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09/02/04 朝日俳壇、歌壇より
 気分はいくらか安定的になってきていますが、物ごとを考える力の衰えは否めません。
 
新聞に書評のあった橋本夢道の復刻版の句集「無禮なる妻―橋本夢道句集」を買って読みか けましたが中々難解な俳句ばかりで紹介にいたりません。また、ビル・トッテ ンさんのコラム(Our World)、マガジン9条の鎌 田慧さんのインタビュー記事、映画「チェ・39 歳別れの手紙」などを紹介したいのですが。。。

 そんなときには朝日新聞(2月2日付)から俳句、短歌のいくつかを紹介します。
◆朝日俳壇
◇寒紅を差して一人を生きぬかん(高松市・真鍋孝子:稲畑汀子選)
 女性の強い決意ですね。
 女性は紅を引くことで、日常から非日常へなど時空を切り替えることができるようです。さて、男には。

◇狼とならん裏切り裏切られ(野洲市・馬渕兼一:金子兜太選)
 私もご同様、裏切ったり裏切られたりしながら、老いさらばえて一匹狼になってしまいました。
 また、誰かの歌にもありましたが、多くの人を傷つけてきたことでしょう。
 生きるとは難しいことです。

◇暖かき寝床の一句忘れけり(北九州市・園昭一:長谷川櫂選)
◇詩一つ生れて日向ぼこを立つ(飯塚市・千代田景石:長谷川櫂選)
 俳句や詩だけでなく、ゆったりとすごしている時に思いついたことをすぐに失念してしまうことは度々です。
 逃がした魚と同様、失念したアイディアは抜群の出来だと思います。
 下の句のように、立ち上がってメモでもできるとよいのですが。

◇スーパーに春の七草摘みて来し(東大和市・川畑蓉子:大串章選)
 スーパーに七草摘みとはおしゃれなこと。
 スーパーで売る七草を作る農家もいるのでしょうね。儲かれば何でもありの世の中です。
 昨夜(3日)は節分で、いつの間にか全国に広まった巻き寿司の丸かぶりで巻き寿司が馬鹿売れと報じられていました。
 百貨店やスーパーの店頭で季節を感じる時代なのですね。

◆朝日歌壇
◇人間は雇用調整 りんご、猿は需要調整、個体数調整(青森市・向山敦子:高野公彦選)
 「雇用調整」とは「首斬り」と同意語、利益が下がれば原価のひとつである労働者の首を斬るとはあまりにも能のない経営者です。また、減反政策の見直しの 論議もあるようですが、どの地方にも耕作を放棄された田んぼが目立ちます。

◇百均(ひゃっきん)のようなこの国つぎつぐと土に戻らぬ物産み、捨てて(赤穂市・内波志保:高野公彦選)
 貧しさからか、口に入るもの以外の支出は交通費と書籍代、映画代だけです。
 もう少し工夫をして、ものを買わない消費しない生活を心がけたいと思っています。

◇ガザ悲しガザより他を知らぬ児ら撃たれ死にたり両脚伸べて(大阪市・村山香代子:永田和宏選)
◇戦争を知らない子らと戦争しか知らない子らの住むこの地球(浜松市・石川治子:馬場あき子選)
 人を殺すことに正義があるとは思えません。まして子どもなら。
 なぜ、俳句にはこの種のメッセージを詠んだものが少ないのでしょうか?

◇耕して食べて死んで土になるブータンの人皆笑いつつ(赤穂市・内波志保:馬場あき子選)
 ブータンに知人のいる兄は「情報が少ないから」と言っていましたが、情報に振り回されて不幸になる情報過多よりも良いのではと思います。
 物を作り消費すること(GDP)を競うより、国民の幸せ度(GDH:難しい物差しですが)を競ってほしいものです。

◇節分の夜はやさしく鬼たちを招き入れたき独居老人(大分市・長尾素明:佐佐木幸綱選)
 老人の一人住まいでは鬼でも招き入れ世間話でもしてみたいとは同感です。鬼にもよりましょうが。
 私の節分の句は<鬼ばかり棲む国となり節分会>

◇帰り際(ぎわ)一言(ひとこと)かわした次の日の今日はあなたが近く感じる(赤穂市・内波可菜:高野公彦選)
 若い方の歌のようです。
 前記の<耕して・・・>の歌の内波さんのお嬢さんだそうです。お母さんは他にも入選句があり、母娘揃って3種も入選とはおめでたいことです。

◆公田耕一さん、郷隼人さん
 このお二人の歌は毎週のように入選しています。今週も夫々1首、2首入選されています。
 境遇を差し引いて読んでみてあまり感動しなくなりました。
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