09/07/13
朝日俳壇、歌壇より
13日付けの朝日
新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
今週は珍しく俳壇にも歌壇にも複数の選者に選ばれたものはありませんでした。
◆朝日俳壇より
◇郭公や己が名前に節つけて(西宮市・山谷陽久:大串章選)
なるほど。郭公は己が名前を鳴いていますね。
鳴き声から命名されたことを忘れてしまうように、本末を転倒して物事を考えれることはよくあることです。
◇外人に倣うて茅の輪くぐりけり(京都市・水船つねあき:大串章選)
茅の輪は、正面からくぐり左手から戻る、そして再度正面からくぐって右手に戻る∞を書くようにお参りをするそうですが、淀みなく参拝する外国人を真似て
お参りをしたということでしょうか?
ただ、「外人」という言葉はあまり好きではありません。ムラ社会における「よそ者」をイメージしてしまいます。
◇列島を乱せし梅雨の裏表(枚方市・石橋玲子:稲畑汀子選)
自然現象は、ある地域には恵みの雨、ある地域には生活基盤を奪うほどの雨となります。
私たちの生活の場が、自然の摂理に逆らったものになっているような気がします。
◇湯上りのやうな人来る暑さかな(狛江市・岩野記代:長谷川櫂選)
映画「男はつらいよ」に出てくる太宰久雄さん演じるタコ社長のような人が、汗拭きながら扇子をパタパタしながら歩いて来る様子。見ているだけでこちらも
暑くなりそうです。
◇朝顔を数へて今日も始まれり(和歌山市・下野利弘:長谷川櫂選)
こんな生活がよいですね。
花の数が多いと何かよいことがありそうな気がしません?
◆朝日歌壇より
◇母の手と吾が手を紐にゆわえて寝ぬ徘徊の母とのかなしき絆(松戸市・猪野富子:高野公彦選)
哀しい絆ですね。私も、いつ認知症を発症しないとも限りません。脳梗塞と認知症も因果関係があるそうです。
昔の職場で徘徊をする母親の面倒を見ている社員がいました。お昼の食事を用意してくるそうですが、時々電話をして「ご飯を食べたか?」と在宅を確認して
いました。
家にいないと早退して帰って探すそうです。FM発信機を持ち物に縫い付けてあるのでカーラジオの周波数を合わせて探し回るそうです。当時は息子の立場で
見ていましたが、今は徘徊する母の立場をヒシヒシと感じます。
◇梅雨に濡れこの一ケ月動けざる車の持主(ぬし)はリストラに遭いし(名古屋市・諏訪兼位:高野公彦選)
リストラ、派遣切りの句や歌が一時に比べれば少なくなりました。この世界もニュース性が大事なのでしょうか。
梅雨に濡れる隣家の車を見て、そう言えば・・・と思い出したのでしょう。
◇そのまんまむこうを向いたままでいいその不機嫌な横顔がいい(横浜市・井村浩司:永田和宏選)
タレント知事が、自分の思いのままにことが進まないことに機嫌悪くプイッと横を向いた一瞬彼の本音を見た。
お前なんぞを誰も気にも留めていないし、ずっと横を向いていてくれればありがたいことである。
このように私は理解しましたが、選者は「奥さんだろうか、不機嫌を直してくれない妻をつくづくと見、そして新たな発見が。余裕か。」と評されています。
◇花の名をひとつ覚えて人の名をひとり忘れてゆうやけの中(東大阪市・平岡章子:永田和宏選)
俳句モドキを始めてから、花の名前などいくらかは覚えましたが、人の名は忘れるばかりです。
遠い昔の名前も、最近会った名前も、同じようの忘れてしまいます。幸い実害が少ないのは幸いなことです。
◇六月の驟雨に打たれ久びさにずぶ濡れとなる快感をする(大和市・水口伸生:馬場あき子選)
雨に濡れるのが好きです。よくわかります。快感です。
その後、人に会ったり、乗り物に乗る予定がある時は別ですが、ただ家に帰るだけなら一駅手前で降りて濡れて帰ります。
大層に言えば、自然との一体感でしょうか。
◇息子のみなれども黄色赤橙Tシャツ竿に華やいで夏(福岡市・東深雪:佐佐木幸綱選)
色彩の感覚が変わってきているのでしょうか?
特に若い人たちの着るものの色にタブーはないようです。
黄・赤・橙、、のTシャツが彩る竿は、夏。
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