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09/06/22 朝日俳壇、歌壇より

 22日付け朝日新 聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇

◇清貧に重ねし齢更衣(八代市・山下接穂:稲畑汀子選)
 貧しくはありますが、清くはありませんでした。
 自ら「清貧に齢を重ねてきた」と詠える立派な半生です。羨ましいことです。

◇緑陰を出てゆく風も緑なり(坂出市・溝淵和幸:稲畑汀子選)
 爽やかな俳句です。木々の緑色は私の好きな色です。
 緑陰を吹き渡る風にも緑色を感じること、白い衣服は緑色に染まりそうです。

◇山は山草は草なり雷ひびく(長野市・縣展子:金子兜太選)
 評者(金子兜太さん)は「すべてが自然(じねん)自立の生きもの。人は人、と言いかけて躊躇う気持ち。」と評されています。
 いいですね。こんな句が詠めれば。。

◇父の日の花向日葵と決めにけり(大村市・小谷一夫:大串章選)
 母の日のお約束はカーネーション、さて、父の日に華やかな花は思い浮かべることありません。この句のように、ヒマワリを父の日の花とするのもよろしいか と思います。

◆朝日歌壇
◇介護に関する歌、四首を紹介します。
 身につまされる歌ばかりです。介護される側だったら力の限り死を選ぶかもしれません。介護する側だったら。。。
 皆さん、ご苦労を歌に詠まれていることに安堵します。

◇されるよりする幸せを言う妻の介護のままに今日も生きおり(浜松市・太田忠夫:永田和宏選)
 妻に介護され生きながらえている。妻は「私が介護されるより、あなたを介護しているほうが幸せ」と言う。
 「されるよりする幸せ」と言いつつも、どちらに転ぶかは神のみぞ知ること。

◇この母があの母なのか「ありがとう」「世話をかける」と繰り返し言う(山形市・渋間悦子;永田和宏選)
 病んで気弱になった母は、いままで言ったこともないような感謝の言葉を直接的な言葉で言ってくれます。
 あんなに気丈なひとだったのにと、不憫さが募ります。

◇子どもだと思ってと叔父に諭されし日よりわたしの娘(こ)となりし母よ(沖縄県・和田静子:高野公彦選)
 介護が必要となった母を、叔父は子どものように世話してやってくれと頼んだでしょう。
 その母は、すっかり子のようになってしまった。もう母ではない。哀しい。

◇病妻(つま)の手をさすればほのか少女期のぬくもりのありて七十路の皺に(本宮市・廣川秋男:馬場あき子選)
 妻の介護をする男、深い皺の刻まれた手をさすれば、青春がよみがえる。
 優しい夫ですね。そんな気持ちになれるいい人生を生きて来られたのですね。

◇桃の実に生まれてももにもなれない実摘果は黙々としてな されている(福島市・美原凍子:馬場あき子選)
 果樹栽培に摘果は避けられない作業です。大きな美味しい実をつけるためには「間引き」せねばなりません。
 栽培種でない柿などは自らの手で落果(ジューンドロップ)をするそうです。メロンは「テッカメロン」として道の駅などで漬物の材料として売られていま す。
 摘果した桃の使い道はないのでしょうか?

◇一国の大臣(おとど)細かく説明すインフルエンザを課長のごとく(名古屋市・諏訪兼位:佐佐木幸綱選)
 年金問題がいつまでも解決しない所掌の厚労大臣・マスゾエ氏は、豚インフルエンザの流行を千載一遇のチャンスとばかりに恥ずかしげもなく利用しました。
 あんな男が自民党のボス候補の一人と目されているようで、噴飯ものです。

◇いちまいの休み田を黄に溢れしめ菜の花は咲く農こそ希望(岩手県・上野寛二:佐佐木幸綱選)
 黄色に溢れる田んぼは百姓にとって愛おしい休耕田。
 工業は「物」を作り出すのに原材料を必要とします。商業は「物」を作り出しません。
 農業は土や水や日の光などの自然の恵みから「物」を産み出します。
 私は三反百姓の次男坊でしたので、百姓にはなれませんでした。と言い訳がましく書こうとしていたら次の歌がありました。

◇一頭の牛より始め百頭の牛飼(うしかい)となる友の末っ子(前橋市・兵藤宇亮:馬場あき子選)

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