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09/07/06 朝 日俳壇、歌壇より

 静岡県知事選挙で 民主党、社民党、国民新党が推す川勝平太氏が当選しました。目出度し、目出度し。
 と、喜んでいてよいのでしょうか?

 川勝平太氏は「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者のようです。「新しい歴史教科書をつくる会」は先の侵略戦争を自衛のための戦争と美化するような歴 史観を持つ団体です。
 また、安倍内閣でも「美しい国づくり」にも参画していたと産経新聞が皮肉っぽく書いています。

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 川勝氏は、比較経済史専門の経済学者。安倍内閣では教育再生会議の分科会主査や「美しい国づくり」企画会議の委員などを務め、有識者メンバーとして国政 にかかわった。「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者にも名を連ねている。
-------------(「川勝氏が当確 大型地方選で民主4連勝 自民党内に『麻生退陣論』広がる」 産経新聞 09/06/05)

 選挙に「勝つ」の一点だけでよいのでしょうか?勝ったと喜んでばかりはいられない。

  6日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になる句や歌を紹介します。

◆難しい表現
 歌壇の下に、「定型の衣着ても社会に伝わらず」という記事がありました。

 文芸誌「星座−歌とことば」の50号記念号に掲載されている主筆で歌人の尾崎左永子さん、詩人の三木卓さんと編集発行人の伊藤玄二郎さんの鼎談が紹介さ れています。

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 難解な詩歌が増えた現状を踏まえ表現の社会性をめぐる場面で三木さんは、伝統の定型を衣装にたとえ短歌をうらやましいという。「(着る服がない詩は)パ ンツ一丁」
 その詩壇は今、「社会とコンタクトがとれな」くなっているとする三木さんに尾崎さんは、「(短歌界にも)分からないのが偉いと思う人たちがいる」。定型 の衣をまとっても伝わらねば歌にあらず、と。厳しい。
--------------(引用)

 短歌も俳句も、映画も舞台も音楽も分からないこと方が高尚、分かる人のためだけに表現しているような風潮があります。
 文芸だけに止まりません。世の中は
賢い人ばかりですね。

 井上ひさしさんは表現は、

 むずかしいことをやさしく
 やさしいことをふかく
 ふかいことをゆかいに
 ゆかいなことをまじめに書くこと

 といわれています。心したいものです。

◆朝日俳壇
◇更衣して愛憎を忘れけり(大阪府・大谷宗平:大串章)
 詠み人は女性かと思いました。
 衣替えして愛も憎も忘れされるものなら忘れたいですね。
 ただし、忘れてはならぬこともあるような。

◇改札を出で夕焼に放たるる(奈良市・帷子黎子:大串章選)
 改札の内と外は
神社の結界のように異次元の世界、夕焼に染まる世界に赤く染まりそうで す。

◇下町の鉄の匂ひや汗をふく(川西市・上村敏夫:大串章選)
 都会の下町には鉄の匂いのすることがあります。町工場が鉄に命を吹き込んでいるのでしょう。
 そんな町を歩いてかいた汗にも「鉄の匂い」がしそうです。

◆朝日歌壇
◇出勤の息子は九十二歳の我の寝息を確かめて行く(東広島市・水越龍郎:佐佐木幸綱選、高野公彦選)
 92歳の父親の息子は、若くても50歳代になります。
 先週の老老介護も大変なですが、父子の介護、在宅の介護は逃げ場もなく

◇どんな仕事をしてゐるのですか検診の数値に医師のだしぬけに言ふ(福岡市・中島行矢:佐佐木幸綱選)
 医者が言いそうな科白ですね。
 特徴的な検査結果の数値を見て、その人はどんな人だろう、仕事は何をしているのだろうとあれこれ思っていたのでしょう。顔を見てつい口からでたのでしょ う。

◇サラダ記念日
 俵万智さんの短歌<「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日>から、7月6日は「サラダ記念日」となっているそうです。
 若い歌人の万智さん風の歌が毎週何首か入選しています。
今週も何首か入選していました。

▽携帯の電波届かぬ場所にいる君はふらんすより遠いね(京都市・敷田八千代:高野公彦選)

▽喫茶店の窓から風に揺れる葉をみていた 話聞くふりをして(赤穂市・内波志保:高野公彦選)

▽目覚めてすぐには起きず独り居の気楽さ淋しさ泣かずにいるよ(香取市・鎌形てる:永田和宏選)
 この歌も若い方でしょうか?

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