09/03/02 森村誠一「犯罪同盟」
08年5月、舞鶴市の女子高校生が殺害された事件はその後どうなっているのでしょうか?
08年11月に別件の賽銭(2000円)ドロと下着(500円相当)ドロの容疑で逮捕され、6日間にもわたる家宅捜査を受け2000点もの持ち物を押収
された男性の別件の裁判で懲役1年の判決があったそうです。
「窃盗:女子高生殺害で捜索の男に懲役1年 地裁舞鶴支部」(毎日新聞 09/02/25)
しかし、京都府警がこの男性を本ボシとにらむ女子高殺人事件の捜査は進捗していないようです。
2000点もの押収品が多すぎるのでしょうか?3ヶ月も経て進展がないのか、報道されないだけなのでしょうか?
森村誠一さんの「犯罪同盟」を紹介します。
この本は大阪駅前第三ビルの古書店で買ったのですが、街もに6、7店あったのが、今では4店ほどになりさみしい限りです。と言いつつも、私も本当にほし
い古本はインターネットの「日本
の古本屋」やアマゾンで買っています。
森村誠一さんの本を読むのは久しぶりでした。
新宿ゴールデン街の小さなスナックに集まる世渡りが不器用な人たちが素人探偵として活躍する気楽に読めるミステリーでした。
素人探偵団は、出版社に勤める津川、鍵屋の梶浦、高所作業を生業とする対馬、某国元大統領の第六夫人だったと噂されている笠井成美の4人です。彼らが犯
罪同盟です。
身寄りのない若い人たちの連続失踪事件が起こっていました。同じように津川の知人の女性が突然失踪します。このことをきっかけに、4人の素人探偵がそれ
ぞれの特技を生かして事件の解決に取り組んでいきます。失踪事件の真相は企業犯罪にまで発展していきます。
◆連載小説
00年5月〜9月に週刊小説に連載されていたものの単行本化のためでしょうか、章ごとに盛り上がる部分が作られて読み進みやすい構成です。
しかし、前段では「安土銀行」と書かれていたものが、終盤の章では「安銀」と書かれているような整合性のない記述も目につきました。
◆少しアンチョコ?
◇事故死に偽装された殺人現場にあったウィスキーのボトルに付いていた指紋が犯人側を追い詰める根拠の一つとなります。
用意周到な犯人グループの行為とは思えませんでした。
ボトルについた指紋に捜査をかく乱する意図があるのかと推理したりしましたが、単純に拭き取り忘れだったようです。
◇身元調査
失踪者の身元調査をする捜査員について下記のような記述がありました。
「捜査員は念のため受け持ち交番の住人案内簿と、区役所の住民基本台帳を調べた。だが、巡回連絡時、いつも不在で、住民案内簿には記載がない。区の住民
基本台帳にも登録していなかった。松野優香は幽霊区民であった。その名前も本名かどうか疑わしい。」
前科のない市民の失踪者調査は、交番の住人案内簿か住民登録しか調査のしようがないのでしょうか?
◇偶然?
素人探偵の津川は出かけるときはカメラを持ち歩いているのですが、工事現場から資材が落下してきた時には撮影ができ、ビジネスホテルから向いのビルの光
景は撮影できなかったりします。
この物語では、津川のカメラに写された映像が大きなキーファクターとなっているにも関わらず、撮影できたときには「とっさに構え」て撮影でき、撮影でき
なかった場面ではカメラのことは一言も書かれていません。
◆漢字に英語のルビ
森村誠一
さんの小説ではよくあることですが、漢字に英語のルビを振られることがよくあります。
この作品でもたくさん見受けました。
大人(アダルト)、監視(モニタ)カメラ、通知書(ノーティス)、制服(ユニフォーム)。。
ルビが必要なのかなあと思います。
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