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09/01/27 朝日俳壇、歌壇より
 1月26日付け朝日新聞の朝日俳壇、朝日歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇より
◇年越し、 新年の句
 年越し、新年の句が多く気になる句の少ない週で した。
 獅子舞、 初泣き、餅搗、追羽子、初明かり、掃初、人日、寝正月、年の夜、初笑い、初夢、お正月、初日、寝正月と入選40句中14句が平和な年越し、新年の句でし た。

◇父の骨枯木の山に還りけり(長野市・縣展子:大串章選)
 父上のお骨を散骨されたのでしょうか?
 人として生まれ死ねば自然に還ることが一番ですね。墓標や墓石など要らぬものと思います。
 私も「葬送の自由を すすめる会」に入っていて死ねば山に還してほしいと思っています。

 同日の朝日新聞の投書欄「声」に「死後に迷惑?お墓撤去した」(大阪市旭区・広田静子さん)と題した投書がありました。
 子どものない夫婦で既にご主人を亡くされていて、実家の檀家寺の勧めもあってお墓を建てられたそうです。ところが周囲から「あなたの死後、親類にいろい ろと負担がかかると言われ、お墓を撤去されたそうです。
 死後に、この世に生きた証の「形」を残すことは中々難しいことです。私は一切の「形」は残してほしくありません。

◇永らえて初笑いして独りかな(京都市・岸田健:稲畑汀子選)
 一人で初 笑いとはどんな状況なのでしょうか?本や新聞を読んでのことでしょうか?演芸番組を見てのことでしょうか?
 独居の寂 しい風景なのにほんわかした雰囲気が伝わります。

 最近、永 く生きていることは良いことなの かと考えてしまいます。政治は老人を大事にせず「早く死ね」と言わんばかりです。
 老人や子ども、病気の人、障害を持った人、貧しい人、弱い人が大切にされない政治は狂っています。

 ところで「笑」という漢字はなぜ竹冠なのでしょう?
 巫女の象形文字で髪の毛が竹冠に変形したと辞書などにはありますがよくわかりませんでした。

◇初夢の牛の舐めけり何故に(野洲市・鈴木幸江:金子兜太選)
 選者の評に「『何故』とこちらから尋ねたいくらいだ。妙に生生しい、艶っぽい」とありました。
 エロチックで艶かしい句です。

◆朝日歌壇より
◇東京に年越し派遣村といふ災害時のごとテント村並ぶ(塩尻市・米窪千加代:佐佐木幸綱選)
 派遣切りなどいう事態を招いたのは「政治災害」です。
 「人間」を必要なときに必要な量だけ調達することを可能にした労働者派遣法は廃止されるべきです。

◇親不孝通りと言へど親もなく親にもなれずただ立ち尽くす(ホームレス・公田耕一:佐佐木幸綱、高野公彦、永田和宏選)
 最近、毎 週入選している公田耕一さんの歌です。選者4人のうち3氏が選ばれています。
 「親不孝通り」と名づけられた通りは全国のあちこちにありますが、「親にもなれず」に哀感を感じます。

◇屋根があ るだけの違いよ公田さん年金生活薄氷の上(北九州市・中村テルミ:永田和宏選)
 先の公田さんの一連の歌に対して、年金生 活者とて同じ不安定な生活者だという。
 まったく同感です。
 「高齢化社会」が年金などの社会福祉を困難にしているというプロパガンダの「嘘」を見破らねばなりません。

◇鍋だけは一人でするもんじゃないなと父が小さく笑う寒い日(和泉市・星田美紀:永田和宏選)
 現代俳句 協会のインターネット句会の1月の投句に「湯どうふや浮き沈みしてひとり鍋」というのがありました。
 私も一人鍋など好んで「するもんじゃない」と思いますが。
 でも、一人でするなら春菊と豆腐だけの湯豆腐に限ります。少し上等のポン酢があれば最高です。
 豪華な具材の寄せ鍋などはやはり数人で囲みたいものです。

◇福袋買う長い列炊き出しに並ぶ列ありテレビニュースに(熊本市・徳丸征子:馬場あき子選)
 年末年始の新聞やテレビは、山谷や釜ヶ崎の労働者への炊き出しを映し出します。今年は「年越し派遣村」に顔を出した政治家や炊き出しの様子を映していま した。
 また、「福袋」などという馬鹿騒ぎも相変わらずです。
 どちらにも「人」が並んでいます。政治屋は「平和な国」をほくそえんでみていることでしょう。

◆橋本夢道
 自由律、プロレタリア俳人・橋本夢道(1903年4月11日〜1974年10月9日)の句集「無禮なる妻」が51年振りに復刻されたという記事がありま した。
 読んでみたい句集です。

 橋本夢道の句をいくつか紹介します。
◇僕を恋うひとがいて雪に喇叭が遠くふかるる
◇面会やわが声涸れて妻眼ざしを美しくす
◇うぐいすの匂うがごときのどぼとけ
◇うごけば、寒い
◇精虫四万の妻の子宮へ浮游する夜をみつめていた
◇無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ

 夢道は「あんみつ」の発明者でもあるそうです。
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