09/02/15 映画「懺悔」
映画「懺悔(ざ
んげ)」を紹介します。
難しい映画でした。相変わらず事前に情報をあまり持たずに観ましたので、導入部分では眠気に負けてしまいそうになりましたが、以降はテンポ良くなり引き
込まれました。
この映画は1984年に旧ソビエト連邦のグルジア共和国で作られいて、映画の舞台となる時代も地域も明らかにされていません。
スターリンに似せた髪型、ヒットラーに似せたちょび髭、特徴ある眼鏡は誰?に似せた独裁者(市長)・ヴェルラムが「反体制」的な人たちを捕らえて流刑し
ていきます。
ヴェルラムの葬儀の後、2度、3度と墓が暴かれ遺体が曝される事件が起こります。
墓暴きを捕らえてみるとケーキ職人のケテヴァンでした。
ケテヴァンは裁判の席で「あの人を葬る価値はない」「私が生きている限り墓地では眠らせない」と、彼女の半生を語り始めます。
画家であった父は「反体制」との疑いで逮捕され流刑され母もまた逮捕されます。回想は幻想的な映像を交えて描かれていて、キリスト教や当時の政治状況を
良く知らない私には難しいシーンでした。
旧ソビエト連邦の検閲は厳しいものだったのでしょう。ヴェルラムのアジ演説の市庁舎のバルコニーらしい場所にも赤い旗だけでなく、赤い色のものはなく旧
ソビエト連邦を想像させるものはありませんでした。
公式
Webサイトにヴェルラムの特徴ある眼鏡は、スターリン時代のKGBの責任者として粛清の中心人物であったベリアに似せているそうです。
また、主演のアフタンディル・マハラゼさんは、独裁者・ヴェルラムとその
息子・アベルの二役を演じられていたとのこと、映画を観終わってから知りました。
ヴェルラムの異様な雰囲気が強くて、どちらかというと父の所業に悩む善良な息子のアベルとが二役とは分かりませんでした。
◆独裁者は滅びない
読売新聞に主演のアフタンディル・マハラゼさんのインタビュー記事が掲載されていました。
アフタンディル・マハラゼさんの発言の一部を紹介します。
「よく演
じたいとは思ったが、演技で社会に何かを訴えようとは考えていなかった」「そもそも映画をはじめとする芸術作品が観客に影響を与えられるのは、ほんの一瞬
だけ。もし、大きな流れにつながったのだとすれば、それは、観客の側が既に変化する準備が出来ていたからだと思う」
芸術作品が観客に影響を与えられるのは一瞬、大きな流れになるには観客の側に変化の準備ができていなければならないという発言は考えさせられます。
「独裁者の姿というのは決して古びない。それは、いつ、どこにでも存
在して、この地上から滅びることはないから。私たちの身に、いつ、何が起こるかは、誰にもわからないのです」
「独裁者は滅びない」との言葉も、独裁者
を間近に知らない私たちには怖いことです。
「『懺悔』に出演 アフタンディル・マハラゼ」(読売新聞 08/12/26)
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