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09/09/03 井上ひさし「ふ ふふ

 民主党内閣の誕生 で一番慌てているのは官僚のようです。
 いろいろと動きが出てきています。注意深く見ておきましょう。
 選挙後の自民党の体たらくは目も当てられません。麻生総裁の曲がった口は益々曲がり不機嫌極まりない顔で記者をなじっています。死に体の麻生太郎を首 班指名しなければならない議員とはブラックユーモアのようです。

 井上ひさしさんの 「ふふふ」を紹介します。
 「小説現代」に01年1月から05年1月まで連載されたエッセー集です。タイトルの「ふふふ」は連載時のタイトルでしょうが、ふふふと笑える話ばかりで はありません。月刊誌への連載ですので、短い独立した文章で読みやすい本でした。

◆世界一長い名前は?
 世界で一番長い名前の人をご存知ですか?寿限無の長助ではないそうです。その方は↓だそうです。
 Elizabeth U, by the Grace of God, of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and of Her Other Realms and Territories Queen, Head of the Commonwealth, Defender of tje Faith.

 作家は登場人物の名前の付け方に苦労されているだろうと思います。
 「山田花子では単純すぎて、かえって強い印象を与えてしまう。山田静子なんか気に入っているが、やはり古風だ。そうかといって山田明日香では今様すぎて 気合が入らない。」と書かれています。
 そういえば、「父と暮らせば」の「竹造」は、原田芳雄さんが演っても辻萬長さん演っても「竹造」以外の名前は考えられないですね。

◆二つの答え
 13年前にロンドンの文房具店専門店スマイソンで3800円で買われた皮表紙のノートが背の具合が悪くなったので、買ったときに「いつでも修理をうけた まわります」と言われていたので電話をすると「送料は負担していただきますが、もちろん無料で修理いたします。」とのこと。10年前に150万円で買った 文書作成機はメーカーのX社は「部品がないので修理できない。新しいのを買ってほしい」とのこと。

 私も物を買う一つの基準は、繰り返し修理して使えるかどうかです。

◇京都の一澤帆布が兄弟で喧嘩別れする前の製品をいくつか買っています。もうそろそろ修理に出さなければならい物もあるのですが、ブランドを引き継いだ 一澤帆布に持っていくのか、実質的に職人も客も引き継いだ信三郎帆布に持ち込むべきか悩むところです。喧嘩別れは顧客不在であったのではないでしょう か。

◇東京神田にあった自転車店アルプスのランドナー(旅行用自転車)をオーダーメイドで作りましたが、数年前に突然閉店の案内が来ました。それまではユーザ をカルテで管理していたものが、「今後後は○○店で御用を賜ります」と。
 個人事業では閉店もいたし方ないのかも。

◇ずいぶん昔にアウトドア雑誌でみたスウェーデンのアウトドア用品メーカーのフェールラーベンの次のような広告に惹かれました。
 10年以上使って愛着のあるカンケン(スウェーデン語で持ち運ぶの意) のジッパーが壊れたと
フェールラーベン社に手紙 を書いた青年とのやり取りが再現されていました。カラフルなラインナップですが、デザインはいたってシンプルなバックで す。早速、通販で買い求め、私も10年以上愛用しています。

◇街歩き、散歩、低山に重宝している靴はSCARPAの ガルミッシュです。3万数千円と少々値は張りますがビブラム社製の靴底が張替え可能なので長く使えます。2足を交互に履いています。

 この項が長くなりすぎました。他にも身の周りには、財布、手帳、帽子など相当使い込んだものが多くありますが、別の機会に。

◆問題の出し方
 アメリカのある大学の入学試験で次のような問題が出されたそうです。
 「ここにあなたの一生を書き綴った一冊の伝記があって、その総ページ数は三百頁である。さて、その二百七十頁にはどんなことが書いてあるだろうか。どの 二百七十頁を書きなさい」
 日本の受験勉強をしていては絶対に答えられない問題です。270ページ辺りは私の今の時期でしょうか?
人生をしっかり生 きていないとだめですね。

 もう一問。こんどはフランスの大学の入学試験の問題。
 「夜更けにセーヌ川の岸を通りかかった君は、一人の娼婦がいままさに川へ飛び込もうとするところに出会う。さて、君は言葉だけで投身自殺を止めることが できるだろうか。彼女に死を思い止まらせ、ふたたびこの世界で生きて行く元気を与えるよう説得を試みよ」
 この問題に「『わたしと結婚してください』と説得するしかありません」と回答し見事合格した受験生は後に作家となり、やがて文化大臣になったそうです。

◆窃盗論
 井上ひさしさんは仕事柄でしょうか?通俗や俗説がお好きだそうで目に付くと書き留めておかれるようです。
 その一つに「不況になると窃盗ふえる」という通説があるそうです。私は通説というより世の中の仕組みとしては当然ではないかと思いますが。

 孫引きになりますが千葉大の広井良典さんの「週刊東洋経済 2001年11月3日号」の記事を引用させてもらいます。
 <一国内において、貧富の差が一定以上に大きくなると、犯罪率が大きく高まる・・・(たとえば、アメリカの刑務所数は突出して多い。そしてこの定理を国 際関係に拡大すると)・・・テロや国際緊張の根源には、究極には「経済」の問題がある>

 国内的にも国際的にも貧富の差が拡大すると悲劇を生むということ。戦後の日本の犯罪発生件数(警察庁で認知件数といっています)と検挙件数、検挙率をグ ラフで紹介します。「平成20年の犯罪情勢 09年5月 警察庁」より。
 検挙率はどんどん低下して犯罪発生件数がどんどん増えています。


◆四月馬鹿
 4月1日にイギリスのBBCが実際に放送したニュース?を。
 「南イタリアにも春が訪れ、スパゲッティが枝もたわわに稔る季節になりました・・・」、見ればたしかに木には枝がしなるほど大量の茹でたスパゲッティが 垂れ下がっている。民族衣装を着て収穫をしている娘さんの一人にBBCの腕章をつけたレポーターが「今年の出来具合は?」と聞くと、娘さんはにっこりと 「どのスパゲッティもアルデンテに出来ました」と答えとか。
 本気で、こんなニュース?を作って流すとはユーモアが理解される国だからでしょうか?
 わが国で、こんなニュースをNHKが流したらどうなることやら。その前にNHKにそんな度胸はないか。

◆万引き
 この話は有名な話です。
 中学生の頃、定価500円の英和辞典を万引きした井上少年に、店番のおばあさんのとった行動とは。
 「こんな本一冊ぐらいと軽い気持ちでやったんだろうけど、
500円の本万引きされたら、500円を取り戻すためには利益 100円の本を5冊も売らなければならない。坊やのやったことは人殺しに近いんだよ」と庭の薪を割るように言った。薪割り の手間賃700円と差し引きに英和辞典と200円を渡してくれた。

 03年、川崎の古本屋で万引きをした少年が警察官が任意同行しようとしたところ遮断機の下りた踏み切りに入り死亡した事件で、この古本屋の主人を「人殺 し」となじる行為がありました。
 万引きをする方には犯罪との認識が薄いのでしょうか?

 もう少し、紹介したいのですが、次の機会に。
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