08/12/30 雇
用不安のことなど
気になることをいくつか。
◆言葉が本質を隠す
言葉は大事だと思います。言葉が物事の本質を隠す場合があります。
特にマスコミが使う言葉は「世論操作」になりかねません。
マスコミ各社は非正規雇用労働者の雇い止めや派遣切りの原因を「景気の後退」などによると、企業側の立場に立った報道をしています。
企業が労働者の首を斬っているのは単に「景気後退」だけが理由ではないでしょう。
内部留保の額や決算予測を見ている限り、非正規雇用労働者の首を斬らなければならないほど逼迫しているとは思えません。
ex.「景気後退による『雇い止め』で職を失った非正規労働者」(「雇
用危機 『早く次の仕事を』
」朝日新聞 08/12/29)
せめて「景気後退を理由にした『雇い止め』で職を失った、、、」と言ってほしいものです。
◆職のないのは非正規雇用の労働者だけでない
マスコミの報道を見ていると、「不況」を口実にした首斬りにあった非正規雇用の労働者だけが職を失って困っているような印象を受けてしまいます。
厚生労働省の「労働力調査
」によると08年11月の完全失業者は256万人(前年比10万人増)だそうです。(厚労省の失業者のカウント方法には問題もありますが別の機会に)
そして、契約期間の満了での「雇い止め」や契約途中解雇など10月以降09年3月までの非正規雇用の予想される失業者数は8万5千人との厚生労働省の発
表があったそうです。
「非
正規社員の失職、8万5千人に 来年3月までの半年で
」(朝日新聞 08/12/26)
私を含め250万人もの国民が恒常的に職にあぶれている現実を報道してほしいと思います。
◆マッチポンプ
労働者派遣法が、99年に労働者の派遣を「原則」自由に、04年に製造業への派遣が解禁された時から今日の日は予想できたことではないでしょうか?
私が企業経営者なら「派遣法は儲けが少なくなりそうな時に、企業に負担なく首を斬れる制度ではなかったのか。法律で許されていること『悪』のように言わ
れる筋合
いはない」と開き直るでしょう。
多額の政治献金でし、企業の下僕と飼いならした政治屋に働きかけ、自分たちに都合のよいように制度を作っ
たのです。
その下僕たちが色々と騒いでいます。まさにマッチポンプの様相です。
一例は、社民党の福島党首が非正規雇用の労働者の大量解雇を受けて緊急雇用安定基金を作るように政府に申し入れたそうです。
その基金は首斬り企業、経済団体のほか自治体にまで基金の拠出を求めるなど国民を馬鹿にした構想です。
非正規雇用労働者から搾取した今までに儲けた金を吐き出せるべきではないでしょうか。
◆社説から
毎
日新聞の12月19日付け社説
は下記のように結んでいます。
「製造業派遣を再び禁止すべきだという意見も強くなっている。現在、国会には日雇い派遣を原則禁止とする派遣法改正案が提出されているが、これでは不十
分だ。製造業派遣の禁止や登録型派遣の是非をも含めて、派遣法を全面的に見直す時がきている。」
政府与党は、労働者派遣法の「改正」を「働き方の多様化に対応するため」と労働者のためでもあるように国民を騙してきました。
河北新報
の12月27日付社説
は労働者保護の観点での法改正しか根本的な解決にはならないとの意見はもっともだと思います。
「派遣労働の自由化が雇用不安を増幅したことは明らかだ。労働者保護の理念に基づく法改正なしに、この不安が一掃できるとは思えない。」
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