09/08/13 映画「嗚呼、満蒙開拓団」
戦争は、社会的に
弱い人を犠牲にする国家の犯罪だとつくづく思わされる映画を観ました。
久しぶりに大阪・十三の第
七芸術劇場(ナナゲイ)で映画「嗚呼、
満蒙開拓団」を観てきました。
平日の午後の上映だったにも拘らず八分以上の入りでし
た。満州からの引揚げ体験者もおられたようでエンディングでは拍手が起こりました。
国策として行われた移民計画で貧しい農民ら32万人も中国東北部(旧満州)のソ連との国境近くにまで、中国人の土地を奪って入植していました。敗
戦の直前まで移民を送り込んでいたそうです。
1945(昭和20)年8月9日、ソ連軍が対日参戦を開始します。ソ連軍の飛行機から撒かれたビラで、ソ連の参戦を知った中国人は日本人の開拓村に押し
寄せ略奪も起こりパニックになったそうです。
逃げて日本に帰るかしか道はありません。男手の多くは手薄になった関東軍に召集されていたそうで、まさに女、子どもたちの敗走が始まったのです。
集団についていけない幼い子が実の親の手によって殺されていったそうです。または捨てられ中国人に拾われたそうです。こういう人たちが中国「残留」孤児
の人たちです。残留したのではなく、国からも捨てられた親も「棄民」、親から捨てられた子も「棄民」なのです。
この人たちの敗走に国や軍からの支援はなかったそうです。自決用の青酸カリさえ回ってこなかったそうです。
鉄道を使って逃げるのは、軍人家族とその荷物、傀儡・満州国政府役人、満州鉄道関係者の順で一般の人たちは乗せなかったと満鉄の職員だった人、父親が部
隊長だった人、省立の病院の看護婦だった人らが証言をしています。
32万人の開拓移民のうち帰国できたのはわずか11万人あまりでした。
鉄道の通る大きな町ハルピン郊外まで一ヶ月もかけて逃げてきた人たちが経験したことは地獄であったそうです。
寒さと飢えによる死者の遺体が、馬小屋に棒積みにされ、そのうち山すそへ移動され、暖かくなると腐臭がするので三ヶ所に穴を掘って焼いたそうです。一度
では焼ききれず、生焼けの死体を焼きなおしたそうです。
東北部の方正(ほうまさ)県に「方正地区日本人公暮」が、県人民政府の手で建てられ常駐の管理人を置いて弔われています。中国人と結婚された残留孤児の
方が畑を耕しているときにたくさんの骨を見つけ県政府に掛け合い、時の周恩来総理の計らいもあってで
きたそうです。
周恩来は「日本帝国主義の行いは許さないが、日本人民は中国人民と同じ日本帝国主義の犠牲者だ」との信念があったそうです。
いい映画でした。羽田監督のナレーションも淡々としてよかったです。
ナナゲイでは9月4日まで上映されています。是非ご覧ください。
YouTubeにNHKニュースなどで紹介された映像があります。監督の羽田澄子さんのインタビューも少しあります。ナナゲイでの上映も紹介されていま
す。
NHK/毎日放送
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「妻の貌(かお)」
予告編を観ました。是非、観たい映画です。
被爆者の家族を父親が撮りためた映像が、静かに平和を語りかける映画のようです。
ナナゲイで8月29日から上映されます。
◆TBSの番組に勧告
テレビには酷い、視聴者を馬鹿にしたような番組の如何に多いことでしょう。
昨年10月、門真市の保育園の菜園を、大阪府が道路建設のために強制収用したときのこと
を面白おかしく悪意を持って放送したTBSの番組に、放
送倫理・番組向上機構(BPO)の放送と人権等権利に関する委員会から、重大な人権侵害があったと認定され勧告が出されました。
「TBS:『サンジャポ』に倫理違反 BPO、再発防止を勧告」(毎日新聞 09/08/08)
「権利侵害申し立てに関する委員会決定」に、ことの一部始終が掲載されています。
事件当時、橋下大阪府知事は開通が一週間遅れると○億円の通行料金の損失だ、反対運動に「園児の涙」を利用している」とか言っていました。
「子どもが笑う府政」とは彼の選挙コピーの一つでした。
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