいのかもしれないが、はたして、どんなものか。/だいいち、こうした世知は、その実、きわめ て危ない。/かならずしも、上手で気楽な処世術とはかぎらないのだ。」

 大樹の陰に寄ったことがない私には、大樹の暖かさややさしさがわかりませんが、上司にゴマをする人たちはたくさん見てきました。 ゴマをすった上司が健 在な間は安泰ですが失脚するとどうなるのかと心配すると、そんなゴマすり氏は次の権力に擦り寄っていきます。なんとも鮮やかで、さもしくて、哀しい茶番劇 でした。

 大樹によらずに生きていくには、なにごとも自分でする。自分だけでできないことは他人と協力してするのがよいが難しいことだと、下記のように言われてい ます。

 「しかし、それにしても、まずは、勇気を持たなければ、何事も始まるま い。/そして、他人と徒党を組むのなら、できるだけ緩やかなのがよさそうだ。性質 や意見の違いはつきものだから、目くじら立てず、対等に自由を認めるようにしたらどうだろう。/『寄らば大樹の陰』よりも、そんな度量を持つことこそが 『民主主義の成熟』をもたらすにちがいない。


 緩やかな付き合いに共感します。なにごとをするにも目くじら立てて「こうあらねば・・」「こうしなければ・・」では付き合いできません。私にはその傾向 大ですが。 政治の世界の共闘も一番大事なことがら(例えば、憲法9条を守る)だけで一致する勢力の共闘はできないのでしょうか?「寄らば大樹 」より。

◆ 大阪府の新卒採用凍結?
 大阪府の橋下知事が09年度の職員採用をしない方針を明らかにしたそうです。
 「組織戦略が出なければ採用凍結が原則だ」と述べたとのこと。「組織戦略」とは何でしょう?要員を要求するならその戦略を示せということでしょうか?
 また、採用するなら行政には社会経験が必要だから社会人を採用するとも言っています。
 「次年度新卒採用、凍結も=橋下大阪知事」(時事通信 08/12/11)

 円高、不景気、金融不安と御託を並べて人の首を斬る経営者がいる中、この時とばかりに新規採用をしないかもしれないなどとの発言は悪乗りとしかいえませ ん。
 社会人採用をするというのは姑息で最低な方法だと思います。
 学校を出た人たちは、企業の中で有形無形に教育をされて一人前になっていくのです。企業はその費用を負担しているのです。一人前になった人を「社会人採 用」などとの言葉で掠め取ることは許せません。

 自治体も企業経営に学ぶべきだと言うのなら、負債の多寡を言い訳とせず身銭を切って職員を教育すべきです。
 数年の任期だけを考えずに、十年、二十年の計をもって政を行ってほしいと思います。
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