09/05/11
朝日俳壇、歌壇より
この朝日新聞の俳
壇、歌壇を紹介する更新が精一杯となりつつあります。
旧知の方が入院されたとのことを知りました。(既に退院されましたが)
病名は違いますが、同じような時期に同じような病いで入院とはと、メールを二、三交わしました。
この歳になっては、完治することはなく騙し騙し付き合っていくしかないのでしょう。労働や運動、学習の能力が低下してゆくのと折り合いをつけながら。
◆朝日俳壇
中々、私が理解し共感できる句がありません。
難しい句が多いように思うのですが、鑑賞者ももっと勉強せねばなりません。
◇草も木も芽吹く音して村動く(山陽小野田市・浅上薫風:長谷川櫂選)
特に樹木の芽は殻のようなものに覆われていて、芽吹きは音がしそうな気がします。
春になって躍動する村のようです。春は生命の活動が表に出て目につきます。
朝の散歩コースには竹林(筍畑?)がたくさんあります。一日で1メートル以上も成長しています。エナジーに脱帽です。
◇逃げ水を追ふ晩学の日々にあり(小田原市・石綿衛:大串章選)
「少年老い易く学成り難し」という諺がありますが、少年でもこのとおりですから老いての学習は逃げ水を追うように中々追いつけないということですね。
作者は既に朝日俳壇で「入選」されており学成っておられます。
◇森林の父は遊ぶひと立夏(神戸市・豊原清明:金子兜太選)
「森林の父」はどういう意味でしょう?森林を逍遥して遊んでおられるのでしょうか?
森と、それに溶け込んだような男、そしてそれを見つめる息子の姿のように読みました。
◆朝日歌壇
歌壇の方が、共感できるものが多くありました。
◇春眠より覚めたる河馬はどどどおっと淀む春水を溢れさせたり(青梅市・津田洋行)
この歌は選者全員(馬場あき子、佐佐木幸綱、高野公彦、永田和宏)が選ばれていました。
こういう歌がいいですね。「どどどおっと」音が聞こえ溢れる水が見えそうです。
◇死者の上(へ)に築ける平和憲法は死者の権利に半句も触れで(羽咋市・三宅立美:佐佐木幸綱選)
◇「九条」とふニックネームに誇りもち憲法説きし教壇を去る(金沢市・栂坂幸雄:佐佐木幸綱選)
憲法記念日に関連する歌が2首ありました。
海賊対処法案でも憲法が蔑ろにされています。俳壇からこの種の歌が無くならないことを願います。
◇「中学校社会科地図」を開き見れば「おもな農作物」なき
ソマリア半島(美唄市・寺澤和彦:永田和彦選)
海賊対処法の成立前にフライング状態で自衛隊が派兵されたソマリア沖の「海賊」は、17年に及ぶ内戦による無政府状態と貧困が原因です。
軍隊を派遣するより、9条を持つ国としてやるべきことがあるのではないでしょうか。
◇就活(しゅうかつ)に婚活(こんかつ)離活(りかつ)う
すら寒き日本語と思(も)ひつつ耳に馴れるも(横浜市・永野雅子:高野公彦選)
変な日本語が流行りますね。
小汚い言葉と思いつつも馴れてしまう悲しい性ですね。
◇返本の荷造りしつつこの国の紙の行方を思ひぬ本屋(長野県・沓掛喜久男:高野公彦選)
日本はどうなるのでしょう。規制緩和の名の下に大型店によって零細経営の書店は厳しい経営環境にあります。
01年〜08年の間に4,535店(20%強)も減っています。店舗の平均床面積は97年の99.3坪から06年には137.4坪になっています。
大規模店により中小零細書店が潰されていることが分かります。
町の書店はその町の文化のシンボルです。この国の紙の行方より「この国の行方」が心配です。
◇さみしさをおしえてしまった野良猫にエサさえやればよいと思った(京都市・梅原徹男:永田和宏選)
良かれと思ってしたことが仇になることは往々にしてあります。
人間の男女の関係においても同じようなことがあるような。
◇トーストにバター塗る音春暁の起こしてはならぬ亀を起こしぬ(東京都・宮野隆一郎:永田和宏選)
選者は「なぜ『起こしてはならぬ亀』なのかが謎」と評されています。
「亀」は何を表しているのでしょう。
バターを塗るナイフの音さえ気を使っている様子、よほど起こしたくない「亀」なのでしょう。
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